中級昇進試験 3
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。今回はいつもよりかなり短めです。年度が変われば最初のペースに戻ると思うので何卒。
町を出て、メル雪山の麓に続く林道を突き進んでいく。
林道と言っても、人が手を加えている割には思ったほど舗装されているわけではなく、幅の広い獣道と言った方が適切だろう。
所々に木の根がはっていたりするので、山道を歩きなれていないと相当辛いはずだ。
だがイデアはスイスイと道を進んでいく。
「慣れてるんだな、こういう道。流石中級冒険者ってところか。」
「んー、それもあるかもだけど。私の故郷はここからずーっと遠くの森にある村でね、小さい頃から森の中で遊んでたから、そのおかげじゃないかな。確かに街に出て冒険者としての経験も積んだけど、私が今まで頑張ってこれたのは、冒険者になる前に培ってきたことが役に立っていたからだと思うんだ。」
「なるほどな。」
話しながらも歩く速度は変わらない。
更にメル雪山に近づくにつれて道は険しくなっていくが、そんなことをものともせずに行く。
「そう言うリュートも私のペースについてこれてるんだから、足腰強いんだね!」
「まぁな。俺も街から離れた所にある村の出身でさ、そこの近くにある山で修行してたこともあるからな。」
なんて世間話に花を咲かせながらも、お互い息を切らすことなく、山道に変わりつつある道を進む。
しばらくすると、広場のような場所に出た。
そこには俺達が通ってきた道以外に複数本の道が繋がっている場所だった。
「ここは?」
「ここはギルドが管理している野営地、ざっくり言えばキャンプ地かな。1回休憩していこう、私もう腹ぺこだよ。」
空を見上げると、太陽が丁度真上に見えた。
イデアの腹具合も含めて、ちょうどお昼時と言ったところか。
「じゃあ、お昼にしよう。」
「わーい!」
子供のようにはしゃぐイデア。
...年上、で間違いないよな?
見た目じゃ判断できない以上歳上だと決めつけるのは良くないが、俺のようなとんでもない速さで中級にならない限り、俺より年下だと言うのはありえない。
試験官に選ばれるほどの人材であれば、ギルドからの信頼も実績も積んでいるはず。
だとすればやはり、俺のように短い期間でランクをあげていないという事だ。
もしイデアが年下だったのなら、他に考えられるのは多く見積っても中学生位の歳で冒険者になっていなければ辻褄が合わない。
気になる、非常に気になる......。
「?どうしたの?早くご飯食べよ?」
「えっ?あぁ、そうだな...。」
くそっ、女性に年齢を聞くだなんて自殺行為したくねぇ!
俺は悶々としながらも昼ごはんの準備を進めるのだった。




