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転生したオタクゲーマーは異世界RPGを攻略する。  作者: シュトロム
二章 修行編(仮)
29/60

中級昇進試験 1

すみません、数日ほど遅れました。

今回は短めです。

「おはようございます、リュートさん!」

「おー、おはよう。」

「まさかこんなに早くこの日が来るとは思いませんでしたよ!」

「これぐらいで驚いてもらっちゃ困るな、俺は最速で上級冒険者になるつもりなんだからな!」

「言いますねー、期待してますよ!さ、こちらへどうぞ!」


 早朝、俺は当初の予定通り中級に上がる昇進試験を受けるためにいつもより早起きしてギルドに赴いていた。

 睡眠時間が短かったせいか昨日の疲れは少し残ってはいるが、いたって好調である。

 この程度であれば、それこそ師匠ぐらい強い人を相手にしない限りは問題なく勝てるだろう。

 まぁ昇進試験が実技とはまだ決まってないが、そう考えて問題ないはずだ。


 ナナリーに案内されたのは小会議室のようなところで、そこには数名の冒険者がいた。

 駆け出しっぽさの隠しきれない装備だ、俺もだが。

 彼らも中級に上がる試験を受けるのだろう、みな緊張した面持ちで席についていた。

 うーん、傍から見ればいい歳した男数人が個室で黙ってじっとしているのは、何とも滑稽に見えてしまうな。

 そんなに緊張するものなのだろうか?

 不思議に思いながら俺もその中に混ざると、入口からギルドマスターのガルートさんがこれまた冒険者を数名引き連れて入ってきた。

 身なりからするに先輩冒険者なのだろう、先に入っていた俺達と同じ人数だ。


 そして、その中に見知った顔が一つ。


「なぜイデアがここに…?」


 ギルマスとともに入ってきた冒険者で一番最後がイデアだった。

 他の冒険者もそうだが何故ここに?


「私はここ、セントリアス支部ギルドマスターのガルートだ。中級、上級に上がる試験はいつも私が取り仕切っている。後ろに控えているのは今回の試験に協力してもらう中級冒険者たち、つまりはお前たちの先輩になる。彼らには依頼としてお前たち一人一人にアドバイザーと試験官を兼ねて二人一組で行動してもらう。」


 なるほど、そういう事か。

 高位のランクの冒険者から認められれば、同じランクの冒険者になれるってことか。

 ってことはイデアは少なくとも中級冒険者なのか。

 ちらっと視線を向けるとバッチリ目が合った。

 瞬間、シュバッと目を背けられた、俺何かしただろうか…?


 と、ここまで考えてようやく思い出した。

 そうだ、なんで今まで忘れていられたのだろうか。

 一昨日、俺はイデアに……。

 思い出すだけで顔が熱を発し始める、他の人から見れば顔は真っ赤になっているかもしれない。

 再度横目に見ると、あちらもあちらでとても恥ずかしそうにしているのがわかる。

 尻尾は頼りなさそうにゆらゆらと揺れ、ただでさえ白い肌が顔の紅潮を一層目立たせている。

 他の人はなぜそうなっているかわからないだろうが、俺はわかっているからこそ、見ているだけでこっちも恥ずかしくなる。


 だがそれだけではない、その姿が男性の保護欲を煽り非常に魅力的に見せているのだ。

 こちら側にいる者のほとんどがイデアに釘付け状態である。

 俺だけ例外で恥ずかしさが伝播してじっとなど見ていられないのだが。


 そんなことになっているとは露とも知らないギルマスは、淡々と説明を続けていく。


「組み方は……、今正面にいるやつと組め。試験内容等は彼らに一任している、期限は一週間だ。期限内に自分の実力を認めさせ、その証明となるものを持ってこい。私は他の仕事があるからここで解散だ。あとは各自行動するように、健闘を祈る。」


 そう言って足早に立ち去っていった。

 ……正面だと?


 俺は試験を受ける冒険者で最後にこの部屋に入ってきた、座ってる席は扉に一番近いところだ。

 そしてイデアは試験官の冒険者として最後に入ってきた、立っているのは扉に一番近いところだ。

 ……つまりそういう事である。


「よ、よろしくね!」

「あ、あぁ……。」


 ……気まずい、とんでもなく気まずい!!

 偶然会うだけでは飽き足らず、ペアまで組まされるだと……。

 もはやこの状況自体が試練である、俺にとってもイデアにとっても。

 そして横から四人分の圧がひしひしと伝わってくるんだが?

 ……羨ましがってんじゃねぇ!変われるなら変わってやりたいわ!

 こっち見てないでお前らの前にいる先輩と話せ!


 と、視線の応酬を繰り広げつ、今はまずどうすればいいかを模索する。


「……とりあえずここから出よう。話をするにもここじゃ、な?」

「あ、うん!そうだね、行こうか。」


 逃げの一手しかありませんでした。

 背中に怨嗟の視線を受け止めつつ、俺はイデアを引き連れてギルドを出た。

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