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転生したオタクゲーマーは異世界RPGを攻略する。  作者: シュトロム
第一章 転生編
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テンプレは回収していくスタイルで

「それじゃあ、また。」

「はいです!」


 ナナリーのおかげでいろいろと用事も済んだので、一先ず宿に部屋を取りに行くためにギルドを後にしようとした。

 が、受付を振り返るとそこには大きな影が数体。


「おいそこの坊主、新入りかい?だったら先輩に挨拶するのは当たり前だよなぁ?」


 絡んできたのは、席で酒を飲んでいたおっさんグループ。

 冒険者登録し終わると悪そうなやつに囲まれるとか、ゲームでもラノベでもありがちな展開、いわゆるテンプレに巻き込まれたようだ。

 おお、ようやく物語が始まった感じがする、いいねこういうの。

 さて、どう受け答えするかな。


 とりあえず下手に出ておいて、用件を聞いてから考えよう。

 こういう場合ってだいたい強請ってきたりするから、あんまりいい印象はないんだけど。

 もしかしたら普通に歓迎してくれるだけかも、なにか情報とかもらえるかもしれないし。


「そうだな、わかった。俺はリュート。田舎の村暮らしだったから、こういった都会の作法とかそういうのあまり知らないしにかやらかすことがあるかもしれないけど、大目に見てくれ。これからよろしく。」

「ほう、いい返事だ。気に入ったぜ。」

「そりゃどうも。」


 敬語は完璧とまでは言わないが使える。

 ここで使わなかったのは、この世界のヒエラルキー問題でいざこざ起こらないようにするためだ。


 この世界には民主主義の国は極端に少なく、ほとんどが王制でそういう国は貴族が少なからず存在する。

 貴族の形態は王都以外の町村の領主をしたり、資産家の成り上がりだったりと様々だが、血族での貴族、つまりボンボンの世間知らず(偏見)は平民を卑下する傾向にある、どんな物語でもありがちな事案だ。

 で、貴族とかは普段から敬語で話す、出がいいからこその教育だな。

 町中や公共の場で敬語で話すと身なりに構わず、というかお忍びだと思われて周りの人から恭しく扱われたり嫌悪感をあらわにするやつもいるらしい。

 こういう知識はこの町までの道中で知りあった人に教えてもらった、すごくいい人だった。

 初対面の人には敬語で話すのは前世の名残だ、これから直していくべきだと思ってる。


 と、そういうわけで敬語はできるだけ使わないようにしているが、相手への敬意は内容でカバーすればいいという結論に至った。

 うまくいったようで好印象のようだ、よし。


「それで、わざわざ話しかけてくるってことは何か用があるってことなんだよな?」

「察しがいい坊主だな。俺たちゃぁ見ての通りの飲んだくれでよぉ、朝から飲んでっから、もう手持ちがねぇんだわ。だからよぉ、ちょっとでいいんだ貸してやくれんかねぇ?」

「…はぁ?」


 ゴツイ見た目に反していい人かと思ったがそんなことは無かった、今まであった人がみんないい人ばかりだったから、ちょっと期待しすぎてたのかもしれない、はぁ。

 用件はわかった、後はどうするかを決めるだけ。

 俺の答えは、


「酔っ払いに貸す金なんぞ一銭たりともない、飲んでる暇あったら働けおっさん。」

「んだとこらぁ!!」


 もちろんノーだ、あほかこいつら。

 酔っ払いだったとしてももうちょっと考えて行動しろよ、酒のせいでこうまでなるとは。

 それだけアルコールは怖いってことか、気を付けよう、まだ飲める年じゃないけど。


「今の状況わかってんのかてめぇ、一対六で勝てると思ってんのかぁ、あぁん?」

「やればわかるさ、かかってこいよ。頭冷やしてやる。」


 なんか面倒なことになったけど、これはこれでありかな。

 なんていうかRPGやってるなぁて感じがするし。

 俺の実力をためせるし、現役冒険者の力とかも見れるし、ある意味情報提供してくれるってことでいっか。


「後から謝っても許さねぇぞ!行くぞおめぇら!!」

「「「「「おう」」」」」


 おっさん六人パーティは、合図をすると酔っていることが嘘みたいに俺を取り囲みじりじりと追い詰めようとする、普段からパーティでの戦闘に慣れている熟練者の動きだ。

 酔っていても連携が取れるくらいの戦闘経験がある、上級者の風格のようなものを感じる。

 俺も十年使い続けた愛剣である、木剣を抜き構える。


 ゆっくりと近づき、距離を縮めてくる。

 間合いを測っているのだろう、俺の攻撃が届く範囲を見極めようとしているのがわかる。

 そして相手側が一定の距離に踏み込んだ瞬間、一斉に飽和攻撃をしかけてきた。

 剣一本の俺一人に六人がかりで攻撃すれば、すぐに決着がつくと思ったのだろう。

 まぁその考えは間違いじゃないよ。


 勝つのは俺だけどな。


 俺はただの回転切りをしただけ、全員の鳩尾に確実に入るようにはしたが。

 攻撃は最大の防御、やられる前にやれ、前世の知識はやっぱり役に立った。

 最初に話しかけてきたリーダー格のおっさんがアイコンタクトでタイミングを計っているのがまるわかりだったので、不意打ちにもならなかった。

 普段は魔物を相手にしていて対人戦は初心者なのだろう、あんなにもわかりやすくされると逆につまらない。

 それと、普段通りの戦い方が身に付き過ぎてるきらいもある、俺を中心に同距離で、同タイミングで襲ってきたらいちいち受け止めるより攻撃した方が早い。

 魔物相手なら動揺しているうちに倒せるだろうが、対人戦を少しかじっただけの人でもそんな機械的な動きには騙されない。


 結果は一目瞭然、俺の周りでうずくまる六体のおっさんの出来上がりだ。

 真剣じゃなくてよかったな、木剣じゃなかったら死んでたぞ、まぁおっさんたちが鞘ごと武器を抜いてなかったら手加減しなかっただろうけど。

 でもおかげでわかったことがある、意外と俺は強いみたいだってことだ。

 旅に出る前に師匠に言われた、超人くらいじゃなければお主には勝てんよ、という言葉に偽りはなかったってことだな、ここまで鍛えてくれたことに感謝だな。


 さて、このおっさん‘sどうしようかな。


「あの、すごい物音がしたんですけど……、ってひゃあ!なんですかこの状況!?」

「あ、ナナリー。ちょうどいいところにきた。この人たち頼んでもいい?」

「え、頼むってどういう……。」

「それじゃあ。」

「あ、ちょっと!待ってくださいよー!」


 後処理はナナリーにまかせるとして、俺は宿に向かうとしますか。

 後ろから俺を呼ぶ声が聞こえる気がするが、気のせいと言う事にして目的地へ向かった。

この世界で敬語を話すのは、特例を除くと貴族と王族、それに仕える従者たち、接客業の人のみ。

初めにハウラスにリュートが敬語で話した時に、ハウラスはおかしいと気づいていたので‘‘面白い‘‘と言った。

コノ村はかなり田舎の村なので敬語で話しても住人はあまり不思議に思わなかった。


こういう設定とかは、これから活動報告のほうで言っていこうかと思っています。

どうでもいいことばかりですが、気になった方は後書きにて報告しますので見ていただければと。

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