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 だぁああああああ!


 例の自分で採って自分で飲む男子だ。

 左の席に座る男、名前は舞島清一。その向こうが名ノ瀬愛華。クラスのアイドル的存在。

 さっそく話してるよー。

 すごい勇気あるなあ。私怖くて無理だよー。ていうか隣、舞島君だったんだ。

 べったりとした声で舞島君に話しかける。

「ダイニケイビブって知ってる?」

 初日から部活の話か。ていうか初日だからか。

 私は部活どうしようかな。運痴だし。面白みのない女だし。どうせお金かかるし。

「警備部に入ったら少しだけど時給もらえるんだよ? 舞島君も第二警備部に入ろーよ」

 うん?!!!

 時給もらえるってなんよ。

 あーでもこの学校は即席警備員として現場に出すとか言ってたな。でも現金車強奪事件とかに巻き込まれるのも怖い。

 話しかけられてもいないのに独り言で返してしまう。

「私は一人でいいですよー。ていうか高校卒業できたらいいですよーだ」

 教室を出た。四月とはいえ今日の空は鉛色の雲が垂れ込めていて肌寒い。

 廊下も冷暖房完備だけど、この季節だとオフなのかな。

 教室を行ったり来たりする生徒たちはみんな楽しそうで希望ある若者そのものだ。どのような境遇であったとしても、なのだろう。

 自分のクラスから一番遠いクラスまでたどり着いて廊下を引き返す。たまらずため息をついた。

「なんのために高校行きたかったのかなー。カヤ高に来てまでしたかった事ってあったのかな。青春って空から降ってこないかなー」

 言葉とは裏腹に視線は下へ、うつむく。

 今日初めて箱から取り出した新品のスリッパには汚れ一つ付いてなかった。


「青春は降ってくるよ」


 その声は突然に。私のつまらない日常を。いや人生を変えたのに違いない。

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