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私は吉田彩香。
平々凡々どころかカースト制度の最底辺でかろうじて生存を許されている女だ。冗談ではなくてね。
三月三日、私立萱場高等学校特別枠試験で凄まじい男子を見た。
そもそもなんでこんな東海地方のヘンピなリアルウォーキングデッドのローカル高校を受験したのかって??
頭が悪いわけじゃないと信じてるけど、とある高校の合格発表の日、受験者の中で一人を除いてみんな合格!というかその高校は毎年定員割れだから名前を書いたら合格する。
欠番してるの誰だろうって合格者たちが高笑いしてて、私もここ落ちる人の顔が見てみたいと思ってたら私の番号だったよ!
受験者190人のうち不合格が私一人だけなんて……
でもしかたないよね、世の中理不尽だもの。
そういう訳で私は仕方なしに、リアルウォーキングデッドな地域の高校を受験したよー。
まさか落ちるとは思わないから滑り止めも受けてなかったし。
カヤ高は日本をけん引する警備会社が設立した、警備員養成のための専門学校だ。未成年を幹部候補として無料の労働力で酷使していて人権がないといっても差し支えない実態がある。
それでも高校教育が無料で受けられるならいいよ。父親は定年だし、っていうかリストラされたし。
警備員になりたいとでも思ってない人でない限り、カヤ校を受ける生徒は人間のくずの集まりだ、と思っている。みんな私と同じ境遇なんだろうし。
私は最高にコミュ障だけど。
話を戻して・・・
県立落ちて、私立も受けてない、三次四次募集でも不合格な底辺学生が40人くらいカヤ校の最終募集を受けた。
カヤ校は警備員養成するというか、即席警備員を養成するところだから二次試験も特殊で。
自己アピールする科目があって配点も高い。
それで、本来は私も自己アピールするはずなんだろうけど、私の試験は他人の自己アピールを見るというものだった。さいっこうに評価しづらいと思うんだけど、そういう試験なのだと当日押し切られたし。
まあなんでもいいよ。人生30年だし。
そして見せられたのが、自分の血を自分で採って自分で飲むという男子。
試験官に感想を述べろって言われたけど「怖い」としか言えなくてその日は一睡もできなかった。
私体力ないし、中卒で仕事も見つからないだろうし、人生終わったと思ってたら合格したよ。
人生捨てたもんじゃないね。
入学式が済んでクラスでもグループができつつあるけど私は一人。
一歩を踏み出す勇気が足りないのかな。何が言いたいのか全く分からなくなってきた。
今日はここまで。