その七不思議は、あまりにも恐ろしくて優しかった。
「明日、話したいことがあるの」
小学校の卒業式を翌日に控えた日の夕方、結衣はおれにそう言った。いつも元気な彼女には似合わず、恥ずかしそうにしていたその表情に、おれはドキッとしながらぎこちなく頷いた。彼女は嬉しそうに笑った。それが、おれが見た彼女の最後の笑顔だった。翌日、彼女の死が伝えられた。
彼女の突然の死によって、主人公・進藤の心は凍りついたまま、進学のために故郷を離れた。そのまま月日は流れ、10年後。彼は22歳の春を迎えていた。なぜか何度も結衣が夢に出てくるようになり、結衣が何かを進藤に訴えているのではないかと感じるようになる。
結衣は何故、死ななければならなかったのか?結衣は、あのとき何を話そうとしていたのか?そして結衣は、今の進藤に何を伝えようとしているのか?
過去の自分たちと向き合うため、進藤は故郷を訪れる。もう戻らない過去と向き合うために。
悲しくも心暖まるファンタジー(になる予定です)。