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CHANGE THE WORLD!  作者: 保田八助
世『怪』編
3/5

第一綴 凍エ姫 其の二




キーンコーンカーンコーン…


なんとか鐘鳴ギリギリに教室に滑り込めた…


僕が通っている高校、幻怪高校は、こんな田舎町の高校ながら、県内の各中学校から、成績上位者ばかりが集まった県内トップレベルの進学校である。全校生徒数は約一千名程で、おそらくこの町で一番人が集まっているところである。


「なぁ、神溝。お前やっぱり百夜さんと付き合ってんのか?」


…今僕に話しかけているこいつの名前は海樹(みき) 元勝(もとかつ)だ。髪は直毛で、短髪。身長は僕と同じくらいなので、約百七十センチ前後。基本的におちゃらけた奴だ。こいつとは高校生になってから知り合った、話の合う友人だ。少しばかり思考回路がぶっ飛んでいるのか、たまにこう言ったいろんな手順をぶっ飛ばした発言をしてくれる。今のように…


「違うよ…」


「じゃあなんでお前ら同じタイミングで教室に滑り込んでくるんだよ!同じタイミングに来たってことは、一緒に登校してるって事になるだろ?一緒に登校してるって事は…カレカノ関係?ってなるだろ!」


「お前の考察は何回ぶっ飛べば気が済むんだよ!じゃあ何だ?お前のその感じだと、男同士で一緒に登校したらそれはそういう関係だってことになるのか!?」


「それは友達だからだろ?」


「僕達もそうだよ!友達だからだよ!それに…たまたま登校途中で会っただけで別に家に迎えに行ったとか、そういう訳では無いよ…」


「そうなのか。いやさぁ、お前達が一緒に居るところよく見るからさ、そういう関係なのかなぁ…と思って。」


「はぁ…とにかく、それは違うからな。そこら辺よろしく。」


「おう。でも百夜さん、男子から人気あるから、あんまり親しくしすぎるとお前目の敵にされるぞ?気をつけろよ?」


「別に目の敵にされようが、何もやましいことはないし、今更アイツとの接し方を変えろとか言われても、そりゃ厳しいぜ?それとも何だ?ひょっとしてお前、筑萌の事…?」


「いやいやいやいや、そういう訳じゃねーよ。確かに可愛いとは思うけど、恋愛感情では無いよ。好きと可愛いとは全く別モンだよ。もし好きと可愛いが同じだったら俺は平気で二十股はしてるね。この学校は目の保養が多くて助かるわ~」


「…はぁ。」


こいつもこいつで、なんか考えがアレだな…それとも俺がおかしいだけ?みんなこいつみたいな事考えてるの?


「俺この学校に進学して本当に良かったよ…!」


「そりゃあ幸せだなー。はいはい。」


心底どうでもよかったので、そんな事を言って、結構露骨にこの話はこれで終わりアピールをしたんだが、結局こいつは「この学校の美人な人達」について、豆知識的なものを交えながら、先生が来て、HRが始まるまでの約10分間、熱心に話しかけてきた。(その内容については聞き流していたので分からない。死ぬ程どうでもいい。)




「えーみんな、今日は転校生が居ます。野郎共喜べ、女子だ。」



担任がそんな事を言う。教室からむさくるしい声のどよめきが起こった、チラッとあいつの所を見てみると、こっちに気づいて満面の笑みでグッドポーズを取ってきた。いやグッドなのはお前だけだから。



しかし…アニメやマンガ、ラノベならここで来た転校生が特殊な能力を持っていたり、超絶美人だったりと、主人公がその世界観に巻き込まれて結局はウハウハハーレム!なんて事がありがちだが、生憎そんな都合のいい事滅多に起きやしない。夢だよ夢。混同させてはならない。



「名前は、湯木芽 冷華だ。みんな仲良くしてやってくれ。」



入ってきた転校生は、






それはもう綺麗だった。

大きな二重の目、艶やかな髪の色、綺麗な輪郭、小さな顔、出るとこ出た体、そして長くスラッと伸びた足、それはもうまさに美少女の中の美少女であった。


元勝の可愛いがまた一枠増えた気がする。



「…湯木芽 冷華です。よろしくお願いします 。」

声も透き通るように綺麗だった。


「じゃあ取り敢えず湯木芽、空いてる席に座ってくれ。じゃあ…おい、海樹。お前の横、空いてるだろ?座らしてやってくれ。」


「えっ!?ぼ、僕の横ですか?」

おっ!元勝!?


「なんだ、嫌か?」


「いえいえとんでもない!どうぞどうぞ!」

転校生は、横で明らかに高揚した様子の元勝とは真逆に、静かにすっと、元勝の横に座った。

このラノベ的展開…主人公は元勝、お前だったか…

元勝は、こちらに向けて、満面の笑みで親指を立てた。


…良かったね。元勝。

「…俺…今日死ぬのかな…。」

HRが終わった元勝は、そう言っていた。

とにかく幸せそうで何よりである。

その日一日中気持ち悪いほどニコニコしていた元勝は、今日の幸せについてゆっくり話がしたそうだったので、僕は放課後、元勝の話を聞いてやることにした(どうせ暇なので)。



しかしこの時の僕はまだ知らない。

彼の隣の席の、

大きな二重の目をした、

艶やかな髪の色で、

綺麗な輪郭をし、

小さな顔で、

出るとこ出た体、

そして長くスラッと伸びた足と、

美少女の中の美少女の彼女が抱える、

「身も凍える」程の秘密を、これから知ってしまう事を────


pixivにも同作品を上げてます。


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