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CHANGE THE WORLD!  作者: 保田八助
世『怪』編
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第一綴 凍エ姫 其ノ一

今回は最初の話、凍エ姫編です。








第一綴 凍エ姫 其の一


2017年、5月21日。現在の時刻、8時16分、学校の始業時刻は8時50分。僕の現在地点から学校までは、多く見積もっても15分程で着ける。まだまだ時間があったので、僕は周りの畑と木々に囲まれた田舎の風景を楽しみながら、少しゆっくり歩いていた。


僕が住む町、幻怪町。

現在人口3万人程の小さな町で、都市化が進むこのご時世に、まだ畑や森が存在する、自然に囲まれた町だ。デパートやショッピングセンターなどの大型商業施設は無く、コンビニも町に多くて十軒程しかないため、買い物の時は隣町や、都会の方まで行かないといけないという田舎町である。ここ十数年程の人口の低下が著しく、町全体の活気も無くなってきている。その理由には恐らく、この町に昔から伝えられている、多くの「怪談伝説」も少なからずあるだろう。「入ると水底から手が伸びて地獄に引きずり込まれる」、「山奥に住む人喰い鬼」、「人間に乗り移って悪事を働く霊」など、そういった怪奇現象が起きると言い伝えられている。こんな田舎町で、また更に怪奇現象も起こるなんて所に好き好んで住もうと思う人なんて殆どおらず、この町の人口はみるみる減っていくばかりだ。


そんな町でも住めば都で、森の空気は澄んでいて身も心も洗われるようで、夏には森の小川の周りをホタルたちが飛び廻る。その光景は言葉では表しきれない(語彙力不足)程の物である。また、町自体に活気はないとは言うものの、そこに住む人々はみんな明るく、楽しい人々ばかりである。自分の街の贔屓みたいになるかも知れないが、ただ娯楽施設があまり無いと言うだけで、それ以外は人も優しいし、自然に溢れていてのどかだし、何不自由ない、素敵な町だと思う。うん、本当に。





俺の家族は生まれも育ちもずっとこの町で、それは恐らくこれからもずっとそうだろう。この町を出る気も無いが、そもそも出ることが出来ない。何故なら、それが神溝家の宿命でもある為だ。



神溝家は昔から続く霊能力者の家系で、古くから有害な霊を払い、この町を守ることを職として来た。もちろん、今でもその伝統は引き継がれていて、父親の悠作も立派な霊能力者である。普通の会社員として働きながら、今でもたまに出て来る妖怪達を退治している。父の次にこの家を継ぐのは長男の俺になるので、小さい頃から父の仕事を見たり、手伝ったりして来た。母親から受け継いだ「妖怪の力」も、人を守る為に使えたら幸せだからな。




そう言えばまだ、俺の母親がどういう妖怪か、説明していなかったな。おれの母親は…


「れーいくん!」


「んあっ?っておお、筑萌か…」


「ふふっ、驚いた?なんか霊くん、考え事してるような顔してたから驚かそうかと思って。」


「ん、まぁ考え事っちゃあ考え事だな。てか、考え事をしてる相手を驚かすって…お前もし俺が結構大切な事考えてたらどうするんだよ?多分温厚な俺でもキレるぞ?」


「温厚…?まぁいいか。でも、大切な事って何?霊くんだったら…例えば、年下少女の事とか?うんうん、そうだね。男の子にとっては異性の事って大事だもんね。」


「よし前言撤回だ。俺は温厚じゃないから今ブチ切れるぞ!?俺はそんなアブノーマルな事を考えないよ!これは温厚な奴でもキレるよ、仏の顔も1度までになるぞ!?」


「えっごめん、年上だった?」


「よしいいだろう、俺とお前で戦争だ。お前が女子とか関係無ぇ!」


「ハハハ、そういう元気なところを見る限り、やっぱり悩んでるとか、そういうものではなさそうだね!」


「くっ…」






「はぁ…。お前なぁ…」


今俺に対して絡んでるこの失礼な女は、俺の小学校時代からの友人の百夜(ももよる) 筑萌(つくも)である。高校二年生の今もコイツとは同じクラスである。黒縁の眼鏡に、髪は肩までのポニーテール。そしてきっちり第一ボタンまでしめたシャツ、一切曲げられて無いスカートと、真面目な印象を受ける見た目の人間である。まぁ誰に対しても人当たりは良いし(僕除く)、成績も優秀なので、実際に真面目な人間だ。しかしなぁ…なんて言うか、天然と言うか、うーん。残念な奴だなぁ。俺に対してだけならいいのだがなぁ、こう言った若干めんどくさい絡み。こいつも決してスペックが悪い訳じゃないし、寧ろ可愛いと言われる部類に入ると思うんだが。胸もでかいし。


「なんか今すごくいやらしい視線を感じたんだけど。」


「俺の一人語りからそこだけ感じ取るなぁ!」


「ふーん、いやらしい視線を向けたことは否定しないんだぁ…」


「あ。」










不覚…俺がコイツを少しながらエロティックな目線で見てたのがバレてしまった。てか、こいつもそういう自分に対する何かしらを感じ取るなら受け取るでその少し前からちゃんと受け取ってくれよ…



「…すいませんでした。百夜さん。」


「…霊くんの変態。」


「はい。本当にすいませんでした。できる限りの事は何でもするから許してくれ。」


「…ん?今なんでも…」


「それ以上はいくら俺に非があるといっても見逃せねぇぞ!?まさかとは思ったけど、お前の知識量侮れねぇな!そんなものにも精通してるのかよ!」


「ふふっ、霊くんがこの元ネタを知ってるのもなかなかの問題だとは思うけれど…まぁいいや。…ってああっ!結構時間ギリギリになっちゃってる!霊くん、急がないと!」


「え?…って本当だ!あと五分くらいしか無いぞ!走って行くか、筑萌!」


「うん!」






あれ?話が弾んでいる間になんか忘れているような…まぁいいや。今はそんな事より遅刻しちまう!急がないと!



僕達は、済んだ青空の下の田舎道鞄を揺らして走り始めた。

読んでいただきありがとうございます!是非評価のほど、宜しくお願いします!次の話もよろしくお願いしまーす!

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