魔法のランプ
むかしむかし、あるところに魔法のランプがありました。
魔法のランプには魔神が住んでいて、願い事をなんでも3つ叶えてくれます。そして、3つの願い事を叶えるとふしぎとどこかに消えてしまうそうです。
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ある国に小学校に通う普通の男の子がいました。
おとこの子は仲のいい友だちとケンカをしてしまい、とても落ち込んでいました。
おとこの子が学校から帰っている途中、道ばたにランプが落ちてしまいました。
なにげなく擦ると中から魔神がでてきて3つの願い事を聞いてきました。
おとこの子は言いました。
「学校の宿題をなくしてほしい」
魔神は学校の宿題をなくしました。おとこの子は喜びました。
おとこの子は次の願い事を言いました。
「新しいゲームがほしい」
魔神は新しいゲームを出しました。おとこの子はとても喜びました。
少し考えたあと、おとこの子はさいごの願い事を言いました。
「友達と仲直りしたい」
魔神は願い事を叶えました。
おとこの子は仲直りした友達といっしょに楽しくゲームをしました。
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ある国にとても貧しいおんなの子がいました。
おんなの子のお母さんは病気でクスリを買うにもお金が足りずに途方に暮れていました。
おんなの子が食べ物を探すために道を歩いているとランプが落ちているのを見つけました。
なにげなく擦ると中から魔神がでてきて3つの願い事を聞いてきました。
おんなの子は言いました。
「お母さんの病気を治すためのクスリがほしい」
魔神はクスリを出しました。
クスリをお母さんに飲ませると、たちまち元気になりました。おんなの子はとても喜びました。
おんなの子は次の願い事を言いました。
「食べ物がほしい」
魔神は籠いっぱいのパンを出しました。
おんなの子はお母さんといっしょにお腹いっぱいパンを食べました。
おんなの子はさいごの願い事を言いました。
「仕事がほしい」
魔神は願い事を叶えました。
その日からおんなの子はパン屋で働き、お母さんと幸せに暮らしました。
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ある国に一人のおとこがいました。
おとこは仕事もせず毎日遊んでばかりいました。
おとこが酒場に向かっているとランプが落ちているのを見つけました。
なにげなく擦ると中から魔神がでてきて3つの願い事を聞いてきました。
おとこは言いました。
「たくさんの金がほしい」
魔神はたくさんのお金を出しました。
おとこはそのお金で毎日遊び歩きました。
おとこは更に言いました。
「この国の王さまになりたい」
魔神はおとこを王さまにしました。
おとこは住民からたくさんのお金をとりあげて、たくさん贅沢をしました。
楽しくなったおとこはさいごの願い事を言いました。
「世界を支配できる軍隊がほしい」
魔神はとても強い軍隊を出しました。
おとこは軍隊を引き連れ、世界を支配していきました。
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ある国におとこの子がいました。
その国はある国に突然攻撃されて滅ぼされかけていました。
おとこの子が家の中でおびえていると机の上に見覚えのないランプがありました。
なにげなく擦ると中から魔神がでてきて3つの願い事を聞いてきました。
おとこの子は言いました。
「この戦いを終わらせてほしい」
魔神は願い事を叶えました。
すると、外でなっていた銃声が聞こえなくなりました。
おとこの子が外を見ると軍隊が消えていました。おとこの子はとても喜びました。
次におとこの子は壊れた国を見て願い事を言いました。
「この戦いで壊れた物を直してほしい」
魔神は願い事を叶えました。
火に包まれていた国は徐々に元に戻っていきました。
おとこの子は大好きだったおんなの子が撃たれた事を思い出してさいごの願い事を言いました。
「この戦いで死んだ人を生き返らせてほしい」
魔神は願い事を叶えました。
撃たれたおんなの子がおとこの子の所に走ってくるのを見ておとこの子は嬉しくてほほえみました。
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ある国に世界を支配していたおとこがいました。
おとこは軍隊を引き連れ世界を支配していましたが、ある日突然軍隊が消えたのです。
おとこ言いました。
「あのランプがほしい」
誰もその言葉に答えません。
部屋の外から複数の足音が聞こえてきました。
自分を捕まえに来た人だと分かるとおとこは言いました。
「誰か助けてほしい」
誰もその言葉に答えません。
おとこはさいごに何か言いました。
しかし、部屋に入ってくる人達の足音でかけ消されてしまいました。
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魔法のランプは世界中を旅します。
今度はどんな人の願い事を叶えるか。
それはランプにも分かりません。