侵略者
ある田舎町にすんでいる男は夜空を見上げた。数々の星々の中で一際目立つ輝きを放つ星があった。他の星々とは明らかに違う輝きだった。こんなきれいな星々を見るのはもう最後かもしれない。そんなことを考えながら男は寝た。
男は夢を見た。
それは半年前の夢だった。ある天文学者が「ある物体がこちらに向かっている。正体は不明」との発表をした。隕石や何かでの類はないだろうかと世界中で研究された。しかし、その物体は想像とまったく異なるものだった。
“宇宙船”
信じるもの信じないもの多様だったが時が経つにつれ現実だと受け入れ始めた。徐々に画像解析がされ様様なことが分かってきた。“数千の大群であること”“我々人類よりもはるかに科学力が上なこと”そして、明らかな敵意があり完全武装であること”
男はそこで目覚めた。目覚めが悪かったので朝のコーヒーを入れる。会社も行く気には慣れなかった。
男はテレビをつけた。そこはアメリカ最大都市、ニューヨーク。それは無惨な光景だった。人類の知恵の結晶である高層ビル群もそこにはなかった。圧倒的な力を持った宇宙人軍が無差別に攻撃している。どうしてこんな大都会が攻撃されたのか。なんてことない、敵の中心地を攻撃するのは当然である。地球からの攻撃もむなしく散った。
そして、テレビはブラックアウトした。
人類は為すすべも無かった。祈る者、攻撃を唱える者、あきらめる者…
どんな抵抗をしても無駄だった。
この世界に奇跡など存在しない。叩きつけられる現実。宇宙船を観測した時点でもう地球の未来は決まっていた。そして、変えることの出来なかった我々の無力さも痛感した。
せめて、もう少しだけ…そんな想いも届かなかった。
地平線彼方に大群が押し寄せている。
男は何もしなかった。いや、何も出来なかったのかもしれない。逃げることも、戦うことも、喚くことさえも。
その時、男は体が音と光と熱に支配されたように思った。