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勇者になりたかった魔王  作者: 餡黒騎士
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3.歴史

えー、まず更新1回さらっと飛ばしてスマソんでした!

今回ほぼ全て時代背景の説明文です...

苦手な方は読み飛ばしてもらってもかまいません...

今から1万年前、人類が生まれた。聖書にはそう記されている。人は神が作ったのか、それとも猿から進化したのか、はたまた魔物のように魔力から生まれたのか。

未だに議論が続いているがそれはほぼ無意味な争いと言っていいだろう。どうやっても確かめる方法は無いからだ。時空魔法が使えれば確かめに行くことは出来るだろうが遡る、進む時間が増えれば増えるほど時空魔法は二次曲線のようにぐんぐんと魔力を要求してくる。

今ではもう1万年も時を遡るのは全ての人、魔物、土地の魔力をかき集めても必要とする魔力には届かない、そう専門家は語っている。


話がそれてしまった。

とにかく、人類は平和に暮らしていた。小さな小競り合いはあってもすぐに終息へと向かっていく。そんな時が続いていた。

しかし、歴史は5千年前動き出す。

後に神の御使いとして崇められるようになる族長アルトゥール=ガルム率いるガルム族は平均に比べたら小さい部族だった。しかし、周りは強大な部族に囲まれていたのだった。

それは不幸か幸いか、大部族はガルム一族を自分のところに取り込もうと闘争を始めたので立った。結局大部族は疲弊。アルトゥールは疲弊した大部族をまとめ上げ、一つの国、ガルム王国を作ったとされる。

そして、その国という組織は非常に、そして周りの部族にとっては非情なほどに堅牢な組織だった。戦は全戦全勝。瞬く間に世界は一つの国家に吸収されていった。もちろん部族総出で徹底抗戦した部族もあれば、族長自ら出向き、アルトゥールの元へ下った部族もあったと伝えられている。

またアルトゥール=ガルムの死後もその遺言によって王国は運営され、時には古くなり腐った法を刷新し、時には民による国政の運営など、国は姿、形を変えて維持されてきた。


しかし、終わりは唐突に訪れるものである。

建国から2千年後、遂に超巨大国家となったガルム王国は遂に崩壊を迎える。原因はそう、魔物の出現であった。それも神話級魔物の同時出現だった。(今は神話級魔物のことは神の御使いと言われている)


北の大地では角端(かくたん)によってつぶされ、隆起し、大きな渓谷となった。

東の大地では聳弧(しょうこ)によって吹き飛び、無数の穴が出来、島々となった。

南の大地では炎駒(えんく)によって焼かれ、熱溜りが火山となり、熱帯をなった。

西の大地では索冥(さくめい)によって切り刻まれ、強い風が吹き荒れ、砂漠となった。

そして、中の大地では麒麟(きりん)によって圧壊され、灰塵と化し、平地となった。


圧倒的な力による蹂躙。いや、あれは掃滅か。

人には最初から土地は自分のものだと抗うことすら許されぬような強大な力の前にガルム王国は崩壊した。


それでも、抗ったのは無意味だった訳ではなかった。東、西、中央の大地を捨て、戦力を南北に割いた。その結果か。角端、炎駒の封印に成功したのだった。

当時、政府など主要な役所が置かれていた中央を捨てたのには明確な理由があったとされる。北の大地は魔素が多く含まれ、かつ角端によって作られた大きな渓谷が角端に抗うのに適した土地だったから。南の大地は炎駒によって灼熱の大地と化したものの、作物が豊富にとれ、もし炎駒をどうにか出来た場合、他の大地に比べて生き残れる可能性が高かったからだった。


そしてこの人類が乗り越えた危機は新たな問題を生み出したのだった。

そう、それは人類を二分した問題。魔族の誕生であった。


どういうことか。それが判明するのは魔族誕生から2千年前のことである。


今から3千年前、神話級魔物襲来後のこと。

その神の御使いの蹂躙劇により混迷を極めた時代。多くの人が凍え。多くの人が飢え。多くの人が死んだ時代。何もかも無くした時代だった。当時、かわいそうになるのかは分からないが、北へ向かった我らの先祖(古代人と今は呼ばれているが、それは北部魔族領だけであり、南部人族領では北部の先祖のことを古代魔族と別している)は南へ生き延びた人達のことなんぞ考える余裕なんて全く無かった。おそらく南へ向かった人達も考えは同じだっただろう。

国の中央は消し去られほぼ統一の取れない中、多大な犠牲を払いながらも神の御使いを鎮められた古代人が如何につわもの揃いだったのかは計り知れない。しかし、住処を失い。過酷な寒さと険しい山々がそびえるこの土地に食べられる物なんぞ殆ど無いと言って良かっただろう。

文明が著しく破壊されたた為に、食べられる野草などの知識。住処の確保。どれも原始レベルへと叩き落された。つまり、古代人は狩り暮らしが基本となった。魔素が豊富であった為魔物は沢山居たのが不幸中の幸いか。古代人は魔物を狩る術を身につけ、魔物を喰らって困窮を凌いでいたとされている。


神の御使いの封印から千年が過ぎた。

千年の年月というものはとても長い。神の御使いについての恐怖、畏怖などの感情は未だ薄れてはいないものの、文化はある程度回復はするものだ。

千年前と変わった点をいくつかあげると未だに狩りが中心になるのだが、野草の人口栽培など、生活水準は上がって来ていた。

今では千年前と比べ物にならないほど豊かになっているのは事実である。

平均魔力保持量が圧倒的に増えている。これは狩りなどで魔法を使う機会が多くなったというのも要因の一つしれない。が、挙げられる一番の要因はやはり魔素の多い土地での定住だろう。


魔物というのは摩訶不思議なものである。現代でも未だ解明されていない問題の一つだ。

まず、魔物は魔素の多いところから沸く。この表現が一番正しいと思う。

どういうことか。魔力溜りは土地に恵みを与えるものであるが、逆も当然発生する。人間で言うなれば癌みたいなものだろうと考えられる。何らかの原因で世界に溶け込めずに残った魔素の不純物が一定量動物に取り込まれるとその動物が魔物化する。これは自然な魔物であるが問題は次だ。

その魔物化した動物の残留思念が魔素をかき集め魔素により肉体を授かる魔物化。こいつは厄介である。魔物化した動物はほぼ本能と衝動の塊と言って過言では無い。元動物だった魔物は理性は一欠けらも残してはいないものの本能は残っている。不利を認めれば逃げるし、逃げられなければ降伏もする。

しかし思念から魔物化した場合は本能すら残っていない。衝動の塊であるため、全てが敵、全てが食料である。どんな怪我を負ったところでひるむことは無い。現代ではこのような思念産魔物はアンデットと呼ばれている。

ちなみに余談だが、竜などは分類としては動物に入る。30メートルだろうが40メートルだろうが、果ては100メートルだろうがそれ以上だろうが動物である。それはなぜか、理性があるからである。当然魔物化する竜もいる。竜なんてデカイ代物が自身の重さにくらべてちっぽけな羽で飛べるわけもない。

その為、竜は魔力によって浮遊しているわけである。魔法というのは自身が暴走した状態で施行したところで維持系の魔法は発動しにくい。つまり、魔物化した竜は飛行出来なくなる竜が多い。多いというのは本能で飛行を維持できる竜も少なからずいるためである。その飛ぶ竜というのは力を持った竜が成るものでありクラスは災害級魔物となる。討伐するのは非常に困難だ。


また、人は魔物化はしない。魔物化した時点で死ぬ。現代では魔素過取病と呼ばれている。不治の病の一つであり、初期症状の手足の痺れが発生した時点で手遅れとなり徐々に衰弱していき、魔物化すると同時にぽっくりと亡くなる。

そのため人里は魔力溜りに作ってはいけないというのが通説となっている。

なお稀に魔力溜りの魔力と適合し、その魔力溜りの魔力を吸収できることがある。その魔力はその吸収した人の糧となり強大な魔力を保有することになるが、その為には魔力溜りでの長年の修行が必要となり、死ぬか強くなるかの二択といった非生産的、かつ非人道的な行為として現代では忌まれる行為であったりする。(しかし、衰弱といっても普通に歩行は出来程度であり、ぽっくりと死ねるということもあり、人生を諦めた人や、人生を堪能した御老体などなどには忌まれる行為とはいえ物凄い人気がある死に方となっているのは悲しい人間の性というやつか)

魔力溜りが例えば電子レンジで解凍するという例えを使うならば魔素が濃い土地での生活は常温での自然解凍と言えば違いがわかるだろうか。

長い、とても長い何代かによる緩やかな人体の魔素の浸透によって人は強大な魔力保有量を獲得することが出来たのであった。


そして、また千年が過ぎた。もう立派な国がいくつか建国され安定した時代となった。まぁ、多少の小競り合いはあるものの平和な時代だった。しかし2千年も経てばほぼ歴史は埋もれ神の御使いに関しての恐怖、畏怖が消え去っているのはもうお約束というべきだろうか。魔力保有量の上昇などの様々なことによっての慢心と傲慢であることは否定できないが今語ることではないだろう。


そんなある日のことだった。ある村に一人の冒険者が現れた。その名もトムント・クローズ。


トムントの死後見つかった日記にはこう記されている。


―帝国歴867年7月14日光曜日―

私は故郷グリタニア帝国から北を目指して旅を始めておよそ1年が経っただろうか。冒険者になるといい、親父に怒られて家を飛び出しあてもなく彷徨ったのだが大発見をした。私は人里を発見したのだ。向こうの語りかける言葉は分からない。ただ言葉がしゃべれないのか、そう思っていたがそこでは聞き取れないミミズのような言葉によって意思疎通が行われていた。私が話している言葉とは違う言語なのだという考えが浮かんだときはまるで自分の頭の中で雷が劈いた気がしたよ。どうやって意思疎通をしたか、それは簡単なことだった。私はリンゴを彼らに見せた。そうしたらほとんどの人が☆◇※と答えてくれたよ。次に紙にリンゴを描いて見せた。返答は同じだった。ならば、今度はぐちゃぐちゃと黒い何かを書いてやった。ちょっと気分が清々したのはよく覚えている。皆は口々にこういった□▽◎@×○※∵?ってね。あとは物を見せて発音を真似して□▽◎@×○※∵?と言うだけだった。多分□▽◎@×○※∵?って「これはなんですか?」って意味なんだと思う。我ながら惚れ惚れする気転だ。これは早々に言葉を覚えて本国に知らせなければなるまい。遥か極北の地に人族が居た、と。いや、人にしては魔力が多いから魔人族、略して魔族とでも名付けようか。魔族と、物と物の交換ができるようになれば帝国は周りの国に更なる差を付けられるだろう。そのためにも私はこの言葉を早く習得しなければならない。帝国に更なる栄光の光があらんことを。


1年後トムントは魔族発見という巨大な功績を手にグリタニアへと帰還するのだった。

数年後には国交が樹立され、トムントが睨んだ通り物々交換が行われ帝国は更なる発展を遂げた。

そして、帝国はそれより4百年ほど後に人族を一つにまとめる。

それと時を同じくして魔族も小さな国を一纏めにし国を設立。二大大国が平和と安定を築き上げたのであった。


しかし、その安定も長くは続かないものである。人は強欲なもの。抑える上層部と歴史の認識が狂えばすぐに平和など崩れ去るものである。


今から80年前、第一次人魔大戦が勃発する。

原因は至極簡単であった。魔族は己の魔法力を剣に人族による労働力を欲し、それに対し、人族は食料事情を盾に魔族の高度な魔法技術を欲した。


半世紀にも及ぶ戦争は魔王の崩御によって人族の辛勝に終わったものの、両国のダメージは凄まじく停戦となった。


そして、今。北方魔族魔導王国は魔王を召喚。南国人族神聖皇国は勇者を召喚。今再び両軍が相見えようとしているのであった。

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