休校日に目を閉じて
でっち上げの創立記念日なのではなく本当の、小学校の創立記念日に少年たちが、目を閉じる。バス停まで、目をつぶったままで、歩いていく。二人きりの内緒の遠出だ。そうしてどちらも両目とも閉じていなければならない。少年たちにとって今日、季節は無意味だ。ときどき、手を繋ぐ。いるよ。いるな。
海行きたい。
二人が出しあったものを一か所に集め、見下ろしていたら、そうなったというだけだった。
そして、女たち。彼女たちのかん高い喋り声のおかげで、小学生のバスの乗り換えもうまくいく。
休校日、少年たちは座席に並んで収まって、両の目を閉じたままでいる。ただ目を開けたら最初に見えるものが海岸線だったなら、それはどんなにか素敵だろうと、そう二人組は思っている。
彼女たちはそのへんを正しく、一目で理解する。彼女たちは乾燥していて、仕事も家庭もうっちゃって、この両目つむりの、小学生らしく突発的に、休校日に海岸に向かおうとしている二人組の警護チームを、あっという間に作り上げる。案の定、暴力的な大学生たちが乗りこんでくる。二人組に悪さを働こうとした連中は、袋叩きにされ、剥かれ、口内を犯され、横断歩道のところで放り捨てられる。
運転手も見て見ぬふりをする。正しくは、すでにそのバス運転手は、乾燥している女性たちの一人と入れ替わりが済んでいる。日に三度は、何かに対して業を煮やしては、押したり引いたりしているといった感じの老女が、すでに十五分、ハンドルを握っている。
この箱を暴走バスだなんて呼ぶのは間違い、と運転手の女はひとりごちる。これって、すごく美しい日ってことなんじゃないの。
女たちは男の子のポケットにそっと、個包装のチョコレート菓子を忍ばせる。女たちの誰かはハミングしている。
休校日、少年たちはどちらも、両の目を閉じたままでいる。




