美術部員
毎日しっかりと闇の深さを描こうとする君は大した美術部員なんだろう。響き合うことはなく、誰かにとっての避雷針になることもできない、そんな君は美術部員。
男子美術部員はみんな、冬を越すことができない。
だから、というクリーム塗るから旅立つにしろ今はここにちゃんといてほしい。
君は美術部員だ。夏、君は川底に立つ美術部員。かえって邪魔。
いつも、いつもハーベスト食べきれない君は美術部員。
まどろみ回避して色々枯らすのがうまい君は、大した美術部員なんだろう。
クラスの人間がみんなして幽霊屋敷に吸い込まれていくのを見てた君は何をしてたんだろう? その隙に君は、君の顔をひっくり返してた。焼きが足りなくて、スパイスも、テニスコートっぽさもぜんぜんないから。君はすごく軽くて、行くことを決めてて、リーズン膨張しすぎて、右ひだりに左右されそうなこの人生というものに嫌気が差していた。駅でよく意味もなく吐いてて、根元のところでしか不安から目を逸らすことができなくて、君は、君も片づけられない美術部員の内の一人。
こなれた感じで冷蔵庫に入っていく僕に波打ち際から気づいてくれてありがとう。
オムレツの月教えてくれてありがとう。
「固くて味もふつう、そんなんで誰かに食べてもらえると思ってんの?」
そんなようなディコード女子からの視線は美術部員を美術部員にしただけだったよな。
君は、軽蔑にあたいする美術部員。
君は、汚れた僕のたった一人の汚れてない友だち。




