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二段ベッド






 二人の痩せた少年が中学で出会って、すぐに親友同士になった。しかし結局、どちらとも進級することはなかった。一人は、夏がくると急に立てなくなった。もう一人のほうは冬で、こちらは交通事故を装った自殺だった。

 中学生たちにはそれぞれ、きょうだいがいた。一人は、生まれたその日から終いまで兄からは猫扱いされていた少年であり、もう片方は何も食べたくなかった少年で、生きていた頃、少年が人並みに取り組むようにしていたものといったら、学校給食ぐらいだった。ただ朝は、母親の目があった。姉の残していったパンの耳を口に放りこみ、それから小学校へ、中学校へと彼は出かけていった。冬に死んだほうが、このパンの耳の男の子だった。

 猫の男の子とは違って、どこかしら他人を苛立たせるところのある少年だった。猫の男の子としては、雨音がしている中で、きれいな傘を持ったかどうか、横柄な声の大人がたずねたとしても、何の問題もない中学生でもあった彼のことを、とても好きだった。

 事故があった水曜日の朝のこと。少年の母親は傘がどうのこうのといったことは、思いつきもしなかった。それは、友達との死別に遭って以来、数か月ぶりに男の子が制服姿に着替えた日のことだった。彼女が男の子にこづかいを渡す朝になったのも、数か月ぶりだった。それは、きっかり一か月ぶんの額だったのだけど。いつものように、男の子を見送るということも彼女はしなかった。

 出勤しようというときになって、これまで彼女の所有したどの玄関もそうだったように、狭苦しい玄関に立ち、これまで彼女の見てきたいくつかの水曜の朝がそうだったように、暗いから、彼女はそこでようやく照明のスイッチを入れた。

 少年は傘を持たずに外に出ていた。そしてそれは、ほんの五分程度の差だった。


 猫の兄にとって、斎場の段階にきても尚、小さな猫の姿でしか、弟をみとめてやることはできなかった。写真や映像の類いなら弟を人として認識することはできた。決まっていつも彼は、見たことを後悔したものだった。

 弟とその親友の男の子が亡くなった後、高校生が部屋で眺めているのは、そんな写真たちである。高校が終わったら彼もここから出ていく。二組のきょうだいは、アパートの一部屋と公営住宅の一部屋をそれぞれ、どちらも共同で使い続けていた。姉弟のほうが小学校時代に早々に険悪になったのとは違い、兄弟のほうは離れることはなかった。寒い夜には二人抱き合って眠った。猫の兄である彼は、長いあいだ、上段のベッドについて、畳の床に転がっている見知らぬベルトやぼうしやチェーンを投げこむ先くらいにしか、その場所を意識したことはなかった。

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