第7話 6歳の頃
皆さんのお気に入りが増えたので、嬉しい限りです。これからもお願いします。
3年後。俺は6歳になった。
父から教わる剣術、そして母から教わる魔術をそれなりに勉強しつつ、俺はさらに速くなるための身体作り、そして剣と魔術の勉強に精を出した。剣術は剣独特の身体捌き、そして魔術は魔力操作による身体各部の強度強化など速さを高める行為には、本当に嬉しく思う。俺にとって一番大切なのは、速さを速める事、それ1つなのだから。
後、どうでも良い事なのだけれども、うちの中が少し静かに、もっと言えば平和になった。長男のキングベルと次男のハーヴェストが家を出たのだ。長男は王都とか言う所の冒険者を集めた集団組織、ギルドにて躍していたみたい。そして次男のハーヴェストは獣人ばかりが居る街にて魔術の喧嘩を行っているらしい。
長男のキングベルはギルドと言う場所にて、剣のみでどこまでも高みを目指す冒険者として有名らしい。そして次男のハーヴェストは獣人達による人間排他的主義がまかり通ってるらしくて、獣人達が勝手にハーヴェストに襲い掛かってくる場所にて魔術を使って追い払って力を付けているらしい。まぁ、どこに行こうとも彼らは剣術バカ、魔術バカであると言う事なのだろう。
家では俺の妹が生まれた。俺が初めて家に出ていたあの頃、母親が僕の所に来なくなっていたけれども、それは妹の出産を準備していたからだそうだ。セイカ・アルザードと言う名前の妹なのだそうだけれども、どうも俺や長男と次男とは方向が違うけれども、どうにも厄介な性質を持っている子供だそうだ。どんな子供なのかは、走りだけしか興味が無い俺は良くは聞いていないけれども、そのセイカの担当をしているメイドが戸惑っていると、エリザが教えてくれた。
「えっと……シュディン様。お、お食事の用意がで、出来ました」
と、俺が部屋の中で部屋の中で走るために準備体操を行っていると、扉が開かれてメイド服を着た1人の少女が入って来た。
少し色が抜けたような茶色い髪を肩まで伸ばした、赤い瞳をこちらに向けている可愛らしい顔つきの少女。頭の上には髪と同じ色の猫耳、そして同じ色の尻尾を生やしている。そして怯えつつも、彼女は食事を運んできた。
可愛らしい雰囲気を漂わせている彼女。名をオウカと言うらしいが、こいつは3歳の時に俺が拾ってきてしまった障害物である。猫族なのだけれども、どうも俺と同じ歳であるそうなので、歳が近い事もあるけれども、どうも俺の所に来る事が多い。どうも、俺は彼女の事が苦手なのだ。
「……あ、あぁ、シュディン様! 部屋の中で準備体操を無さって……! あ、危ないですので、お止め下さい」
そう言って、いきなり俺の元に走って来てガシッと俺の足を掴む。途端、足が動かなくなってしまう。どんなに頑張って振りほどこうとしても、全く動かない。俺よりも小柄で、さらに言えば涙目でこちらを見ているのにも関わらず、こいつの力は異常に強い。どうも獣人とは人間よりも身体能力が高いと言っても、種ごとに偏りがあるみたいだが、この障害物……いや、オウカは力が強い種なようだ。
まぁ、こいつがここまで俺の行動を制限する理由は分かっている。
4歳の時、俺がメイド服を着たこいつと初めて会った時。俺はこっちをじっと見つめる彼女を無視して、準備体操を始めた。きょとんとした顔をするオウカを無視して、準備体操を終えた俺は、そのまま部屋の中の壁を走った。
これは壁走りと言い、速く走るためにどこでも走れる状態になろうと言う訓練だったのだが、流石にまだ4歳。焦って落ちてしまったのだ。それをナイスキャッチしたのが、このオウカ。
オウカは俺が天井から落ちて死ぬかと思ったらしく、本当に泣きそうな目でガシッと物凄い力(この頃から怪力の片鱗がうかがえる)で俺を掴み、おいおいと泣いていた。
それ以降、彼女の頭の中では『1人で準備体操=危険行為の前触れ』と言う方程式が出来たらしく、部屋の中で準備体操を始めるといつもこれなのだ。
部屋の中でも速さの訓練をしたい俺なのだが、こいつのせいで予定が狂いまくりだ。
はぁー……。本当に嫌な、障害物だぜ。






