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キャストオフ・アクセル  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第22話 覚醒

 ヒバリを我が家に迎えてから早い物で2か月近くが経とうとしていた。この2か月の間に色々な事が起きた。まぁ、些細な事なのだが。

 エリザが結婚した事とか、オウカとヒバリが亜人メイド達の頂点になったりとまぁ、些細な話だ。スピードには何も関係ない話である。俺にとって一番大切になって来るのは速さ、すなわちスピードであるが故、他の事なんて関係ないのだ。


 ……とまぁ、そんな些細な事でも大切な事はあった。数日前、オウカとヒバリが禁書を見つけた。禁書とは読んで字のごとく、禁じられた書物である。禁じられるだけの理由を持った書物。

 2人が見つけたと言うその禁書、それがただの禁書だったら別に俺は気にしないのだが、それは『隔世の書』と言う、スピードに関係ある書物だったからである。


「はい……。これ、お役に立つかもと思いまして……」


「ご主人様のお役に立ったのならば……ヒバリにご褒美欲しいなーって思うんだけれども♪」


 オウカはおずおずと言う感じで俺の左肩を掴む。と言うか、おずおずと触っているはずなのにも関わらず肩が物凄い勢いで悲鳴をあげている事はどう言う事だ? また握力が上がったのだろうか? まぁ、それなら力仕事に割り振る率が増えるだけなのだが。

 ヒバリもなんだろう。こいつに関しては、前よりも胸も背も髪も長くなっている気がする。いや、それに関してはオウカも一緒なのだが、こいつの方が明らかにデカいな。髪も胸もデカかったり長かったりすると、空気抵抗的な意味合いに置いて邪魔になったりするから嫌なのだが。そしてお前は人の右腕をその無駄にデカい胸に挟むな。動き辛いじゃないか。


「とにかく、それが『隔世の書』によって引き出された結果、と言う事なのだな」


 俺がそう聞くと、2人ともそれぞれ頷いていた。


「は、はい……。背も、む、むむ、胸も成長しましたけれども、一番成長したのは握力とかの力関係全般……だと思います。

 (本当はシュディン様よりも背が小さい方が、昔を思い出して私としては嬉しかったんだけど……)」


「うん♪ 魅惑的な胸も、人を誘惑する香りも♪ 全部が新しくなったよー♪ 勿論、シュディン君が好きな、脚の速さも速くなってるわよー♪

 (勿論、あんな所やこんな所もさらに魅惑的になってるわよ♪ 美肌とかあったのかもしれないけど、これでも動じないだなんて流石は、私の大好きなシュディン君♪)」


 なるほど……。力が成長したと言うのは本当だったのか。

 この『隔世の書』。これを読むと、壁を"超えられる"らしい。超えるとは、才能の壁と言う事だ。つまりは、これを読むだけで一気に覚醒出来ると言う事だそうだ。現に、これを読んだと言うオウカとヒバリも今まで以上の仕事をしてくれているし、他の亜人メイドにも読ませてみたが、同じように成長していた。

 今ではアルザード家のメイド達は、トップランクの冒険者や傭兵達さえ引けを取らないほどの武闘派集団になってしまっている。勿論、メイドに必要な家事技術もトップクラスなのだが。


(読んだだけで一気に覚醒する書か……)


 これを読めば、今よりも速くなる事は間違いない。今の俺は、魔力や気、『裸のランナーキャストオフ・アクセル』を使えば、この家の誰にも負けない速さを持っているが、その3つを使わないとうちの犬族や鳥族のメイド達に足の速度で負けてしまっている。これを読む事で、さらに速度の高みに向かうと言うのならば……。


「俺は……この本を読んでさらなる高みへ!」


 いざ! そう思って、俺はページを開いた。


 その瞬間、本の間から真っ白な光が俺を覆い包む。


「シュディン様!」

「シュディン君!」


 俺を心配するような2人の声は遠のいて行き、そして真っ白な空間に俺は辿り着いていた。


「ここは一体……」


「ようこそ、シュディン・アルザード。―――――いや、それとも館林瞬(たてばやししゅん)君と呼んだ方が良いかな?」


 と、そんな俺を、いや転生する前の俺の名前を呼ぶ人物が現れた。その人物は、なんて言うか女神のような人物だった。白い露出の少ない服や可憐な髪など、速さにしか興味がない俺ですら、綺麗だと思うような、まるで女神のような美しさを持った人物だった。

 その女神のような彼女は、俺に語りかけて来た。


「ようこそ、限界の先の世界へ」

 100ptを突破した事を嬉しく思います。この作品を読んで下さり、いつもありがとうございます。


 主人公のシュディン君の周りがどんどん凄い事になっているのですが……。気にしない事にしましょう。

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