第20話 ……懐かれた
植物怪鳥の対処を兎獣人であるヒバリに任せて、俺は道を思う存分走っていた。
身体に魔力だけを循環して走り、その後気力のみで循環して走る。気力と魔力を体内にて自分なりの配合で混ぜ合わせ、その混ぜ合わせた力を体内で高速で循環させて走りまくる。
「はぁー……。今日はこれくらいで良いかな」
と俺は伸びをして一息吐く。俺は走りまくる事が目的では無く、最速を目指しているのである。足の筋肉とは使わなければ衰えて遅くなるが、使い過ぎても速くはならない。剣術や魔術はやればやるほど最強になって行くとは思うけれども、速度と言うのは使い過ぎても速くはならないのだ。特に足での速さを求める時には。
足には鍛錬と共に休息もまた必要なのだ。俺は最速を目指すために、鍛錬と同じくらいに休息も必要だと考えているのである。だから俺はもう今日は最速のための鍛錬を終えて、休息に入る事にした。つまり家に帰る事にしたのだ。
「―――――さて、帰るか」
俺はそう思い、帰りは魔力も気力も使わずに、自分の足の力だけで帰ろうと思っていた。
魔力と気力を使うと確かに最速に近付く。圧倒的に速くはなるとは思う。しかし、最速のためには本来の足の速さも必要だとは思うからだ。
「……最速のために、本来の足の速さもどうにかしないとな」
俺は一息吐いた後に屈伸をして、足をほぐす。その後、頭の中でこの周辺の地図を思い浮かべて、帰宅するための道を決める。そして俺はそのまま足を動かして、家へと走り出していた。
「しかし、肺も昔に比べたら強くなったな」
昔は気力と魔力を両方使って走っていたら肺の強度もあって2時間が限度だったんだけれども、今じゃあ軽く2時間を超えても肺が悲鳴をあげずに走る事が出来るようになっていた。
「まぁ、これからは足以上に肺も鍛えないといけないな」
「ま、待ってくださいな!」
と、俺は走りながら今後の鍛錬計画を考えていると、目の前に全身緑色のヒバリが現れる。おぉ、ここに居ると言う事は、あの植物怪鳥を倒したと言うのか。まだ別れてそんなに時間は経っていないと思うのだが、それほどまでの力があったとは……。まぁ、力があったとしても速さには全く関係無いので俺には関係ないがな。
「わ、私、ヒバリは決めました! あなたのために力を尽くすと!」
「そうか……。まぁ、勝手にすれば良い」
俺はそう言い、そのまま彼女の横を通り過ぎて走り去った。勝手に力を尽くしてくれるのだとすれば俺に止める理由はない。別に障害にならなければ、俺は誰だって良いのだし。
「……と、と言う事で//////」
彼女はそのまま俺の目の前に着地する。
(むっ、障害物となる気か? 面倒な……)
俺はその時、そう思っていた。しかし、いきなり彼女が俺の目の前で服を脱ぎだした時点で驚いていた。
俺の目の前に、下着すら着けていない形の良い、大きめの胸がプルンと揺れ、余計な所に脂肪1つ付いていない理想的な身体が俺の前に出現した。
「つ、つきましては……私とこ、交尾をしていただけませんか//////」
「な、なんだと……」
この時、俺は彼女の異常性に気付いたのであった。
(こいつ、ヤバい奴だ!)




