第12.5話 神様は見ている
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「どうやらシュディン君は順調に育っているようだし、ミハルちゃんも順調だね」
どうも初めまして。私の名前はミフユ。館林瞬君をシュディン・アルザードへと転生させた神様だよ。
今、私はと言うと、シュディン君を観察しています。と言うよりかは、アルザード家の子供達を観察しているのですが。
「キングベル君は剣の第二段階、『視認』を会得したようですね。この調子で剣の第三段階、『慣例』も手に入れる事が出来るでしょう。
ハーヴェスト君はと言うと、相変わらずだね。そろそろ限界突破の魔術道具を手に入れて欲しいのだけれども」
私は神様の中でも末端の末端。このように1つの一かを監視しているのだなんて、余程の末端でないと来ない。けれども、私はとある事情によって神様になっていて、実は神様になる前はアルザード家の一員だったために私はこうして監視の任務を得ているのである。
「ミハルちゃんは相変わらず成長率が異常だなー。とは言っても、使用手段が読書でしかないんだけれども。そしてシュディン君は……速度を速めて行っているし、順調と言えば順調だね」
アルザード家の彼らは、神様のとある戯れの実験体である。実験内容は『ある一点にのみしか興味を示さない者を集めた場合、どうなるかの考察』と言う事だそうです。
アルザード家には意図的に、ある一点にしか興味を示さないバカが集められた。
長男のキングベルは前世で剣術のみを極めた人間を元に、次男のハーヴェストは前世にて自力で魔術の痕跡を見つけ出した人間を元に、三男のシュディンは前世にて速度しか興味を示さなかった人間を元に、そしてミハルちゃんは前世にて読書しか興味を示さなかった人間を元に。
その一点にしか興味を示さない、簡単に言えば『○○バカ』と言う連中をとある一家に集中して生まれさせた場合、どうなるか。それが神様のみたい事らしい。
(まぁ、その意味で言えば私もそのような形で集められた者なんだけれども)
私もまたそう言う目論見で、シュディン君が生まれる5年前にアルザード家の長女にて生を受けた。私は、端的に言えば『歴史バカ』である。歴史学的な痕跡にしか興味が無い、そう言った種類のバカである。その最中に神の痕跡を見つけ出して、神へとなってしまった。それが原因で、私はこのような立場になっているのだけれども。
「まぁ、これからも彼らの事は観察しつつ、神様のお気に召すように報告しないとね」
私はそう言いつつ、報告書を書きつつ、我が兄たちと弟妹達に対して、心の中で頑張れと応援するのであった。
・ミフユ・アルザード
元人間の神様。アルザード家の長女で、シュディンの姉。徹底的な歴史バカで、家中の本の歴史を読み解いている内に神の頂に到達して、神へとなってしまった。
実はアルザード家にバカが集められているのは神様の暇つぶしであった事を知った彼女は、自らその監視役に志願した。