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詩、的なもの

セピア色の街

作者: だくさん




なにかを失う瞬間、僕は黙って目を閉じた。


なにを失ったのかわかりにくくするように、失ったことを認めたくなくて。


なにかを手に入れる瞬間、僕は目を閉じた。


新しいなにかを背負うのが怖くて、変わっていく自分を認めたくなくて。


もしかしたらなにも失ってなかったのかもしれない

もしかしたらなにも変わっていないのかもしれない


僕は自分の瞼の裏をひたすら見つめた


黒い空が時々明るくなって、僕は目を開ける


目の前に広がるのは瞼の裏と同じような世界。


真っ白な、なにもない黒。


なにも見えない世界で僕はただ歩く


そこにはなにもないから、目にはなにも映らなくて、そこにはなんでもあるからなにも映らなかった。


灰色に染まる空に嗤う。僕はどっちだろう、と。


僕がなにかを失わなくても、街は時間を失っていく。


紅い記憶と熱い身体。


僕は変わらなくても街は変わる。


緑から灰へ、茜から紺へ。


きっと僕はわがままな奴だ。


あいつは素直に従うのに、僕はいつも迷っている


紅い身体、白い記憶。


黒の世界を見つめる僕は異色だった。


思い出を失ったことを忘れようとして目をつむった瞬間、僕は何かを手に入れた。


手に入れたものを認めたくなくて目を背けた瞬間、僕はなにかを失った


堂々巡りの自問自答の先に、僕は答えを見つけた


君が泣けば良いんだ


他人の不幸を願って僕は自分の明日を呪う


今日よりも平凡な日であるように、なにも見なくていい日であるように


暇潰しに街へでて、人ごみに紛れると、僕はひとりぼっちになった。


ただ、前を見て呪い、後ろを見て嗤う。


手に入れたものは昨日だ


白の世界に黒を見つめる僕が一人。


失ったものは僕自身だ。






どうなんでしょうね


Twitter:@dakusanno

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