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「ねぇ、不倫ってどう思う?」
「はぁ?なんだよ、急に」
夜11時
祐樹との電話で、ふと聞いていた
「不倫とか浮気とか、俺は許せないな」
はっきりと答えが返ってきた
「そっか‥‥」
「お前まさか‥‥」
「違うよ!私が浮気とかするわけないじゃん」
慌てて否定した
祐樹は束縛心が強い
この夜11時の電話も、私だって仕事や友達付き合いで電話に出れない時もある
その時は着信が数十件残っている
好きだけど、たまに重荷になる
佐々木課長が系列の診療所に異動になると内示がでたと聞いたのは、週末のことだった
帰宅しようと、薄暗い職員専用通路から外へ出ると、佐々木課長がタバコを吸っている
「お疲れさまです」
佐々木課長が私に気付いた
考え事をしていたのか、私が声を掛けたことに、少し驚いた様子を見せた
「水野君、お疲れ」
「課長、タバコ吸いましたっけ?」
佐々木課長は苦笑いを浮かべた
「また吸いたくなってね」
「小夜子さんのこと‥‥」
「えっ!?」
「小夜子さんのこと、守ってあげてくださいね‥小夜子さんって凄い強がりなんですよ、意地っ張りで‥‥たぶん、小夜子さん今辛いと思うから‥‥」
「わかってる。俺も彼女のそういうところが好きだから」
佐々木課長は照れた笑みを見せた
少し安心した