表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/27

長い冬を越え、雪国にもやっと春が訪れた

若草がそよ風に吹かれ、春の匂いを運んでくる


その日、私は仕事を終えて同僚の小夜子と飲みに行った

小夜子とは、仕事の帰りによく2人で飲みに行く


女子2人には似合わない、駅前の古めかしい焼き鳥屋

周りは酔っぱらったサラリーマンが席を埋めつくす


「今日も疲れたぁ、週末になると何処からともなく患者が集まるからね」


「週末だけじゃなく月曜日もですよね、まんべんなく来てくれればいいのに」


私と小夜子の会話は大抵、仕事の愚痴から始まる

小夜子は私より2つ先輩、歳も2つ上だ

私と小夜子が働く院内の総合受付は20人程のの事務員がいる

中でも小夜子とは妙に気が合ったのだ


「そういえば、千佳は最近どうなのよ?彼氏とはうまくやってるの?」


「まぁ、それなりに」


私は照れ笑いを浮かべた


「いいわね〜」


「小夜子さんはどうなんです?恋愛事情は?」


小夜子は意味ありげな笑みを浮かべる


「彼氏できました?」


「あんたね、私だって男の1人や2人いるわよ」


「えっ!そうだったんですか?」


私の驚いた反応に小夜子は頬を膨らませた

だが、それも直ぐに照れた笑顔に戻る


「実は、千佳に一番最初に報告しようと思って‥」 

「なんですか?いきなり」

「私ね仕事辞めることになったの」


「えっ!!!急にどうして?」


私はあまりの突然の話しに驚き、大きな声を出してしまった

同時に店内も一瞬静まりかえり、私の声だけが響いた


「そんな大声出さないでよ」


小夜子はおもむろに左手の甲を私に見せた

薬指にはキラリと光るものがある


「小夜子さん、まさか‥」


「フフン、そのまさか」


「えぇ!知らなかった‥」

混乱した頭を整理させる


「小夜子さん、おめでとうございます」


心の底から出た言葉だ


「で、相手は‥‥?」


小夜子は頬を赤らめた


「佐々木課長‥‥‥」


「えぇ!!佐々木課長って‥‥‥」


私は耳を疑った

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ