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エリート先輩の恋バナ

仕事が出来る先輩

作者: 明太乾酪
掲載日:2026/06/16

霧島先輩が大きなプロジェクトを任されて、それに振り回された私の社会人ライフ

営業部はそこそこ人数が多い部署だ


私はこの春から入社して、自分で言うのもなんだけど結構職場に馴染めていると思う。

特にエースのイケメン霧島和人先輩からは、「新人の中では一番仕事が早いぞ!」なんて褒められて学生時代ぱっとしなかった私としては順調に社会人デビュー出来てる実感があって毎日充実した日々を送っていた。


あの日、霧島先輩が大きなプロジェクトを任されるまでは…。


ある日、霧島先輩が会議室から意気揚々と営業部に戻ってきた時に、とても目を爛々とさせて、「我が部に、大きなプロジェクト任されたぞ!」と言った。


うちの部は、エースの霧島先輩を筆頭に霧島先輩と仲良しの木村匠先輩、鈴木幸先輩、やる気なさそな三枝アキ先輩、私の2年先輩の茂木先輩、竹田先輩、モブ系の私と同期が数名の全8人で構成されていて、実質仕事ができるのはエース含め3人しかいない。


そんな我が部に大きなプロジェクトなんて出来る力あるのかと、私はめちゃくちゃ不安になった。

実際隣の席のやる気無さそうな三枝先輩が「面倒くさ」と呟いたのも聞こえてしまって更に不安がつのった。


そして案の定その日から私の幸せ社会人ライフが崩壊していった。


「昨日用意したこの資料って全部いらなくなったんだっけ?」やら「ここの箇所変更あるんだって」だの、各所から聞こえる同僚の混乱した声。

エース霧島先輩の「この案件、来週中に方向出します」やら「ここ全部並行して進めましょう」やら、とんでもないスピードで指示を出されるので、私は今何をやればいいのか、積み上がっていくタスクを前に頭の中が大混乱だった。


そんな息も出来ないような日がいつまで続くのかと思って絶望しかけていた時に、「それ、無理だろ」と、三枝先輩の気怠そうな声が部内に響いた。


部内の誰も言えなかった事をさらっと言ってしまった三枝先輩を、全員が見つめながら息を呑んでいると、霧島先輩が少し怒っているような口調で「どこがです?」と問う。

三枝先輩は、はぁー…とため息をついてから、霧島先輩と目を合わせて「全部」と答えた。


部内の誰もが手を留めて2人のやりとりをただ見ることしかできない中、霧島先輩が何か言う前に「一回細かく割りな。まとめてやろうとすんな。新人のキャパにあってねーでしょ」と言ってくれた。


霧島先輩は「皆出来るよな」とか「スピード落ちちゃうよ」とかなんとか言ってたけど、誰も賛同する人は居なくて、仲良しの木村先輩鈴木先輩でさえ「確かに」「ちょっと無茶だったな」と三枝先輩の意見に賛同していた。


霧島先輩の意見に、三枝先輩は「皆出来てねーよ」とか「このままのスピードで行くと途中でストップしますよー」と細かく反論していて、霧島先輩も皆の顔色を見て少しバツが悪そうに口ごもっていた。


その日は少し気まずい空気のまま仕事を終え、明日も今日の気まずさを引きずったまま始まるのかと思いながら、それでも三枝先輩のおかげで希望が見えたお陰か、久しぶりによく寝れた。


出社早々、部署の空気が明らかに変わっていた。

というか、机の上に積んであったどれからやるのかわからなかった書類の束の数が明らかに減っていた。


「あの、霧島先輩、今日の仕事はひとまず机の上の書類からでいいですか?」と尋ねたところ、「あぁ、とりあえずなる早でそれお願い。終わったら三枝に渡して指示もらってくれ。…今までごめんな。」と言ってくれた。


その日から、霧島先輩がトップなのは変わらないのに、全体の雰囲気が明らかに変わった。霧島先輩と三枝先輩が話し合っている姿を見かける様になった。


三枝先輩は度々たばこ休憩やら、携帯休憩やら、お茶休憩やらしているイメージだったけど、よく見ていると喫煙室でも偉い人とずっと喋ってて、携帯もずっとなにか文字を打ってて、お茶も実は皆のお茶を用意していたっぽいことがわかった。


同僚が、「めっちゃ仕事しやすくなったな」とか「戻し作業減ったよね」とか話していて、確かにトントン拍子に仕事が進むなーと、三枝先輩を拝みたくなった。


結局、霧島先輩の想定していたスピードでプロジェクトを完成させることができたときには、本当にチームがまとまって動けるようになっていて、全員がスキルアップ実感していた。


いつもは断る仕事後の飲み会も、寧ろ私から皆に声をかけて、無事皆が出席してくれて、皆笑顔で、ついつい私もお酒が進んでしまった。

霧島先輩が赤ら顔で「皆ならできると思ったんだよなー」と満面の笑みで言うものだから、悪い人じゃないんだよなぁと思っていたら、仲良しの木村先輩と鈴木先輩がすかさず「三枝のお陰でしょーが」と両サイドから霧島先輩に突っ込んでいてその場の全員が笑っていた。


無事、楽しい飲み会が終わった後、外の空気を吸いながら、明日は休みだし、いい週末が送れそうだなと思っていたら、「おれ、ちょっと突っ走り過ぎてたよな」と、霧島先輩の声が聞こえてきた。

誰と話しているのかと思ったら、隣には三枝先輩がふらつく霧島先輩を支えながら「気づくのがおせぇのよ」と相槌をうっていた。


声をかけようかと思った時に、後ろから肩を叩かれ、驚いて振り向くと木村先輩と鈴木先輩が口元に人差し指を立てて「しー」と言った。

この2人もめっちゃ仲良しよなぁと思って見ていると、先輩が「なんか良い感じだから、あの2人はそっとしておこう」「そうそう」とコソコソ伝えてきた。

いつの間にそんな事に!と驚いた顔をしていると、「あいつ、入社以来ずっと片思いなんだよなぁ」「一目惚れなんだって」と大暴露されたので、その話を詳しくおねがいしゃすと2人の先輩に馴れ馴れしく二軒目に連れて行ってもらった。

私の社会人ライフはこれからも順風満帆な気配です。


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