6
「よーし、終了~~っと!上出来上出来♪」
始めの30分くらいはひたすら文句を言いながら片付けをしていた私だったけど、今までの狭いアパート住まいから解放され、自分の好き勝手に出来る部屋が出来た事は素直に嬉しい。
「はぁ~〜。それにしても、3時間ぶっ続けの作業はさすがに疲れたなっ」
この家に引っ越してきたのが11時、そして今の時刻は16時。
その間、少しばかりの昼御飯休憩を挟みながらも黙々と作業に没頭した。
元々、私の荷物の量なんてたかが知れてるし、ママに必要以上に急かされ急ピッチで行った荷ほどき作業の成果か、大半の荷物は然るべき所に収まっていて。
「あっ!そうだ!」
大事な事を確認しとかなくてはと、階段を降り、リビングへ。
「ママ~。私の新しい制服どこにあるか知らな~い?」
「制服なら他のと混ざらないように避けてあるわよ。今のうちに一回袖を通してみといてね。あ、それから。後で学校まで案内してあげるから、迷子にならないようにシッカリと道を覚えとくのよ」
「別に行かなくていいよ。さっき携帯のナビでチェックしたし」
「若いっていーわねー。何でもかんでも携帯電話で解決しちゃうんだもん」
「それってママが機械オンチなだけでしょ?何でもかんでも若さのせいにしないでよね」
「蒼依もママくらいの歳になれば分かるわよ。あーー、ママももう一度10代に戻りたいわー」
度々出てくるママの若さに対する執拗なまでの執着は、当事者の私からしてみたら全くの理解不能。
「ママの10代ってさ、テレビは白黒だったんでしょ?この間一緒に見た、昭和と平成を比べる番組でやってたもんね。」
「蒼依…。お願いだから昭和を一くくりにしないでくれる?昭和ってかなり長いのよ?それに蒼依だって、令和生まれの子からしたら一世代前の人よ」
「そんなの負け惜しみじゃん。携帯がショルダーバッグぐらいあった時代の人に言われたくないし」
「全っ然違うから!!」
私は多分、地雷を踏んだんだろう。
私逹のやりとりを横で聞いていた、ママより3歳年下のパパが吹き出し笑ったのを見て、急にカリカリしだしたママからは、そーーと距離を取りつつ離れる事が最善の手段ではあるが、どーやらそうもいかない。




