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学校に行くために、毎日利用しているバスの窓に流れる並木通りの桜に、葉っぱがちらほら混ざりだしてきた先月のはじめ。
新しい学年へと進級した日と同じ日に、クラスの誰よりも早く誕生日を迎えた私。
早すぎる誕生日のせいで今年も家族以外に祝われる事なく、ひっそりと17歳を迎えて今日で2週間が経過しようとしている。
「蒼依、おはよー」
「え?!里美?!こんな時間にどうしたの?!」
今の時刻は8時30分少し前だ。
普通なら学校にいて当たり前なのだけど、遅刻常習犯の里美のまさかの登場に目を丸くして驚く私は、道瀬 蒼依。
渋谷にある公立高校に通っている、至ってどこにでもいる普通の女子高生。
「んふふ〜。今日は途中まで彼ピと一緒に来たんだぁ♪羨ましいでしょ〜」
「全然。私は誰にも気を使う事なく朝は一人で来たい派なの。それに、あんな超満員のバスじゃ会話なんてろくに出来ないでしょ」
「それでも、1分1秒でも一緒にいたいって思うのが恋心ってもんでしょーが。ま、まだまだお子ちゃまの蒼依には分からないよねぇ」
「はい、はい。いいから、早く教室行くよ。そろそろ呼び鈴なっちゃうよー」
このままでは、話の長い里美のせいで下駄箱から全く進まず私まで遅刻しちゃいそう。
でも、毎朝、毎日、休みの日も、代わり映えのない毎日だけど、代わり映えがないからこそ、友達とお気楽に過ごせてる高校生活は楽しい。
教室について通学バックの中身を出している最中も、後ろの席の里美との会話は終わらず。
「そういえばさ!来月ミナミが誕生日じゃん!また、いつものカラオケでいいかな?皆んなにも聞いてみないとなー。もちろん、蒼依も来るでしょ?ついでに、蒼依の誕生日も祝ってあげるからさ」
「ついでって…。まぁ、毎年の事だからいいけどさ。なんかもっと気の利いた言葉でさ〜」
「だって、蒼依の誕生日が早すぎるから悪いんだよ?毎年毎年遅れてでも思い出してあげてるんだから感謝してよねー?いっそのこと、誕生日をクリスマスの日にしちゃいなよー。あ!ホワイトデーなんかもいいんじゃない??バレンタインデーのお返しにプレゼントを何倍にもして返してもらえばさ!あ、そうだった!その前に蒼依はバレンタインデーにチョコを渡す相手がいないんだった!それじゃあ、ホワイトデーはダメだな」
里美のいい加減な発言に適当に相槌を打ちながら、私は担任の先生が来るまでの時間をお気に入りの漫画本で時間を潰している。




