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「おっかしいな~?!茜が間違えて持ってっちゃったのかな~」
それでも一応、下に落ちたりしていないかと机の周りを確認しても見当たらない私のノート。
ここにないとしたら通学バックの中かと、ロッカーに向かいバックの中身をチェックする。
1秒でも早く逃げ出したい気持ちで必死に探すも目的のノートは見当たらず、目の前には中身がぐちゃぐちゃになったバックだけ。
「えー、やっぱない。忘れてきたのかな」
こうなったら、もう諦めよう!
一刻も早くここから出よう!
慌ててバックをロッカーに押し込む私に青依は声をかける。
「蒼依。探し物は見つかった?」
「………」
私は返事すら返さず、開けっぱなしの教室の扉から出て行こうとした瞬間、「待てよ!」と青依の声に振り返り。
「……探しものはコレだろ?」
あれで格好でもつけているつもりなのか?
片手をポケットに突っ込みながら、もう片方の手で私のノートを平つかせている仕草に、私は不快感しか感じない。
「取りに戻ってくると思ったんだ。待ってて正解だったな」
「何でアンタが持ってんのよ!返してよね!」
怒り任せに勢いよく詰めより、ノートを取り返しにかかったまではいいが、それはあっさり阻止される。
「ちょっと!痛いんだけど!」
きつく掴まれた私の手首。
どーにかしようともがいてみるが、力の差は歴然。
悔しくてキッ!と見上げた青依は、余裕の表れなのかフッと笑い私を見下す。
「この髪型も全く変わってないんだな」
持っていたノートを近くの机に置くと、空いた手で私の髪に触れる素振りをした青依の手を、私はすかさず払いのける。
「気安くさわんないでよね!」
「そんな怒んなよ。久しぶりに会えたんだから少しくらい話してくれてもいーじゃん」
「アンタ、バカなの?!私はアンタなんかと話す事なんて全くないわよ!」
「アンタアンタって、冷たいな。前みたく名前で呼んでよ」
「はぁ?何言ってんの?私はアンタなんて全っっ然知らないし!」
「いつまでそうやって無視すんの?せっかく、また会えたんだから、前みたく仲良くしよーぜ」
そして、突然グッと青依へと引き寄せられた私の身体と、ふいに近づいてくる青依の顔。
私はその顔に、右手を思いっきり振りかざす。
「ィッテ!」
「やめてよね!!また、あの時みたいに冗談でキスするつもり?!私はもう、あの頃の私じゃないんだから!!金輪際、私に構わないでよね!!」
結局、ノートは取り返せないまま、私は教室を飛び出した。




