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幻魔達の華 第五章 幻魔化

今回は初幻魔化です。

善鬼と違って魔力を高めて妖魔の様な感じになる強化技ですね。

バトルシーンは少なめ、恋愛シーンはベタ甘で。

誤字、脱字があったらすみません。

火曜日の朝、結花は目を覚ました。

今日から大学に行く日だ。目の前には雷黄の体が目の前にあった。

「おはよう、結花。」

「…おはよう、雷黄。」

結花は雷黄に軽くキスをした。結花の横に天渡が顔を近づけた。

「おはよう、結花。キスしようか?」

「…おはよう、天渡。…うん。」

天渡から結花にキスをした。大きな肩を触ると立派な骨と筋肉の感触があった。

「結花、俺の体も触ろう。本物の鬼の体か触ってみよう。」

雷黄の体も逞しい肩をしていた。

「…触るのって変かな?」

「いいや。夢じゃないか、確認したいんだよな?…大丈夫、夢じゃないよ。」

「ほら?俺の髪も触ってくれ。本物の銀色の髪だ。」

天渡の髪は綺麗な銀色だった。長い綺麗な髪。雷黄も黄色の髪だった。

「今日は家に帰ったら、二人とゆっくり過ごしたいな。」

「あぁ、そうだな。いっぱい愛し合おう。」

また雷黄と天渡とキスをした。



結花は階段を降りて一階の台所に行った。

「おはよう、結花。大学はあるみたいなの?」

「…うん。ただ、バスが一部のみになっているみたい。昨日助けた女子高生は休みかな?」

「お父さんは今日帰って来るの早いみたい。会社の片付けがあるみたい。」

「今日はまた夕方前に日食が起こるって言っていたかな?お父さんには言っている?」

「うん。私は午前中に出掛けたら大丈夫かな?結花も、気を付けなさいよ?」

「はーい。」

結花はトーストとサラダとスープを食べ終わると大学に行く準備をした。

「…じゃあ、行ってきます。」

「行ってらっしゃい。」




結花は外に出るとバス停に向かった。昨日と同じバスだろうか。少しタイヤが茶色になっていた。

バスの中には護がいたが、客は少なかった。

「おはよう、結花。」

「おはよう、護。」

結花が座席に座るとバスの運転手がマイクで話し出した。

「…お嬢さん、昨日は赤色の髪の男の子に助けられたよ。ありがとう。」

それを聞くと日食を思い出した。

「今日!日食が起こりますから!気を付けて下さい!」

それを聞くと近くのOLらしき会社員の女性が反応した。

挿絵(By みてみん)

「…日食って。そんな事、聞いてないわよ?」

「昨日の地震もだけど怪異なの!…太陽なら他の県にいる皆に連絡しておかなきゃ。たぶん15時から16時!」

「…そのお嬢さん、昨日の地震も当てたんだよ。分かった、気を付けるよ。」

バスの運転手が言った。結花も雫達や双葉達に連絡した。

「…まあ、知らなかったら階段とかで怪我をする人が出るかもね。…一応、俺の母さんには言ったよ。」

護が結花に言った。結花は雫の母親の事が浮かんだ。

「まだ時間あるから黒澤さんのお母さんには伝わったかな?流石に黒澤さんのお母さんはいろいろしてくれていたから怪我させたくないわ。」

「…日食ってそんなに気にする事?」

また女性が言った。

「…たぶん、普通の日食と違うの。長い時間暗くなると思う。」

結花はそう言うと大学前のバス停に着いたので護と降りた。

バス停を降りると翼が電車の駅から出て来た。

「おはよう!翼!」

「おはよう、翼。」

「おはよう。結花、護。」

「今日日食だっけ?ちょっと写真に撮っておきたいな。」

「長い皆既日食だから。出かける時は気を付けてね?特に車と自転車。月の影響で暴走する車があるみたい。移動する時は何台か暗示をかけて止めさせるから。」

「…そんなのあるの?…それで皆既日食ね。理解した。人間に害を与える為ね。まあ、黒澤さんと双葉は理解しているかな?」

結花は話ながらアイフォンを気にした。

(…まあ、一応、お母さんとお父さんに連絡しよう。後は…車が暴走するならさっさと月の魔人倒さないとマズイかな。魔人は今まで戦った事がない。たぶん精霊より身体能力は高いかも。)

結花はチラッと護を見た。

「…どうかした?結花。」

「…ん。まあ、ね。なんか今日はいつもより心配だから。…護もだけど、天渡や雷黄も。」

下を向く結花に翼は結花の肩を叩いた。

「…ちなみに。結花は私や黒澤さん、双葉さん達みたいに善鬼にする力がメインじゃないから。結花は『幻魔化』よ。幻の使い魔、その力をより高めるの。姿も違うから。魔の力を持つ姿だから。」

「…なんだか善鬼と逆だね。…分かった、やってみる。」

翼は結花と話ながら歩いていると護は少し心配そうな顔をした。

「護?どうかした?」

「…あっ!何でもないよ!…翼。幻魔化って大丈夫?」

「…気になるよね。善鬼と幻魔って相性悪いから。」

結花の耳にその言葉が聞こえた。

「…翼先生。そこ、詳しく。」

「…いや、先生じゃないから。まあ大学入って言うわ。」

それを聞くと結花は少し早歩きになった。



大学について、結花は椅子に座った。

「…翼が言って護と天渡が仲悪い理由がなんとなく分かった。光と闇みたいな感じでしょ?」

「…そうよ。善鬼が守るものに対して、幻魔は破壊するものよ。」

「でも、リョクやセキやレンやガンはそんな感じしないよ。天渡や雷黄も。」

「結花が幻魔を本来とは別のものに変えているからよ。天渡さんや雷黄さんは結花の理想の男性として作られた。結花が持っている幻魔の四人も誰かを守る幻魔に結花が作り替えてるのよ。」

「…それで名付けたら雰囲気変わるのね。」

「護は以前幻魔を警戒して天渡さんに鬼の力を出して威嚇したでしょ?そしたら天渡さんが敵と思って挑発的になったでしょ。」

「それで仲悪かったの!?勇吹もセットで喧嘩しなくて良かった!」

「…気を付けなさいよ。勇吹と天渡さんも仲が良いわけじゃないから。天渡さん、勇吹が苦手な事を誘って乱すから。」

(昨日わざと高い珈琲飲むように勧めたのばれてたか。)

天渡の声が聞こえた。

(でも、火爪さんには悪いけど、強気な鬼がおどおどするの、可愛いよな。ギャップ萌えって言うだろ?)

雷黄もむちゃくちゃ言っている。

結花の表情を見て護は少し機嫌が悪くなった。

「…結花。結花の鬼達、何か言っているのか?」

「なんか雷黄が勇吹はギャップ萌えとか言ってる。」

「…やっぱりな。ずっとおどおどしていたから。」

「…ごめん。私、昨日高級紅茶飲みたくてわざと勇吹そのままにしちゃった。」

「まあ、俺も珈琲また飲みたくて何も言わなかった。」

それを聞いて結花はプッと笑う。

「勇吹、お父さんがお医者さんで家がお金持ちみたいなイメージあるけど、人におごってもらったりするの苦手だよね?」

「勇吹ってアルバイトしてお金貯めてるでしょ?金銭感覚、ちゃんとあるみたいよ?」

「そっか。…将来の資金稼ぎ?私、聞いた事なかった。」

「そうみたい。勇吹、いろいろアクセサリー作りたいって言ってたから。」

授業が始まり、三人は授業を受けた。



昼御飯の時間、結花は昼御飯を食べながら何か考え事をしていた。

「…結花。何か考え事しているのか?」

「いや、ほら?天渡って光の鬼でしょ?それで幻魔化したらどんな姿になるかなって思って。」

(…光鬼の幻魔は額に一つ、背中に大きな目が現れる。身体中も出そうとしたら目を出せる。その目を攻撃した者は呪いで目が潰れる。…結花、天使ってどんなものを浮かべる?子供の姿かな?本当の天使は翼が生えた目なんだ。その力を持つ。俺の目は全部金色に変わる。…普通の人なら禍々しいと感じる姿になる。でも、結花を愛している気持ちは変わらないからな。…怖がらないでほしい。)

(…雷鬼の幻魔は体が青色の鬼の姿だ。背中の骨が大きくなって、青い雷を発生させる場所が出来るんだ。角の間も電気を発生させるようになる。俺の目も全部青色に変わる。…よくある怖い鬼の姿になるんだ。…でも、結花は邪悪な幻魔を見ても怖がらないから信頼してる。…俺が幻魔になっても、大丈夫だよ。…って。…ごめん、本当は半分は嫌われたくないなって思っている。)

「…。難しいなぁ。私は大丈夫だけど、護とか?翼がどうみるか?とか。」

「…私は大丈夫よ。結花の気持ち、分かるから。私が逆の立場で護や勇吹が幻魔になっても大切にするから。…ね?護?分かるでしょ?天渡さんと雷黄さんの幻魔化。嫌ったり、悪く言ったら結花に永遠に嫌われるわよ?…今日は気を付けなさいよ。」

「うっ!気を付けるよ!ずっとやらかして悪いイメージしかないから!」

「…この感じ、やらかす所だったみたいね?…天渡なんてまだ一歳にもなってないんだから。雷黄はたぶん私と同じ位生きてると思うけど。」

「一応、言っておくけど。今日の月の幻魔、護と勇吹は手出ししないで。強くて勝てないから。天渡さんと雷黄さんとガンさんしか倒せないから。防御のみ。」

「…は?そんなに強いの?翼?」

「結花、今日から強い幻魔ばかり出るから。まず、動きが早いの。善鬼でもきつい。そして一撃が強い。普通の人なら即殺される。それ位強いの。」

「…じゃあ、ここから先は黒澤さんや双葉は呼べないね。善鬼でダメってやばくない?…護、こうなったら苦手かもしれないけど幻魔いないと、町が滅ぶよ。でも、妖怪や怪異は出るよね?そっちのフォローはお願い。」

「分かったよ。…困ったな。あんまり手伝えないな。」

「…無理はしないようにね。護。勇吹にも言っておかないと。」




昼御飯を済ませて午後の授業を終わらせると大学の外で勇吹にあった。

「勇吹!今日も妖怪や怪異の退治お願いね!…アルバイト、大丈夫?疲れてない?」

「…ん?まあ、大丈夫だよ。昔よりタフになったから。他の人の方が疲れてるけどさ。」

「…さてと。今日は月の属性の妖怪や怪異かな?私は二回目なんだよね。以前は蝙蝠と梟と狼のクリーチャータイプが多かったんだよね。」

「黒澤さんとの時かな?」

「そう。月鬼の星谷さんが獣人系の鬼だったかな?」

結花は護に言いながら天渡と雷黄を出した。

翼は月の魔人の元に向かう空間を開いた。

「今日も森の中だけど、今回はゴーストタイプがいきなり現れたりするから。勇吹は火の術、護は刀に土の浄化の力をかけて。」

「じゃあ、天渡と雷黄はなるべく周りを明るくして。二人は術の方がメインでいいかな?」

翼と結花が鬼に指示を出して移動した。

移動すると太陽が暗くなり始めた。



「…私達は学校の中だけど、外で体育してるクラスは大変ね?」

丁度雫のクラスは科学の授業で教室にいた。

「…ほら!黒澤さんの皆既日食の予想!当たってるじゃん!先生!」

「…んな事言われても。…って、かなり長いな?普通は数分位なんだが。」

田中さんが先生に言うが先生は普通の皆既日食と違う事に気がついて不思議そうにした。

「…んー。普通の皆既日食ではないんですよ。中村さんが元に戻すのに50分位は掛かると思います。」

「…黒澤さん。何か前の氷みたいな感じに光るものが浮いてるけど、あれって怪異?」

篠崎さんが窓を指差すと光るものが浮いている。

挿絵(By みてみん)

「メテオライトね。地球にない鉱石よ。」

雫が言うと教師の先生の表情が変わった。

「…黒澤さん。それってようは『隕石』だよね?」

「はい。そうですね。ちなみに普通の隕石と違うから、撃ち落とせば地面にめり込まないから拾えますね。」

「え?地面に埋め込んだらダメなの?」

透が言った。

「土地や建物に埋まると所有者のものになるんだよ。あれなら地面の上に転がるから拾っても大丈夫。」

「…隕石欲しい人ー。」

要に聞いた透が言うと皆手をあげた。

「…じゃあ、今日は今から課外授業にしましょう。皆、グラウンドに集合で。」

「…うっひょー!高く売れるんだろ!隕石!透!片っ端から撃ち落とせ!」

「オッケー。頑張る。」

佐藤君と透はノリノリだった。



場所は変わって、双葉達の授業は体育。朝子が美術の授業で畑田先生が生徒を連れてグラウンドにいた。

双葉は鬼達を出して隕石を落としていた。

「皆、しっかり拾いなさいよ。余ったら他の人に没収されるから。」

「先生は拾わなくていいんですか?」

畑田先生に朝子が言った。

「私はとりあえず何個か拾ったからいいわ。大きいのは一個あるし。」

「私も兄から大きい隕石一個貰ったから十分です。」

グラウンドでは隕石を落としながら影の怪異を倒す鬼もいた。

「…本当に持って帰る隕石は少しだけでいいのか?杏璃。」

「十分ですよ。大きい隕石を何個か拾いましたから。一個でたぶん家を借りて家電が揃います。」

辰夜と杏璃が話す中、双葉は普通にメテオライトを撃ち落としていた。

「…中村さんは拾わなくていいの?」

「え?舞ちゃんに拾って貰ってるよ?」

「双葉姉さん。大きい隕石、結構集まったよ。あっ、根綱君、ちゃんと拾わないと。」

「え!そうなの!…でも、結構いっぱい拾ったからいいかな?」

特に隕石を集めるのに熱が入っているのは井川さんと其田君だった。

「うっひょー!宝の山だぜ!ガンガン集めて家のバイク屋でかくする!」

「よく分からないけど、これは隕石集めて動画の視聴者集めるチャンスだぜ!」




「…だ、そうだ。」

天渡が掌から球体を出して結花達に見せた。

「大丈夫か心配していたけどさ。かなり楽しんでるじゃん?」

「…そんなに凄いのか?あの隕石?」

「あぁ?数千万円するみたいだ。」

勇吹に雷黄が言った。

「…詳しいんだな?」

「あぁ、火爪さんや五十嵐さんに言ってなかったな。俺は雷の鬼だからネットワークの情報が頭の中に入る。」

「ほら?雷の黄鬼さんが現在の事に詳しいのもその為。」

翼が護に言った。

「へぇ?まあ、手で持つのは少しにして、後は翼にお願いしようかな。」

「私は天渡にお願いしよう。こっちもメテオライトが浮いているけどさ。…微かに黒いのが木の影にいるんだよね。敵でしょ。」

結花が勇吹に指差して言った。木の影からこちらを見る影があり、勇吹は警戒していた。

挿絵(By みてみん)

「ナイトゴーストだな。人型もいれば、鳥、獣とタイプは様々だ。結花、なるべく離れないようにな?」

「私は大丈夫。…勇吹、隕石拾う時は気をつけなさいよ。」

「…おっ、俺はそんなにドジな事しねぇよ!」

天渡の説明で結花が勇吹を見た。大体やられやすいのは勇吹だ。

勇吹は顔を赤くして結花に言った。

「…護も気をつけてね。人以外のナイトゴーストは移動速度早いから。」

「…わかった。気を付けるよ。」

ナイトゴーストを結花、翼、天渡が倒しながら雷黄、勇吹、護はメテオライトを撃ち落としていた。

「…なんか歩いてる花がいる。」

「ルナティックフラワーね。結花、あんまり近づかないようにね。幻覚見せるから。」

ルナティックフラワーはかなり香りが強い花だった。

挿絵(By みてみん)

「…火爪さん、五十嵐さん。そろそろ周りに結界張って。ルナティックフラワーのせいでナイトゴーストの位置が分かりにくくなるから。」

雷黄が言って勇吹と護が結界を張るとナイトゴーストがバチバチと言って結界の近くに張りついた。

「…っ!こんなに近づいていたのかよっ!」

「これはっ!やられていたなっ!」

「そうそう。俺は空気の動きで敵の位置がわかるからさ。」

雷黄が雷を掌から撃つとナイトゴーストが塵になった。




ある程度進むと雷黄と天渡が手を上げた。

「…結花、ガンさんを出して。勇吹と護は防御体制。月の魔人が出たら幻魔化、お願いね。」

「…分かった。」

結花が玄武のガンを出した。ガンは現れると何かを唱えた。

全員の前に何か結界のような光が微かに出た。

「…結花さん、動かないでくれ。敵がものすごい速さでこちらに来ている。」

ガンが言うと何か銀色のモノが飛び込んできた。

天渡が刀を出して防ぐとそれは木に飛び移った。

銀色の獣人の形をした無機質のオーラのようなものがいた。

挿絵(By みてみん)

「グフフッ。よく分かったな?切り裂けたと思ったが。」

銀色の魔人は消えると勇吹と護を吹き飛ばした。

雷黄も刀を振るとそれを避けてまた木に飛び移った。

「…これはまずいわ。三人共、幻魔化、いくよ。」

結花が集中して天渡、雷黄、ガンに力を送った。

三人から波動が上がると激しい風が巻き起こった。

結花は強い風が起こるのを感じたが、翼は強い力に耐えている感じがした。

三人は体を大きくさせた。

天渡の背中の真ん中が割れて金色の瞳の目が現れた。

雷黄とガンは背中の肩甲骨が大きくなり、雷黄は青色の電撃を溜める空間が、ガンは大きなエメラルドの宝石が出来た。

天渡は体が少し光っていた。

雷黄は青白い体、ガンは茶色っぽい体で体から蛇を出した姿だった。

その姿は少し禍々しく感じた。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

(…なんだか、ガン、以前戦った時より悪い感じになってない?まっ、いいか。守ってくれるんだから。)

三人が幻魔化すると月の魔人は少し体を後退りしようとしていた。

え?逃げるの?

そう思っていると月の魔人は前方に吹き飛んだ。

月の魔人の後ろから天渡の掌があった。

「…お前、逃げれると思ったか?」

天渡が言った。

「…あっ、あっ。」

何?そんなに幻魔が怖いの?月の魔人だよね?怖そうな月の魔人だったけど?

また月の魔人が逃げようとすると吹き飛ばされた。

逃げようとした先に雷黄の姿があった。

一瞬で?速くない?

雷黄の顔が見えた。

目は全部が金色になっていた。その目は鋭かった。

体が青白くなっているので怖く見えた。

「逃がさねえよ?戦え。」

雷黄が言う。

あぁ、これは怖いわ。

「…あっ!アァアアアッ!」

月の魔人は月から力を吸収しようとした。

ガンの蛇が「キシャアアアッ!」と言うと月の前に岩の壁が出来た。

「…ちょっとはマシになったか?今度は俺がお前の力を試してやろう。」

月の魔人がガンに立ち向かうと瞬時に背後に回って地面に月の魔人を叩きつけた。

ガンの体は前も宝石が埋め込まれた姿で目は全部赤色に光っていた。

「…っ。結花さん、気になったか?ちゃんと意思はあるから、安心してくれ。」

ガンが結花を気にして手を振る。

「…っ!ふざけんなっ!俺は負けねえっ!」

月の魔人が結花の方に顔を向けた。

あっ、ヤバイ。私、狙われている?

月の魔人が消えると結花の前で塵が舞った。

結花の前には額に目を宿した、目が金色になった天渡がいた。

…もしかして?

「…結花、月の魔人が狙っていたから倒した。さぁ、名前を付けて。」

「月の魔人セイ、月の石になって。」

結花が言うと銀色の石が結花の掌に乗った。

結花は天渡をゆっくり見た。額の目は金色の瞳で縦になって結花を見ていた。

天渡はしゃがんで両手を膝に置いた後に片手を結花に伸ばした。

「結花、怖がらなくても大丈夫。おいで?」

結花が天渡に近づくと優しく抱きしめた。

体は大きいけど、天渡は優しかった。

そこに雷黄やガンも寄って来た。

「結花。体が青白くなったけど、触っても大丈夫だよ。」

「俺の蛇も結花さんには大人しいから大丈夫だ。」

雷黄とガンが結花の頬を触った。

大きな掌。結花は二人の手の甲を触った。三人共、姿は恐ろしい幻魔。でも、優しくしてくれる幻魔。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

「…大丈夫。三人共、優しくしてくれるの、私、分かるから。」

やがて、三人の姿は元に戻った。

玄武が両手を出してくるので、結花が触ると元の茶色の石になった。

「…天渡、帰ろうか?」

「あぁ。」



太陽を隠す偽りの月がボロボロと崩れた。



「…皆、十分隕石拾った?終わりみたい。」

雫が言った。

「皆隕石拾えたみたいだよ。」

「僕も沢山拾ったー。でも、大切に持っていよう。」

要と透が言った。

雫は木の側の影が消えるのを見た。

(…うん。もう大丈夫ね。)



「…んー?終わりね?まあ、授業にはなったかな。二年生の皆さんは今度授業で光と陰の勉強をするから今日の皆既日食、参考にして下さいねー。はい、解散。」

林田先生が授業を終わらせた。

「皆、お疲れ様。…公正さんと輝光さんは陰の妖怪の退治、ありがとうございました。」

「あぁ、やっぱり双葉さんは見ていたか。気配を隠していたんだがな。」

「まあ、体が若返ったからな。二人で十分だったな。」

「…じゃあ、今日の夕食はすき焼きにしますね?」

双葉が言うと鬼達は喜んでいたが、輝光も微かに笑って見えた。



結花達が大学前に戻ると何かが頭に浮かぶ。

結花が翼と護と大学の出口に行こうとすると電車の中にいる、電車が止まると駅の名前が写る。

「…結花の明日の幻魔は闇の魔人。場所はきさらぎよ。わかる?異世界よ。」

「…翼。もしかして、ちょっと前に噂になったやつ?」

勇吹が不安そうな顔をした。

「どうしたんだ?勇吹。心配なのか?」

「だって、戻れなくなるかもしれないんだよ。」

勇吹が護に言うと護も不安そうな顔をした。

「大丈夫。闇の魔人を倒したら天渡さんの力で戻れるから。ただ、結花達しか行けない。私、護、勇吹は行けないから。」

「まあ、私達だけで頑張ろうかな?…他に何かある?」

「まず、きさらぎでの飲食はダメ。向こうの住民を殺してはならない。まあ、朱雀のレンさんを使えば大丈夫ね。闇は火、光に弱くて雷も効くから。ただし、闇の魔人は悪知恵を働くから気を付けてね。きさらぎの住民を盾にするとかね。」

「向こうの使ってくる手が分かれば大丈夫かな?じゃあ、今日はありがとう。勇吹は明後日位になるかな?明日終わったら連絡するから。翼と護はまた明日ね?」

結花は三人に手を振って天渡に自宅までの空間を開いてもらった。

翼と護は笑顔だったが、勇吹は不安そうな顔をしていた。

さっきレンを使ったら大丈夫って言っていたでしょ?

もう、泣きそうな顔をしている。火の鬼なんだから、しっかりしてよ?

「…もう。勇吹、心配しないでよね?私、一人じゃないんだから。またね。」

結花は家の中に入ると空間は消えた。

「…もう。勇吹は心配しすぎよ?」

翼が勇吹を抱きしめるが、口がへの字だ。

なんだか、勇吹が翼を甘えているように見えて護も口がへの字だ。

翼の袖を掴んでいた。



「…いや、もう護も勇吹もへたれ過ぎでしょ?」

結花は天渡からこっそり三人の様子を見て言った。

「ただいま。帰ったよ?」

結花が家に入るとリョクが居間からやってきた。

気のせい?体がピカピカに見える。

「結花さん!おかえり!今日の夕食ご馳走だって!」

結花の母親は台所から機嫌良さそうにやってきた。

「おかえり、結花。今日はステーキよ。」

「へぇー?奮発したんだ?今日の月の魔人、セイって名前だから。セイの分もある?」

「あるわよ。お風呂入ってきなさい。」

「はーい。」

結花がお風呂に入って着替えて台所に行くと食べやすいように切ってあるステーキとサラダと味噌汁ご飯が置かれていた。

結花がセイを出すと銀色の髪を逆立てて後ろで結んでいる金色の瞳の男が現れた。

そして、すぐに結花の前で膝をついてしゃがんだ。

挿絵(By みてみん)

「我が主よ。本日はご無礼をお許しください。」

頭を下げて言うが、結花が椅子に座ってセイの方を向く。

「とりあえず、他の皆に言ったけど、私は主って呼ばないで『結花さん』でお願い。セイ、顔を上げて。セイが月の魔人なら未来予知、少しは出来るんでしょ?」

「…は、はい。多少は…。」

セイが言うと結花はふと疑問に思った。

「…確か、黒澤さんの月鬼君もだけどさ、何で未来予知で負けるって分かって戦うの?」

「…主人の命令なら命を捨てて戦うからです。」

その言葉で結花と結花の母親が噴き出した。

『ヤバい!』

二人は同時に言った。

「セイさん。これから結花の…何だったかしら?…一緒にいるなら、自分が死んだり、結花の為に死ぬ事をしたらダメですからね?」

「…主の為に死ぬのはダメなんですか?」

「いなくなったら私が落ち込むからダメ!逃げて対策考えても良いじゃん!…とりあえず、ご飯食べようか?」

セイは椅子に座るのはいいが、ステーキをそっと手で触ろうとして止めた。

分かった、手で食べたら怒られるから止めたなと結花が理解すると動き出した。

「ちょっと待って、…フォーク出そうか?右手使うのかな?」

結花がフォークを出してセイの右手に持たせてステーキを突き刺して食べさせた。

「フォークは硬いからかじらないようにね。後は一人で大丈夫?」

「はい、すみません。…クゥン。」

クゥンって、獣人っぽい魔人だから?落ち込むセイの頭を結花が撫でた。

「結花よりセイさんの方が大きいけど、ちょっと子供っぽいわね。」

「幻魔の時は獣人っぽかったから大きな子犬よ。…まあ、外の世界は危ないから私と出た時は勉強しないとね。後、むやみに壊したらダメだから。物も生き物も。」

「はい。」

結花は青龍セキの水の石を出すと母親に見せた。

「…お母さん、明日はセキ、お願いして良い?リョクは私が連れて行く。」

「分かったわ。明日の戦う幻魔は?」

「闇の魔人できさらぎって言っていたかな?」

それを聞くと結花の母親の表情が曇る。

「…きさらぎって怖い話で聞くアレ?帰れるの?」

「闇の魔人倒したら天渡の空間移動で戻れるって。ただ、私達しか行けないのと、向こうでの飲食禁止と住民殺したらダメって市村さんが言っていたかな?」

「戻れるなら良いけど。…確か凶器で襲ってくるみたいよ?気を付けるのよ。」

「まあ、朱雀のレンに飛んでもらうから大丈夫かな?」

「空を飛べるの?なら、安心ね。…結花、レンさんにも何か食べさせる?チャーハンならすぐ出来るわよ?リョクさんで知ったけど、ご飯食べさせたりすると元気になるみたいよ?」

結花が赤色の石を出すとレンが出てきた。

「ご飯頂きます!」

「じゃあ、作るわね。ステーキ少し余ってるから。」

結花の母親は台所でチャーハンを作るとレンの前に持って来た。

一口サイズのステーキが入ったチャーハンを見るとレンはパクパク食べだした。

不思議とステーキとご飯で食べているけど、レンのチャーハンが美味しそうに見える。

「い…いかん!」

セイが慌てだす。分かった。涎出そうになったんでしょ?

『ご馳走様でした。』

「はい。昨日のガンさんの金が高く売れたからこれから少し多めに夕食作るから。」

「へぇ?今日は暗くなってからキラキラ光っていたのがメテオライトって隕石だったみたいで、黒澤さんや双葉がいっぱい集めていたかな?高く売れるんだって?」

それを言うとリョクが大きな袋を持ってやってきた。

「…それ…。」

「今日、うちの周りも飛んでいたからリョクさんが撃ち落としていたの。で、珍しいからって沢山集めてたけど…。」

「…隕石じゃん。また資金になったね。」

「まあ、買い取り手を探すのは難しいと思うから、様子見ね。」



結花はリョク、レン、セイを幻魔の石に戻すと自分の部屋に戻った。

部屋の扉を閉めると天渡と雷黄が現れたが少し元気がなかった。雷黄が座って腕を伸ばして来るようにしていた。

「…どうしたの?元気ないじゃん。」

「…幻魔化したからさ。結花が驚いていたのが分かったから。嫌われないかなって気になったからさ。」

「…あー。あれね?翼達の前だから普通にしていたけどさ、雷黄の青白い電流みたいな体、どんなのかな、とか、天渡の体って目があったけど、どんなのかなって思ってた。ちょっと怖いとは思ったけど、興味もあったかな…。」

結花が言うと雷黄は顔を近づけて結花にキスをした。

「…美味しい味がする。」

「だよね!今日の夕食のステーキ!高いやつよ!見た!?レンが一口ステーキのチャーハン美味しそうに食べて!セイが涎出そうになっててさ!」

天渡も結花にキスをした。

「…確かに美味い味がするな…。」

「…アーッ!今日の私!高級ステーキ結花ちゃんじゃん!超恥ずかしい!」

結花が両手で顔を隠すが、チラッと天渡を見ると唇をペロッと舐めていた。

雷黄を見るとやはり唇をペロッと舐めていた。

表情は少し色っぽく感じた。恥ずかしいんだけど。

「…結花。キス、美味しかったから今度は俺の体、味見してみる?」

雷黄は大胸筋を大きくして見せた。

「…雷黄、誘ってる?」

「あぁ、結花に食べられてみたい。」

雷黄は唇から舌をペロッと出して笑顔で言った。

「もうっ!何で平べったい筋肉の胸で誘惑するの!私より膨らんでないのに!」

「だって、俺は結花に体を差し出す鬼の男だぞ?結花に食べられたいな?」

「もう!雷黄の意地悪!でも、好き!雷黄の筋肉の体、柔らかくて私をダメにしちゃう!」

雷黄の体に抱きつくと温かい体温が結花の体に伝わった。

大きな掌が頭を包んだ。

微かに甘い柚子みたいな香りがした。

「…こんなに優しくされたらさ。幻魔になっても一緒にいたい。変身しても私を守ってくれるんでしょ?」

「…あぁ、守るよ。結花を愛しているから。」

暫くして結花が雷黄の胸に手を当てると雷黄は腕を緩めた。

結花が天渡を見ると笑顔で両手を広げた。

「…おいで、結花。抱いてあげるからな。」

天渡の体に結花が顔を当てると少し甘いバニラのような香りがした。

「…天渡は甘い香りがする。…もう、私、ダメになっちゃうよ。」

「…ダメになったらいけないのか?」

「…だって、私、ふにゃふにゃのプーになっちゃうよ。」

「…じゃあ、こうしよう。今日は頑張ったからご褒美に甘えるんだ。これで悪くないだろ?」

「…なんか、それってズルい。でも、いいや。…頑張ったのは天渡や雷黄なのに、私が甘えたら悪くない?」

結花が顔を上げて天渡に言った。

「俺達は結花の甘える姿を見るのがご褒美なんだ。俺達に見せるその甘い表情。結花の心が満たされると、俺達にも伝わって満たされる。心を無防備にさせて包まれると得られる安心感。俺達の優しさにもっと触れてほしい。」

甘い香りが強くなる。気持ちがとろけそうになる。

「…天渡も雷黄も好き。何で優しくしてくれるの?」

「結花を愛しているからだよ。だから、もっと癒したい。」

天渡は結花の体を揺らしながら言った。

ズルい。こんな事されたら眠くなっちゃうよ。

「結花。眠くなったら寝て、夜、目が覚めたらまた俺達に甘えたら良いんだよ?」

「…ズルい。夜、目が覚めてもまたすぐ気持ち良くて眠くなっちゃうよ…。」

雷黄が言うが結花の瞼が沈んでいった。

「愛しているよ、結花。」

天渡の甘い言葉で結花は眠った。

今回は少し雫達や双葉達が出ながらの話になります。

敵も強いけど、幻魔化も強い。

と言うか幻魔には幻魔でないとダメみたいな部分を出したいなと思いました。

一番ほしいのは甘い恋愛シーンでしょうか。

ふざけた部分がありながら、甘い。

幻魔の姿の不安は戦った後のハグで軽くなったと思うので激甘にしました。

以上。

次回に続け。

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