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幻魔達の華 第三章 鬼の揺りかご

今回は朱雀戦の回ですが、前半は天渡と雷黄の鬼の揺りかごの回です。

ちょっと刺激強めになりました。

誤字、脱字があったらすみません。


日曜日の朝、結花が目を覚ますと目の前には雷黄の体が目に入った。

(…暖かい。もう少し寝ていたいけどな…。)

時計を見ると7時半だった。

「おはよう、結花。もう少し寝る?」

「…いや。朝御飯食べて暫くしてからでいいや。」

結花が体を起こすと上半身裸の雷黄が目に入る。

結花は半分悪戯、半分興味で雷黄の胸の突起を指で触れた。

(あっ。ちょっと硬いかも。)

「…結花。触って見たかった?」

「人の胸なんて触らないでしょ。恋人とかでないと。」

結花がパジャマを引っ張られて振り向くと天渡が笑顔で見ていた。

結花が天渡の胸の突起にも指で触れると雷黄より硬く感じた。

「…雷黄より硬いかも。」

「あぁ。結花と一緒だから興奮している。」

天渡は少し息が荒かった。

「…後で二人の胸で遊んじゃおうかな?」

「…結花、約束だよ?後で遊んで?」

雷黄が頬を赤くして言った。

雷黄と軽く唇を合わせると雷黄は結花の体に入った。

「…結花。また後で一緒に遊ぼう。」

天渡も結花にキスをして結花の体の中に入った。

結花は階段を降りて台所に行った。

「おはよう。お母さん。」

「おはよう、結花。朝御飯出来てるわよ。今日の予定は?」

「お昼に出かけて黒澤さんや二瀬さんに逢って、夕方前に解散。」

「お母さんはお父さんと午前中は買い物に行くから。帰ってくるのはお昼過ぎてからだから、冷凍庫のパスタかピラフでも食べておいて。」

「はーい。…いただきます。」

結花は食べながら(お父さんいたら、私に悪いからかな?)とか思っていた。

「…今日、日曜日よね?双葉のお父さん、帰ってくるけど、どうしているかな?」

「…何が?」

「林田さんと月ヶ宮さん、双葉の家で寝てるはずだけど。」

母親が咳き込む。

(…確か、林田さんが先に起きて双葉さんのお父さんと一緒に料理をしているはずだ。月ヶ宮さんもお皿を用意したりしている。食事は四人で台所で食べて、残りの鬼は居間や林田さん達が寝ていた部屋を片付けて食べているな。)

結花と母親の頭に双葉達の様子が浮かんだ。

「へぇ、林田さんは料理出来るのね?天渡さんは出来るの?」

(出来ますよ、俺も雷黄も。お昼は台所を借りますね?)

それを聞くと母親は結花の顔を見てニヤニヤした。

「良かったわね、結花。お昼御飯の写真、食べる前にお母さんにメールで送ってよ?」

「…うん。」

結花は少し照れながら言った。

「…ごちそうさま。」

結花は朝御飯を食べ終わると食器を流し台に持って行き、部屋に戻った。

(…結花、ちょっと大人っぽくなった?まあ、双葉ちゃんも変わっているかも。それに秀雄さんも双葉ちゃんの恋人を許しているなら、信頼しているのね。…うちのお父さんはもう少し頑張って欲しいわ。)



結花が部屋に戻るとまた天渡と雷黄が現れた。

「…さぁ、また続きをしよう。」

天渡は座ると結花に手を差し出した。その表情は嬉しそうだった。少し顔を見れなかっただけでも、再び結花とまた見れて心の底から嬉しそうにしていた。

天渡の足に結花は乗った。結花も少し嬉しかった。天渡の表情を見ると本当に嬉しそうな顔をしていたからだ。私は愛されている。

天渡の表情を見ると柔らかくなっていた。目の前に結花がいるので安心していた。

「結花、両手で天渡の胸に触れて。普通の人間の男と違って大きな胸。鬼の大胸筋だよ。」

雷黄の言葉の意味は分かる。天渡の胸に手を当てると胸に手が少し沈むのだ。普通の胸板とは違うのだろう。

また天渡の息が荒くなった。天渡が興奮しているのが分かる。結花も胸が熱くなった。もっと天渡に甘えたい。

「…結花、おいで。甘えたいんだな?俺の腕の中においで。」

天渡がそう言って両手で結花を抱いた。結花の顔は天渡の胸の突起と重なった。

(…出るわけないじゃん。天渡、男だし。)

そう思いながらも結花は天渡の胸を吸ってしまった。

微妙に何か液体を感じる。それも甘い。

(…う、嘘…。)

少し結花の呼吸が荒くなる。だが、天渡は結花の顔を胸に暫く当てたままで離そうとしなかった。天渡の胸を吸う度に微量の甘い液体が出た。

結花の喉に甘い香りが残った。鬼の甘い液体の味だ。

「…はっ、ははっ。…結花、美味かったか?鬼の鬼のミルク。」

「…っ!…もうっ!…甘かった。」

結花は少し恥ずかしさで怒っていたが、嬉しさもあった。

「…結花、悪戯するつもりはないんだ。結花に鬼のミルク、あげたい。…俺も。

俺達は特別な鬼なんだ。結花の周りにいる鬼達とは違う。人間から鬼になると男や女って性別があるけど、俺達は自然の力から生まれたから違うんだ。男の姿だけど、ミルク出したり普通じゃない事も出来る。

…結花。俺も結花にミルクあげたい。」

雷黄は結花の事を思っているのか表情は気持ちを抑えて照れながら真剣に言ってるようだった。

「…結花。雷黄にも甘えていいんだぞ。俺達は結花の鬼。そして、強い善鬼の気を持つ鬼。結花への愛情は強い。結花、もっと甘えてくれ。結花を愛してとろけさせたい。」

天渡が言うと雷黄は両手を結花に差し出した。

筋肉がついた腕は無理矢理引き寄せたり、乱暴な事はしなかった。自然に結花が来るのを待っていた。

結花は雷黄の腕に近づくと結花の体を抱き上げて顔を胸に近づけた。

結花は天渡のように雷黄の胸を吸った。雷黄も微量のミルクを出した。天渡とは違う軽めの甘さに柑橘の感じがほんのりした。

(…不思議。なんとなく柑橘の味がするのに分かんない。たぶんボンタン?癖がないミルクの味。…でも、ずっと喉に微かに香りが残ってる。)

雷黄は少し息が荒くなりながら結花の体を小刻みに揺らす。

雷黄を作ったのは結花。だから結花は本当は雷黄の親のようなものかもしれない。でも、雷黄は結花を揺りかごのように体を揺らしていた。

「…結花を、可愛がりたい。だから、体を捧げるんだ。俺達にしか出来ない愛情を捧げる。結花、何度も言いたい。愛している。俺は結花を愛している。」

結花は天渡と雷黄と交互に鬼の優しい腕の揺りかごの中でいた。

暫くして天渡が私服に着替えて結花の部屋を出ていった。

「…あっ。結花のお母さん。今、結花はまた眠ったのでそっとしてもらえますか?」

「あら?良く寝るのね?」

「幻魔との戦いで疲れもあるのでしょう。」

「…そうね。結花のお昼御飯は天渡さんが作るんでしたよね?後は結花の事、お願いしますね。」

「はい。」

天渡が結花の母親にうまく言ったようだ。

「…結花、安心して俺のミルク飲もうね。」

雷黄が結花に優しく言った。だんだん眠くなってきた…。



「…結花、昼御飯の時間だよ。さぁ、起きよう。」

気がつくと12時半になっていた。たぶん、天渡と雷黄のミルクの飲み過ぎで眠ったのだろう。恥ずかしい。

「結花。俺達のミルクは癒しの力があるんだ。だから、眠くなってきても恥ずかしがらなくていいんだよ?」

「…だって、天渡と雷黄と抱き合っていたかったんだもん。」

「…大丈夫。毎日一緒だよ。いっぱい側にいる。」

雷黄が優しくキスをした。雷黄のキスは少しビターな柑橘の味が微かにした。

結花が台所に行くとキノコの和風パスタが出来ていた。

「…結花、昼御飯が出来たぞ。その前に俺とキスしよう。」

「うん。ありがとう。」

天渡とキスをするとやはり甘い味がした。

(…確かお母さんが昼御飯の写真みたいって言ってたかな。)

結花は写真を撮ってメールで送ると一口食べた。

「…うん。美味しいよ。」

「じゃあ、ご褒美に膝の上に乗ってほしいな?」

「…もう。…いいよ。」

天渡が椅子に乗って、その上から結花が乗った。当然、テーブルより高くなるので天渡が左手で結花を抱きしめて、右手はパスタの入った皿を持っていた。

(…天渡の腕、太い。)

結花が食べ終わると反対側には雷黄がテーブルから椅子を少し離して座っていた。

雷黄の体が良く分かる。

少し膨らんだ胸、深く割れた腹筋、広い肩に太い腕。

「…結花にもっと体を見て欲しいけど、洗い物しなきゃな。」

「…え?雷黄がするの?」

「あぁ。雷黄、頼む。結花はこっちを向いて。今度は俺の体を見て?」

結花が振り向くと天渡の体が目に入る。

大きな肩、太い腕、逞しい大胸筋。

結花は天渡の肩に顔を乗せた。

「…そうだ、結花。甘えていいんだよ。」

「うん。」

雷黄はフライパンを洗ったりしていたが、水の音も耳に入らなかった。

天渡の低くて甘い声の方が聞こえた。

雷黄は洗い物を済ませると二人に近づいた。

「…結花、天渡はまたドーナツの予約をしに行くから、俺の膝に乗ろう?」

「…うん。」

雷黄はしゃがんで言った。結花が向かいあって乗ると両腕持ち上げて揺らした。

「…っ!結花、大好きだ!」

結花が雷黄の肩に顔を置くと雷黄は真剣な声で言った。

やがて、片手で結花を抱いて、もう一方の腕で頭を撫でていた。

天渡が戻ると結花の後ろから体を密着させた。着ていた服が消えて、また肌が見えた。

「…また部屋に戻ろうか?」

雷黄が結花を抱いたまま階段を登って部屋に行った。

雷黄はゆっくり座って背中を擦った。結花も同じように雷黄の背中を擦った。

(…なんか、こんなシチュエーションを聞いた事あるような?)

「…結花が前に大学で五十嵐さんが寂しがっていた時に市村さんが背中を擦って慰めたって聞いただろ?」

…そうだった。あの時は翼の身に何かあったら護と勇吹の事を頼まれて、それを聞いた護が悲しんだのだった。

今は翼は予知能力があるから気にしてないけど。

鬼は悲しんで泣きすぎたら枯れる、だったかな?

「…鬼は悲しむと枯れる、だったかな?私の方が枯れちゃうよ。雷黄も天渡も失ったら。」

「…分かっているよ。だから、怪我には気をつけるよ。」

雷黄が結花に言うとキスをした。そして唇を離すと天渡も顔を近づけたので天渡ともキスをした。

雷黄と天渡の二人は交互に結花を抱き上げてゆっくり結花の体を揺らした。

結花は少し気分が良くて眠くなっていた。

その顔を雷黄と天渡は嬉しそうに見ていた。

「…そろそろ着替えて出かけようか?結花。」

「…うん。」

雷黄に言われて結花は出かける準備をした。




玄関から天渡の力で美術大学前に出た。

結花が出ると翼達と雫達が現れた。

雫達の方は雫の母親がいた。

「中村さん?久しぶりね。今日は雫をよろしくお願いしますね。」

「はーい!」

結花が笑顔で挨拶をすると雫は母親に手を振った。

「久しぶりー、中村さん。僕、今日のコローリィードーナツ楽しみ。」

「透さん久しぶり。向こうにコローリィードーナツ、お店ないからね。」

透は嬉しそうに結花に話したが、要は何か恥ずかしそうにしていた。

「久しぶりです。中村さん、今日はよろしくお願いします」

「久しぶり、黒澤さん。要さんも久しぶり。今日はよろしくね。」

雫も何か顔が少し赤い。

「はじめまして。光鬼に天渡だ。今日はよろしく。」

「俺は雷鬼の雷黄。結花が名前をつけてくれたんだ。二人共、よろしく。」

「ふ、二瀬要です!よろしくお願いします!」

「く、黒澤雫です!よろしくお願いします!」

「僕は二瀬透です。よろしくお願いします。」

天渡と雷黄が三人に挨拶をすると透は普通に挨拶をしたが、要と雫の様子はおかしい。

暫くして結花は何となく理解した。

「…待って。もしかして、要さんと黒澤さん、私の失態、見た?」

結花が作り笑いで慌てだす。

よく見たら翼達も黙っていた。翼と護は気まずい顔をしていたが、勇吹は少し呆れていた。

「…結花。むちゃくちゃ甘えていたな?」

そう言うと雷黄が結花の肩を寄せた。

「火爪さんと五十嵐さんは昨夜は市村さんに甘えていたな!」

雷黄は笑って少し大きな声で言った。

翼達三人は顔を赤くした。

「え!結局そっちだったの!」

「いっ!勇吹っ!」

「…勇吹。何で言っちゃうのよ?」

結花や護、翼が反応した。

「…ばっ!馬鹿!何ばらしているんだっ!」

「いや?やり返しただけだぞ?」

焦る勇吹に雷黄が言った。それを聞いて恥ずかしがる要や雫と違い、透はよく分かっていないようだった。むしろ、要と雫だけ翼や結花の事を見たようだった。

「…雷黄さん?何の話をしているの?」

「ん?結花は俺や雷黄が甘えさせてな?彼らは翼さんに甘えている。」

天渡が透にハッキリ言った。

「おっ!お前っ!何ばらしているんだっ!」

「へぇっ?火爪さんや五十嵐さんは甘えん坊なんだ?僕と一緒?」

「そうだよ?」

勇吹と護は恥ずかしさで顔が真っ赤だが、雷黄は気にせず透に言った。

「…要さんは黒澤さんを甘えさせるんだよな?俺達と一緒だ。」

天渡が恥ずかしがる結花の肩を寄せながら言った。

「…ま、まだそこまで大胆には出来ませんけど。」

要は少し恥ずかしそうに言った。

「僕は雫に甘えるのが好きー。」

透は雫に抱きついた。

「…と、透!こんな時に何やっているんだよ!」

「…まあまあ。要、落ち着いて。…結花さん。今日の朱雀は空を飛んでいるの。青龍さんを出して聖獣になってもらっていい?」

「え?変身出来るの?やってもらおうかな?」

結花が青龍を出すと青龍は理解していたのか体を人間の姿から青龍の姿にさせた。

「わぁ!大きい!長い!」

「セキ、皆を乗せて空に行けそう?」

「あぁ、大丈夫だ。」

セキの頭に結花達が乗り、左右の角に雫達と翼達が乗った。

九人を乗せるとセキは南の空を飛んでいった。

(結花、負担が掛からないように翼さんが結界を張っているから実質戦えるのは八人だ。)

(分かった。)

天渡の声が聞こえた。結花が前方を見ると何かいるのが分かった。

挿絵(By みてみん)

「…なんか大きな羽が浮いてる?」

「…羽根目だ。羽根に目がついた妖怪で相手に突き刺さって生き血を吸うんだ。」

雷黄が結花に説明した。羽根目はこちらを見ると羽根をこちらに向けた。

「結花さん!吹き飛ばすか!?」

「…いや、黒澤さんが燃やすみたいだ。」

青龍が水を溜めようとしたが、天渡が止めた。

雫は前方に大きな火球を放った。

結花は勇吹の顔を見ると勇吹も頷いて火球を放った。

暫くすると赤い霧のようなものが見えた。

挿絵(By みてみん)

「…あれも敵?」

「あぁ、邪気で出来た霧だ。病気になる。光の結界で触れると浄化するようにしておく。」

天渡が結界を張るが、何かが飛んでいくと霧が左右に広がった。

どうやら透が風の術で赤霧(せきむ)を吹き飛ばしたようだ。

雷黄が透に顔で誉めると透も嬉しそうにした。

(…皆、朱雀が出るから。熱波出すから備えて。結界張っても衝動があるから。)

翼の声が聞こえて天渡達が結花の体を支えると激しい熱波が現れた。

青龍の体は揺れだした。

「…っ!やばい!かなり揺れてる!セキ!大丈夫!」

「…あぁ!だが、朱雀はかなり力を放っている!皆しっかり乗っていてくれ!」



朱雀出現時は結花の両親はスーパーの屋上の部屋から周りを見ていた。

結花から「今から南側で朱雀が出るから警戒していて」とメールが来ていた。

サングラスをつけていると水色の青龍の前に朱雀が現れるのが目に入る。

挿絵(By みてみん)

「…結花達はあんなのと戦うのか。大丈夫か?」

「…お父さん。結花がやられたら、どうなると思う?自衛隊がミサイルで燃えている怪鳥を倒せると思う?」

「…無理やろ?…はぁ、ナンマイダナンマイダ…。」

「…お父さん。念仏唱えても無駄ですよ。」

両手を合わせて念仏を唱えるお父さんにお母さんが言った。



「ゲッ!ゲッ!ゲッ!ゲッ!」

朱雀は汚い声で鳴いて結花達を嘲笑う。

「…気持ち悪っ。イメージと全然違う。顔もなんか気持ち悪いわ。」

結花は気味悪がっていたが、その姿に護の表情は怒りだした。馬鹿にしているのが分かったからだ。

「…叩き落としてやる。」

護が術で岩を出して朱雀に放つが朱雀は炎を出すと溶けてマグマになって飛ばして来た。

天渡は空間移動でマグマを海に移動させて落とした。

「…岩がダメなら水もダメ。風で真空状態にして火を消した方が良いかも?」

結花が透と雫に合図を送ると三人で風の塊を放った。

風の塊が朱雀に当たると空間が広がり火が無くなった。

それにより朱雀の体は赤色から黄色に変わった。

朱雀の体から激しい風が出た。

「…次は雷がいいかな。…要君、いけるかな?」

結花が要を見ると雫に何か話しかけられると結花の顔を見て頷いた。

要が水の術で朱雀を濡らすと結花が雷黄と顔を合わせて雷の術を放った。

「ゲゲゲゲゲゲッ!」

朱雀は海水を浴びた体に電流が流れたので痺れたのだ。

朱雀の体から黒い霧が出だした。

「…もう土もいけるでしょ。天渡、三人でやるよ。」

結花が言うと天渡は頷いた。護の方を見ると翼が口を動かしていて、護が結花に頷いた。

護と結花、天渡が巨大な岩石に光の力を込めて放った。

朱雀は赤い羽で岩を叩き割ると爆発した。

激しい土埃が広がる中、朱雀は距離を置くと違和感を感じた。




(…やつら、中々出て来ないな?)

そう思っていると朱雀の視界がグルンと変わった。

良く見ると体に天渡と雷黄が刀を持って乗っていた。

翼が青龍の前の空間を開いて朱雀の背後から出るようにして天渡と雷黄が朱雀の頭を斬り落としたのだった。

「…うん、刀で斬れるようになっていた。さて、レン。火の石になりなさい!」

結花が言うと天渡と雷黄は青龍の頭に戻った。

結花の手には赤色の宝石のような石があった。

「…今回は熱波以外は被害がなかったかな?セキ、どこか学校の屋上に降ろして。」

セキは結花に言われて小学校の屋上に降りた。

「セキ、ご苦労様!」

「また何かあれば呼んで下さい。結花さん。」

全員降りるとセキは水の石に戻った。

「皆!ご苦労様!…って事で、コローリィードーナツ行こっか!」

結花が言うが雫が手を上げた。

「…中村さん。皆も連れて行ってもいい?クラスメイトや野口君、公園で待たせているの。」

「…あっ。皆出来たらお店に行きたいよね?いいよ?黒澤さん、皆のいる空間と繋げて。」

雫が空間を開くとどこかの公園で雫のクラスメイト達がいた。

「あっ!中村さんのお姉さん!久しぶり!」

佐藤君が結花に話しかけて来た。

「…結花、この佐藤さんだよ。其田さんの動画にドーナツの事を書き込んでいた人。」

「あー。やっぱり?俺、男だろうなって思っていたんだ。」

雷黄と勇吹が言って佐藤君は苦笑いをしていた。

「…あれ?ここどこ?」

田中さんが言った。

「ごめんー!さっき朱雀を倒したばかりで空の上から近くの小学校に降りたの!天渡、お願い。」

「あぁ、こっちだ。」

天渡がコローリィードーナツへの空間を開いた。

お店に着くと雫達は楽しそうにしていた。

雷黄が先頭に行って何やら注文していた。

「…折角だからな。雷黄にお金を渡して店でも食べさせるように言った。受験で忙しいだろうから気晴らしにいいだろ。」

「…まっ、良いんじゃないか?黒澤さんや二瀬さんも頑張ってたからな。」

天渡や勇吹が言う中、結花は雫達の姿を見ると翼達を見た。

「…護、行くよ。結花は皆と混ざって飲み物飲みたいんでしょ?ドーナツも良いけど、変わったドリンクもあるから。」

「…じゃあ、天渡に甘えてまたおごって貰おうかな?」

五人はお店の中に入った。

「…貸し切りですか?他にお客さんがいませんよね?」

山野さんが聞いた。

「いや、天渡が細工してこの場丸々現実と違う空間だよ。本当のお店はスゴい行列が出来ているよ。」

雷黄に言われて天渡が窓に手を向けると30人は並んでいた。

「…スゴいですね。先輩。」

「まだ現実離れし過ぎて慣れないけどな?」

野口君は武山君に言った。

「中村さん。野口君は武山君と同じサッカー部なの。黒澤さん達が氷の蜘蛛に襲われていた所を助けてね。其田君の動画見た時に佐藤君の書き込み見つけて武山君に連絡して来たの。」

「…えへへっ。来ちゃいました。」

篠崎さんが言うと野口君は苦笑いして言った。

「…本当はね、私のお母さんと野口君の家族と仲が良くてね。武山君に誘っちゃえって言ったの。」

「え?やっぱり?武山にしては大胆だとは思ってた。」

雫と田中さんが言うと武山君は顔を赤くした。

「まあ、気にするな。皆、来れたらコローリィードーナツ来たいよな?」

『はい!』

天渡が言うと佐藤君達が嬉しそうに言った。天渡と雷黄はそれを聞くと鬼の姿に変わった。

「…店員も仮の店員だからな。特別に見せてやろう。改めて、光鬼天渡だ。」

「俺は雷鬼雷黄だ。よろしく。」

天渡と雷黄は皆に鬼の姿を見せた。それを見ると翼も少し席を立つと九尾の尻尾を出した。勇吹と護も鬼の姿に変わった。

「野口君は初めましてだからね。市村翼です。まあ九尾の狐の力は後から付いたものだから。よろしくね。」

「五十嵐護です。土の鬼だ。よろしく。」

「俺は火爪勇吹。火の鬼。よろしく。」

翼は尻尾を野口君や武山君に近づけた。恐る恐る触ると相変わらずモフモフしていた。

「…皆、鬼のなっちゃった。要、僕達も鬼になっちゃう?」

「そうだな。」

透と要も鬼の姿に変わった。

「…そう言えば、僕が鬼になる事以外野口君に言ってなかったかな?僕、二瀬透。風の鬼だよ。ドーナツ浮かせたり出来るー。」

透はドーナツを浮かせて言った。

「…透がはしゃいでごめん。二瀬要だ。透とは従兄弟同士なんだ。水の鬼で水を出したり出来る。」

要は店の中でうっすら水を浮かして出した。

「折角皆鬼になったから、また皆で写真撮ろうか?」

雫が言って皆でテーブルを広げると店員がやってきて皆のスマートフォンやアイフォンに写真を撮っていた。



それから暫くお店の中で雫のクラスメイト達は鬼達とふれ合った後に元の公園と空間を繋げた。

「…黒澤さんと二瀬さん、今日はありがとう。皆気をつけて帰ってね。」

『はーい!ご馳走様でした!』

雫達は結花に挨拶をすると帰った。

「わーい!コローリィー君のぬいぐるみも買って貰えた!」

透達はちゃっかりお店の中に売っていたぬいぐるみやキーホルダーを買って貰っていた。

「じゃあ、皆また明日ね。」

雫が言うと皆家に帰って行った。

「ただいまー。」

雫の声がして雫の母親が来るとコローリィーのぬいぐるみとドーナツの袋を持った雫がいた。

「あら…?ぬいぐるみも買って貰ったの?」

「うん。皆ぬいぐるみやキーホルダーを買って貰えたの。お母さんの分もキーホルダー買って貰っちゃった。」

雫が小さい袋を母親に渡した。

「あら、嬉しい。後で結花さんにお礼のメールしておいてね。まだ時間あるからお風呂先に沸かすわね。」

雫の母親は台所に荷物を持っていくとお風呂を沸かす準備をした。



「…さて、私達も帰ろうか?明日の幻魔は何か分かる?翼。」

「明日は玄武ね。勇吹の家のずっと先ね。タイプは土と光。」

「…光かぁ。土なのが気になる。今日の朱雀みたいに岩をマグマに出来たら勇吹も強いんだけど。…いや、待って。玄武…亀、陸は不利?」

「…そう言う事よ。結花、明日は朱雀が必要だから。」

「分かった。じゃあ、また明日ね?今日はありがとう。…今からどうするの?翼は?」

「…私達は三人でもう少し別のお店でくつろぐ。私の家の近所に喫茶店があって、雰囲気落ち着いて良いからそこに行く。」

「あー?勇吹と昔行ったお店ね?私達はお母さんに今日の朱雀の話をしたから帰る。心配させたら悪いからさ。」

翼は自宅前の空間を繋げた。天渡は結花の家の玄関だ。

「…折角の休みだし、デート楽しんで来て。勇吹、護、そういう事よ。しっかり翼をエスコートしてあげてよ?」

結花が勇吹と護に言った。勇吹は恥ずかしそうにしたが、結花の表情がいつもと違う事に気がつくと少し抑えた。

「…結花も変わったね?大人の女性って感じ。…じゃあ、行こうか?翼?」

「…もうちょっとしっかりしないとな、俺達。」

「…私は今のままでもいいわよ?…なんてね。」

翼は勇吹と護の腕を手に取ると喫茶店の方に三人歩いて行った。



「…ただいまー。」

「おかえり、結花。遠くから見ていたけど大丈夫だった?熱波が凄かったから。」

「…やっぱり?結界張ってかなり震動あったから。でも朱雀のレンはちゃんと手に入れたから。ちょっとお風呂入ってくる。」

結花はお風呂場に湯を入れると一旦部屋に荷物を置きに行った。

そして、入浴した後に台所に行った。

「今日の夕食は肉野菜炒めにしたわ。後はレンさんが食べるかだけど…。」

結花は赤色の石を出すとレンが出てきた。

赤色の短髪で背中に赤色の翼があった。

挿絵(By みてみん)

「レン、夕御飯の時間だから出したよ。」

結花が言うが、レンはすぐにしゃがんだ。表情は悲しそうにしていた。

「主様!侮辱してすみませんでした!」

「…え?何かしてたっけ?」

「主様の前に現れた時に見下してました!すみませんでした!」

「…レン、現れた時にね。『ゲッ!ゲッ!ゲッ!ゲッ!』って。鳴き声が気持ち悪かった。」

今は普通にイケメン出し、声も大人びた少年の声だった。が、結花に散々言われてレンは自分の失態を思い出して悔し涙を流した。

「…結花、レン君泣かしてどうするのよ。」

「ごめんごめん!ほら!泣かない泣かない!ご飯食べようね!」

結花はレンと向かいあって背中を擦った。結花の母親もレンの背中を擦った。

レンの背中は大人の男性のしっかりした背中だった。

結花の母親はさりげなくレンの翼を触った。翼の骨があった。本物の翼だった。

「あ、主様っ!」

「…待って。結花さんにして。主様って呼ばれるの見られたら周りの人から冷たい目線浴びるから。でね、私のお母さん、幸恵(ゆきえ)さん。」

「…はい。結花さん、幸恵さん。」

レンは結花と幸恵の名前を言って落ち着いた。

「椅子に座って、ご飯食べて。お箸の使い方、分かる?」

「はい。」

結花に言われてレンは椅子に座ってご飯を食べはじめた。

「…落ち着いた?おかわり欲しかったら言ってね?」

「はい。これで十分です。」

幸恵はそれを聞くと結花の横で『メッ!』っと言った。

結花は照れ笑いをしたが、ふと明日の事を思い出した。

「…あっ!明日は北側に玄武が出るの!地震起きるかも。」

「お父さん、会社が北側だから言っておかないとね。」

「だから、レン。明日はお願いね。背中に乗せてもらうから。」

「はい。結花さん。」

レンに言うと頬に米粒がついている。結花はレンの米粒を肉野菜炒めの皿につけるとレンの肩に体を寄せて笑いだした。

「…もう、結花、笑いすぎよ。」

「…もう、ダメ。面白いわ。…翼達の前で変な事しないようにしてよ。」

レンはきょとんとした顔をしていた。




夕御飯を食べ終わると食べた食器を流し台に持って行き、レンを幻魔の石に戻して結花は部屋に戻った。

部屋に戻ると天渡と雷黄が出て結花を抱いて揺らした。

「…明日は玄武かぁ。地震派手に起こされる前に倒さなきゃ。お父さんの会社や勇吹の家があるから。」

結花が言うと天渡がキスをした。天渡が顔を離すと雷黄もキスをした。

「…そうだな。まあ、それは明日考えよう。」

「結花、今日は頑張ったね。いっぱいご褒美に愛してあげるからな。」

結花は眠るまで天渡と雷黄と愛し合った。


朱雀はちょっとヘタレになりました。

後は雫のクラスメイトのイラストが出来たので全員出しました。

だんだんバトルより恋愛強めになって来ましたが、まあこれもありかな。

次回に続け。

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