幻魔達の華 第九章 凍てつく町
お久しぶりです。
最近は少し集中力が落ちてきて更新遅めです。
幻魔達の華はエンディングは一個のみの予定なので残り三章です。
最終章には次回作のキャラクターを作りたい所です。
誤字、脱字があったらすみません。
土曜日の朝、結花が目を覚めると天渡が目の前にいた。
「おはよう。結花」
「おはよう。天渡」
天渡は結花に軽くキスをした。
「おはよう。結花」
結花の後ろから雷黄もキスをしてきた。
「…おはよう。雷黄」
結花は時計に目を向けると7時半だった。
「んー?朝ご飯食べに行こうかな?」
「その方がいいな。じゃあ戻るからな?」
雷黄と天渡が結花の中に入った。その日は朝ご飯を食べた後にゆっくりしたい気分だった。
台所に行くとクウが朝ご飯にホットドッグを食べていた。
「おはよう。結花さん」
「おはよう、クウ。…少しは慣れた?」
「…ファッションショー?をしました?」
その言葉に結花は少し固まる。
「クウさん、っていうか、皆服装自由に変えれるからいつもお父さんと一緒にファッションショーしてるのよ」
幸恵が言っていた。
(…なんとなく知っているだろうなと思っていた)
天渡が言うと続いて雷黄も話し出す。
(結構結花の親父さん、幻魔達の写真を結構撮ってるぞ?)
「…皆をモデルにしていたの?…まあ貴田さんが好きになる位だけどさ?」
「あら?貴田さんはセンスあるかもしれない?」
幸恵は嬉しそうに言った。
結花の雷黄の力で頭の中に昨日父親が撮った写真が浮かぶ。
クウがワイルドな服を着た写真等が浮かぶ。
結構撮影しているようだ。
「まあ、良いんじゃない?…くぅーっ!雷黄や天渡の写真撮って抵抗したくなるんだけど!」
「良いじゃない?今日は結花は休みなんだからゆっくり雷黄さんと天渡さんの写真撮ったら?」
そう幸恵が言って少しコーヒーが濃いカフェラテを出した。
結花はそれを飲んで朝食を食べ終わると自室に戻った。
「…やっぱり、親子ね?結花もいろんな風景の写真を撮ったりしていたけど、お父さんも結花も写真を撮るのが好きだから」
それを聞くとクウは頭の虎の耳をピクピク動かした。
朝起きて賢一が出掛けた後に幸恵が子供の頃の結花と幸恵と賢一が写る家族写真を見せていたからだった。
クウはそれを思い出して嬉しそうな表情をしていた。
結花が部屋に戻るとカメラを用意するが自室は撮影に向かないと感じて客間に行った。
部屋に入ると雷黄と天渡がいつもとは違う服装で現れた。
「…さてと、服はいろいろ変えれるから先にジャケットとか着た写真から撮ろうか?」
「そうね」
結花がカメラを雷黄や天渡に向けると二人は鋭い目つきになった。
「…これは。…貴田さんがコクと衣装の撮影したら絶対はまりそう」
そこから袴姿やスーツ姿等いろいろな写真を撮っていた。
「…結花、お母さんはクウさんと出かけてくるから。お昼ごはんは冷蔵庫のもので食べてね?」
「はーい」
結花が言うが雷黄と天渡はコックの姿を見せた。
「…そうよね。結花には専属コックがいるから大丈夫ね?」
「…幸恵さん。『こっく』って何ですか?」
「料理を作る専属の人をコックって言うのよ?私は他にもするけどね」
「幸恵さんのごはんは美味しかったです!」
クウは耳をまたピクピクと動かしながら言った。
結花は思わず幸恵とクウの写真を撮った。
「クウ。外は車が走っているから飛び出していかないようにしなさいよ。急には止まらないから」
「は…はい!気をつけます!」
クウが結花に返事をすると幸恵とクウは出かけて行った。
結花は写真を撮り終わるとアルバムを作ってまとめた。
「んー!終わった!」
「結花、お疲れ様。良い写真は出来たか?」
雷黄が聞いてきた。
「うん。まあ、一番良いのは初めの写真とスーツの写真かな?」
結花が言うと雷黄と天渡はいつも通りズボンだけの姿になった。
その姿に結花は少し機嫌を悪くした。
「…っ!もう!服の話していたのに何で半裸になるの!」
「え?だっていつもこの姿だろ?」
結花が雷黄の体を軽く触って言った。
「結花は俺達が半裸になるの、嫌いか?」
天渡が結花の後ろから抱きしめながら少し顔を肩から出して言った。
「…ズルい。嫌いじゃないけど、甘えたくなるから、こういうのって、ズルい…」
「…わざとだよ。結花と三人の特別な時間だから。三人だけの時はいっぱい甘えてくれ」
雷黄が結花に顔を近づけると甘い表情をしてそのままキスをした。
そして、天渡の顔を結花が見ると天渡と結花はキスをした。
「…私、完全にダメになってない?二人がこの姿だとすぐ甘えちゃう」
「そんな事ない。それに俺達も結花に甘えてもらうと嬉しいからな」
そう言い、部屋で甘渡の体の上に乗って仰向けになり雷黄に抱きしめられた。相変わらず二人の肌は暖かかった。
暫くして玄関のドアが開く音がした。
幸恵とクウが出かけたのだろう。
そのタイミングで雷黄の体の上に仰向けになり天渡が結花を抱きしめた。
天渡からは甘いバニラのような香りがした。
「天渡の体の香りは一番私をダメにする。甘いから眠くなっちゃうんだよね」
「良いじゃないか?まだ時間もあるから」
結花がそう思っていると瞼が下がってきた。
「…結花、昼ご飯の時間だ」
声を聞いて結花は慌てて体を起こした。
目の前には天渡しかいない。
「…あれ?雷黄は?」
「昼ご飯作りに行った。そろそろ出来上がるはずだ。今日の昼ご飯はオムライスを作るって言ってたぞ」
結花は(やってしまった)と思い天渡の肩に顔を当てた。
「何落ち込んでいるんだ、結花。雷黄は気にしてないから」
「あぅー。やっちゃった…」
結花が台所に行くと雷黄が上着にエプロンを着ていた。流石に火を扱うのに上着を着ないという事はしていなかった。
「結花!起きたかっ!オムライス出来たぞ!」
雷黄がやけに機嫌が良いと思ったらハート型の人参やケチャップがあるオムライスだった。
「結花!可愛いだろ!」
「雷黄って器用なのね」
結花が言うと電話にメールがかなり来た。
結花が見るとグループチャットに目の前のオムライスが載っていた。
「…これで雷黄は機嫌良かったのね」
結花がオムライスにスプーンを入れるとチーズが入っていた。
「…うん、美味しいよ、雷黄。ありがとう」
結花がオムライスを食べている間は雷黄と天渡はオニオンスープを飲んでいた。
結花が食べ終わると天渡が食器を洗っていて、雷黄はソファーに座ると何か様子が違っていた。
暫くするとグループチャットに雷黄の書き込みが出た。
『今日は15時までに北町に集合。滑りやすいから靴に気をつけるのと、防寒着を持ってくるように。帽子、マフラー、手袋も持ってきた方が良い』
皆が返事をする中、結花は防寒着を用意した。
「…用意はしたけど、護が前に氷鬼さんの試練の時に寒さで弱ってたのが…。なんか心配なんだよね」
「…俺の力で冷気は防げるから大丈夫だ。…が」
天渡が途中で止めた。
「…が、何?」
「…おそらく、他の人間にはかなり急激に温度が変わるから負担がかかる。ヒートショックを起こしやすくなる」
雷黄が言う。
「…なるべく冷気が広がらないようにするが、向こうもかなり力がある精霊だからな。妖怪や怪異を倒しながら人の救助が必要になるだろう」
「こっちも味方の妖怪や怪異作れるんだよね。一緒に来る皆にも手伝ってもらおうかな」
それから結花は外出する支度をした。
天渡や雷黄もその日は長袖に長ズボンの格好だった。
14時半には北町の電車の駅に貴田さんと松江さんと小林さんが着いたとメールがあったので結花も今から向かうと連絡して天渡の力で向かった。
「皆、おっはよー!」
結花は貴田さん達に返事をすると北町の駅に姿を現した。
「おはよう。中村さん」
「おはよう。って、天渡さんの空間移動、便利だな」
「へっへーん!…って、言ってる暇じゃないよね。今日は15時になったら温度差で失神する人が出るかもしれないからさ。警戒しなきゃ」
小林さんや貴田さんに結花が言うと三人にリョク、コク、セイの幻魔の石を渡す。
「…そんなに警戒する事なのか?」
貴田さんが不思議そうに言うが松江さんの表情は良くない。周りを見回していた。
「…中村、とりあえずレンさんに鬼火10体出させてこの辺りの年寄りと子連れにこっそり近づけてくれ」
「オッケー!レン!出てきて鬼火10体お願い!」
結花が言うとレンが出てきて鬼火を10体出して松江さんが向かわせる方向を指示した。
「おはようございます。着きました」
志波さんがやって来ると同時に翼も勇吹と護を連れて空間移動して現れた。
「おはよう。早速やってるみたいね?」
「いやー。…ホント俺達いないと救急車足りないな?今の温度が30℃。これが-10℃まで下がるんだろ?」
翼に松江さんが言った。それには小林さんや貴田さんや志波さんが驚いた。
「おまっ!40℃も差が出るのかよ!」
「…志波さんが15時になったらスマホの温度計出すから分かるはずだ。俺達は天渡さんのバリアで護られるからそんなに寒く感じないけど、帽子とかマフラーは必要だな。…幻魔は暑さや寒さに強いから大丈夫みたいだけどな」
時計の針は55分なので全員コートを着たりした。
時計が15時になると空が青くなった。
「何となく雰囲気が変わったような気がしますね?」
志波さんが言ってると青い壁が迫って来ていた。天渡の光のバリアとレンの火のバリアが張られて壁が通過すると街灯の下に氷柱が出来ていった。
周りにいた人は慌てて建物に避難していた。
周りは温度差で霧が出てきて、走る車は滑っていた。
「…おいおい。車が衝突するぞ」
貴田さんが言うと車がピタッと止まった。
「…止めたぞ。あれでいいのか?」
貴田さんが横を見ると闇の魔人コクが幻魔の石から実体化して出てきていた。
「…すげぇな。止めたのか?」
「あぁ。車の下に影が出来るだろ?あれで動きを止めた」
他にもリョク、セキ、レン、ガン、セイが幻魔の石から実体化していた。
志波さんがスマートフォンを出すと気温は-10℃になっていた。
「…これは、気温もだけどいろいろ危ないですね。…電車も影響が出ると思いますから」
「で、確か結花の父親の会社のビルの近くにいるんだろ?」
勇吹が言った。
「そう。まあ、昨日お父さんに言ったからね」
小林さんが氷柱の写真をグループチャットに送ると土居さんと三瀬さんからメールが来た。
『家の温度計を見たら15℃まで下がっていた』
『病院の中は冷房を看護師さんが切って回ってる』
「…ここ以外も影響出てるみたい」
「とりあえず行こうか?…って敵がいるみたいだけど」
護が掌から岩を作って放つと青色の飛ぶものに当たりそれは消えた。
いくつか氷が空から降るのが分かった。
上を見上げると青色の蝙蝠が飛んでいた。
「結構飛んでいる。動きも速い」
翼が倒そうとすると大きな鳥が蹴り倒していた。
「何体か雷の怪鳥を作ったからこれで大丈夫だ。後は人型の妖怪だな」
雷黄が見つめる先に男性が立っていたが口がとても大きかった。
あれが怪異「口裂け」だろう
口裂けはニヤニヤ笑うと氷のブーメランのような物を投げてきた。
ブーメランの飛んだ後には氷が地面から出ていた。
「氷の刃ってあれかよ!」
結花が炎の玉で壊すと口裂けは怒り出すが背後から天渡が刀で斬りつけた。
「うーん、天渡ナイス。で、松江さん。ちゃんと写真撮れた?」
「あぁ、撮れたよ。男版の口裂けの怪異なんて見たら皆ビックリするぞ」
「あぁ!おまっ!ちゃっかり写真撮ってる!」
「…私も撮りました」
松江さんと志波さんはちゃっかり写真を撮っていた。
「…小林さんは?」
「んー?雹蝙蝠は撮ったよ?」
「俺だけまだ撮ってねえ!」
貴田さんは小林さんも写真を撮っていた事を知りショックを受けるがすぐに何かに気がついてカメラを向けた。
そこには人の姿をしたものがいたが、貴田さんに気がつくと走って来た。
「おい!危ないぞ!」
勇吹が言ったが翼が手で止めた。
怪異「氷鎌」は手が氷の鎌のようになっており、顔が昆虫のような顔をしていた。
貴田さんの目の前ギリギリまで来るとコクが黒い腕を出して氷鎌の体を捕まえた。
「しっかり撮れよ!滅多に撮れないからな!」
「やばっ!エイリアンかよ!…いいぞ!」
貴田さんが言うとコクが氷鎌を倒した。
「…っ!たくっ!無茶しやがって!」
「へへっ!良い写真撮れたぜ!」
勇吹が貴田さんに言う中、結花も写真を見せた。
そこには貴田さんと氷鎌とコクが写っていた。
「これも凄くない?」
「…あーっ。ははっ。自分の写真はちょっと恥ずかしいな」
「…さてと、じゃあ氷の精霊を倒しに行きますかね」
結花達がビルの間を歩き出すと人型の怪異が口裂けや氷鎌と戦っていた。
その中で何体かはこちらに向かってくるものがいたので幻魔達が戦っていた。
「…しかし、地味に後ろから来るのもいるな」「まあ、感知の力があるから気にならないけどな」
貴田さんが後ろから来る口裂けや氷鎌を写真で撮影しながらコクが倒していた。
「一番危ないのは氷の鎌のやつだな。小林さん、木の術で槍を前から飛ばしてみてよ?」
「…こう?」
松江さんに言われて小林さんが大きな木の槍を飛ばすと氷の鎌で真っ二つにしていた。
そこに松江さんが銀色の槍を地面から出して氷鎌を倒していた。
「倒すなら下からやるか、相手の後ろからやるのが良さそうだな。まあ、あの鎌はかなり破壊力があるから気をつけた方が良い」
「うへぇっ!コクが助けてくれたけど、あの怪異!かなり近づけちまったよ!」
貴田さんが言う中、勇吹と護は少し心配そうにした。
「…今の所、一般人は大丈夫なのか?」
「感知は大丈夫だ。それにかなりの味方の怪異を送っているからな。車道の方も闇の怪異や火の怪異が対応している」
勇吹に天渡が言った。
ビルを抜けると鬼のような顔をしたものが浮いていた。
その手には右手には女性、左手に男性を掴んでいた。
「…来たか。分かるな?娘」
「…六木さんと私のお父さんを人質にしたって事ね。人質を無事に返したいなら幻魔達を戻せってね?分かった」
幻魔達が消えて結花は前に出た。
「結花!」
勇吹が叫ぶが結花は振り向いた。
「…勇吹はそのままでいて?…ほら?来たからちゃんと無事に返して?」
「…分かった」
氷の精霊は六木さんと結花の父親を放り投げると結花を含めた三人を氷の槍で貫いた。
「…っ!きったねえぞ!お前っ!」
喜田さんが叫ぶ中、氷の精霊は違和感を感じた。
(…何であいつらは凍えてない?)
氷の精霊が疑問に思うと結花の父親が振り返った。
「…いやぁ、ジェントルマンじゃないねぇ?レディには優しくするものだよ?」
そう言うと光る男が現れて氷の精霊に長い槍を突き刺した。
「…お…まえ!光の精霊!」
「…今はコウ!光の幻魔だ!」
コウは言うと姿を消した。
「…結花!六木さんは無事よ!」
遠くで幸恵が言った。近くには白虎の人獣になったクウがいた。
「…クッ!」
罠だと気がついた氷の精霊が逃げようとするが火のバリアが張られて逃げれなかった。
「…もう何するか分かっていたから私も手を加えたの。お父さんに光の精霊、コウを渡した。お母さんにクウを渡して六木さんを助ける。幻魔を消したのはフェイク」
「…バ…バカな。俺の月の力の予知能力では上手くいくはずだったのに…」
結花の言葉に愕然とする氷の精霊が幻魔化した月の魔人セイに気がついた。
(…あいつの力か!)
気がついた時には氷の精霊の背後から火の朱雀のレンが槍で斬りつけた。
「くっ!やられる前に凍りづけにしてくれる!」
青色の光を放ち、氷の精霊はより温度を下げようとした。
だが、氷の精霊の冷気が広がらなくなった。
「…結花って面白い事を考えるのね。相手の力で封じようとするなんて」
「まあ、俺と市村さんがいるから出来るようなものだな」
翼と天渡が氷の精霊の力を封じていた。
氷の精霊の冷気を逆に利用して広がらないようにしていた。
「…氷の力!『反転』して!」
結花が力を送ると氷の精霊の冷気は青色から赤色に変わる。
やがて、氷の精霊を封じた結界が壊れると空色の光が見えた。
「氷の精霊『トウ』!幻魔の石になりなさい!」
結花が言うと氷の精霊は青色の透明な石に変わった。
空を見るとまた日差しで気温が温かくなってきた。
「…上着は脱いで良さそうだけど、暫くバリアを張った方が良さそうね」
「私達は良いですけど、体調を崩す人が出そうですね」
翼と志波さんが話している中、結花の父親達を見ると何やら六木さんが一生懸命話している。
その様子を松江さんは苦笑いしながら見ていた。
「…大変だな、中村の親父さんも」
「…何を話しているの?」
「…あの人、光の精霊をモデルにスカウトしたいらしい」
松江さんが小林さんに言った。
結花が近づくと六木さんが慌てて近づく。
「中村さん!あの人!ぜひモデルにしたいの!」
「…えっ?えっと…。今は今日みたいに幻魔と戦っているから終わった後なら?」
「…結花!コウ君はうちのモデルだぞ!」
「え?って言うか、かなり写真撮ったんでしょ?コウの写真?ただ、新目さんが嫌がるんじゃないかな?」
「ゴリ押しで!やります!」
六木さんの目はギンギンになっていた。
「まあ、お話はその内にね。…って、噂をしたら新目さんが来ちゃった。結花、長くなるからお友達の皆と行きなさい」
「…はーい。コウは…とりあえず一緒に私達と行こうか?」
結花がコウを連れて戻ってきた。
「…光の精霊『コウ』です。初めまして」
「…これは…。さっきの人がモデルに頼む気持ち、分かる」
小林さんが言った。中性的で美形だから仕方ない。
「…さてと、少し場所を変えて喫茶店に行こうか?この辺りは皆建物に避難してるから」
「賛成!俺腹減ってきたから!」
結花が言うと貴田さんが言った。
「…昼飯食べてなかったのかよ?」
「いやぁ!たらふく珈琲のアツアツのグラタン!食べてみたくってさあ!」
勇吹は貴田さんに少し呆れていた。
「…席は空いてるから確保したぞ。後土居さんの分と三瀬さんの分も頼んだぞ」
「…え?そこまでしたのか?」
「てへぺろ☆」
雷黄がいろいろ準備していた。護は驚いたが、結花が決めたらしい。
たらふく珈琲のお店に移動して席に座ると相変わらず中の客は結花達だけだった。
メニュー表でサンドイッチやデザートを頼んでいる間に土居さんの所はサンドイッチやケーキ、三瀬さんの所は珈琲とケーキの写真が送られてきた。
「…土居さんの所はちょっと早いけど、夕飯になりそうなのがあった方が良いかなって思ったんだよね。三瀬さんの妹は骨折で入院していたみたい。ちょっと状態は悪いみたい…」
「…三瀬さんの今いる病院って月の鬼とその人の人間の奥さんがいるんだろ?その二人が治癒能力がある」
結花に松江さんが言うと勇吹は少し落ち着かなくなる。
「…ちなみに、火爪さんは違う仕事を選んだけど、お父さんが三瀬さんの妹の担当のお医者さんよ。私も手術して貰った。まあ交通事故で死にかけて、生きているのは月鬼の月詠さんと市村さん達に冥界から助けられたおかげだけどね」
「中村さんの交通事故は新聞やニュースになりましたからね」
結花に志波さんが言った。
「…冥界かぁ。ヤバい妖怪がいそうだよな」
「まあ、貴田が冥界に行ったらその時は俺が連れ帰れるならしてやる。まあ体がダメだとどうにもならないけどな」
「ならけがは…って、痛いのは勘弁だな」
貴田さんがコクと話す中、松江さんが掌から球体を出すと慌ただしい病院が映しだされた。
「…それ、もしかして、ミッチーの妹がいる病院?」
「そう、明日中村さんがいなかった時の未来。停電になって病院で結構な数の患者がなくなるらしい。予備の発電機も麒麟に壊されるらしい」
「…最後の幻魔は『麒麟』ですか」
松江さんと志波さんが言った。
「…明日も15時か?中村?」
「そう。属性は雷、水。たぶん青龍の水の力と反発しあうと思う。後は雷黄の雷の力とガンや護の土の力とかかな。怪異もまた何匹か攻めてくると思うから、病院の屋上からフォローして」
「…屋上は俺と松江で良いだろ?他は中村達を援護で!」
「そう言う事でお願い!後は病院内は月詠夫婦がいるからある程度は大丈夫だと思う」
「…おそらく、麒麟が一番厄介だと思う。一応ギリギリまで私は裏で怪異を倒して正面から現れる麒麟を結花と倒すから、裏の怪異を小林さん達にお願いしたい」
「任せて。大体わかってきたから大丈夫」
明日の作戦会議が終わると貴田さん、松江さん、小林さん、志波さんを家まで空間を繋げて送った。
「…さてと、明日が最後の幻魔だから結構圧力かけてくるかな?…水も使うから勇吹や護は気をつけないとね?」
「…結花だってずっと戦っているだろ?大丈夫なのかよ?」
勇吹が心配して言った。
「…まあ、俺達が結花が寝ている間に回復はしている。…が」
天渡が途中で言葉を濁した。
「…薄々気がついていたけど、最近すぐ眠くなるんだよね。だから最近ずっと夜更かししないんだよね?」
「…それだけ負担があるって事だろ?」
護も心配して言った。
「…まあ、それは小林さん達も一緒だからさ。後は、翼は?大丈夫?」
「…まあまあね。…本当は私もすぐ眠ってるけど、椿さんが亡くなる原因は魔女の仕業だから。後は菫さんと葉月さんもかな。ここで終わらせないとね」
「…明後日位かな。また、黒澤さんや双葉に手伝いお願いしようかな。後でメールで連絡しておこう。…じゃあ、また明日ね」
結花は天渡に自宅の玄関前に空間を繋げてもらい帰宅した。
「…ただいま」
「おかえりなさい、結花。先にお風呂入るでしょ?今日はハヤシライスよ」
「はーい。…今日はありがとね?」
結花が言うとクウが少し顔を出した。表情は少し機嫌が良さそうだった。…なんとなく昼ご飯は何かごちそうになった気がした。
お風呂に入ってから台所に行くと氷の精霊『トウ』を出した。
トウは空色の少し長い髪を後ろで結んでいる若い青年だった。
トウは幻魔の石から出るとすぐにしゃがんで頭を下げた。
「…我が主よ!今日は無礼を働きすみませんでした!」
「あっ、私は『結花さん』でお願い。今時我が主って言う人いないから。目立つ。…あー。…まあ私は良いんだけどさ。…六木さんとお父さん巻き込んじゃったからな…」
「…落ち着いたら、六木さんの雑誌のモデル、したら良いんじゃないかしら?」
「…もでる?…とは?」
トウが言うのでトウの写真をカメラで撮影して見せた。
「…モデルって言うのはいろんな姿を題材にする人の事。私のお父さんと一緒にいた女性の方はいろんな服を着た姿を写真に撮って本にしてまとめているの。だから、六木さんから頼まれたら協力してあげて」
「…分かりました!やります!」
結花が朝に撮った天渡や雷黄の写真を見せたらトウが言った。
六木さんからも「ぜひ!お願いします!」とメールが着た。
「…じゃあ、夕ご飯一緒に食べようか?こういうのも『勉強』だから、覚えて?」
「はい!」
結花はトウに食べ方を教えながら一緒にハヤシライスを食べた。
「…後は、私のお母さんの幸恵さんと過ごして教えてもらって。たぶん、私のお父さんがモデルのお願いすると思うから」
「分かりました!」
「…今日は幸恵さんと『ステーキ』を食べに行きました。美味しかったです」
クウは耳をピクピク動かしながら言った。
「…明日はどこに行くの?」
「明日は病院。…月詠先生や火爪先生にお世話になったから、こっそり菓子折り持っていく予定。確か麒麟。雷、水で病院の発電機壊しにくるから止める」
結花が言うとクウの表情が険しくなる。
「…その『ハツデンキ』は壊れたらどうなるんですか?」
「…沢山の人が亡くなるでしょうね?…結花、気をつけなさいよ?」
「大丈夫!…って言うけど、気を付ける」
ハヤシライスを食べ終わるとトウは幸恵に託してクウは返してもらった。
結花が部屋に戻ろうとすると賢一が帰ってきた。
「…ただいま」
「あっ、おかえりなさい。今日の『トウ』、お母さんに預けたから。モデルしますって」
「そうか。…なら、いろいろクールガイにお願いしようか?」
賢一はまた良いモデルが出来たという顔をしていた。
結花が部屋に戻ると雫と双葉から返事が着ていた。
幸い、月曜日は祝日だったので良かった。
「結花、明日はまたドーナツと和菓子を持っていくんだろ?」
「うん、病院で火爪先生にドーナツはちょっとね?」
雷黄が出てきて結花に言った。
天渡が出てくると何やら悪そうな顔をしている。
「…結花、高級和菓子の店、知ってるぞ?勇吹さんを驚かせるか?」
「…良いね?それ?月詠先生にもあげようか?」
結花は笑いながら言った。
ゆっくり雷黄が結花を抱きしめると結花は眠気がきた。
「…結花。良いんだよ?おやすみ」
「…うん」
結花はすぐに眠ってしまった。
「…今日は早かったな?」
「…人質取られて、大丈夫とはいえ緊張するからな。ゆっくり寝させよう」
雷黄は結花をベッドまで運んだ。
まだ電気がついて明るい家があったが、結花の部屋は早めに暗くなった。
今回は初めて人質を取る悪い精霊ですね。
また、珍しく結花が氷の精霊を倒した回ですね。
いろいろとハプニングは面白い分、結花の負担もあるかなと思いました。
次回に続く。




