表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘却の時魔術師  作者: 東雲潮音
第二章【出会いと別れの帝都】
28/48

幕間 アメリアとルナ

 リクが去っていき、人混みに紛れ見えなくなる。彼が見えなくなるまで、ルナは彼の背中を見ていた。そんなどこか寂し気な彼女にアメリアは歩み寄る。

 

 「行ってしまいましたね」


 「……」


 いつも通り、アメリアの言葉に反応はしないが、彼女にとっては既にそれは慣れ親しんだことであるため、意に介しはしない。


 「レナ、それでは私達も行きま……しょう、か」


 語りかけながら、横からルナの方を見たアメリアの言葉が詰まる。彼女の位置からは、フードで隠しているルナの顔をすべて見ることはできなかった。それでも僅かに確認することのできた自らが主人と決めた少女の口元を見たことで、思わず言葉が詰まってしまったのだった。


 「リクは、優しい方でしたね」


 「ん」


 偶然森の中で出会った少年。彼がいなければアメリアは無事でいたかどうかはわからない。もしかしたら、ルナは盗賊を倒した上でアメリアの事も助けるつもりだったのかもしれない。だが結果的には通りかかったリクが魔物の群れをすべて倒し、ルナに合流したことで帝都までの2日間だけ同行することになった。


 「彼は強い。1人でも大丈夫ですよ」


 「ん」


 アメリアはリクの戦闘をルナと違い2度見ていた。彼女からすれば、オーガを楽々と討伐したリクの実力は自分とは比べ物にならない。それでも彼女だけは知っている。あの戦闘でさえ、リクが本当の力を全く見していないことを。キラービーの大群を全滅する時に見せた力。リクはひょっとすると、金等級どころか、更にその上を行く冒険者となるのではないかと、アメリアは確信に似た思いを抱いていた。


 「レナ、気になさらないでください。また会えますよ」


 「……」


 旅の会話の中でアメリアはリクに彼自身の事を尋ねていた。そこでリクは王国出身だと言うことは認めていたが、具体的な出身地を彼女達に教えていなかった。それでもアメリアはローブの下から見える、まるで忍のような特徴的な防具と刀を戦闘に用いることから、大まかな出身地に当たりを付けていた。


 「やはり、彼が気になりますか?」


 「……ん」


 そもそもの話、ルナの事を長く見ているアメリアからすれば彼女のリクへの対応は異常だった。基本的に誰にも興味関心を示さず、感情を出さない彼女は、初めて会った時から去ろうとするリクを引き留めた。仮に彼女が引き留めていなかった場合、アメリアが同行を申し出ていたのだが、アメリアは自分の主人の行動に内心では驚愕していたのだった。自らの戦い方を進んで見せようとした事。別れ際に再度引き留めた事。ルナのリクへの興味が異常に高いのは、騎士でありながら従者でもあるアメリアからすれば一目瞭然だった。


 「リクは、あの御方に似ていましたね」


 「……うん」


 アメリアにとってルナがリクに興味を示す原因は明らかだった。リクは、彼は似ていたのだ。見た目は同じと言うわけではないが、喋り方や雰囲気。そして大人数相手に会話が苦手な所や、彼女の身体を見ても何も変わらなかった点を含め、ルナにとって最も大切な人と重ねられる部分が多々あった。もしあの御方が今もここにいれば、自分の主人の人生は全くの別物になっていただろう、とアメリアは思う。


 「――さあ!私達も行きましょう」


 「ん」


 頭に湧いて出た雑念を振り払うかのように、元気に声を出したアメリアとルナは帝都の中を歩き出す。向かう先はベンドルフ帝国の皇帝ブラキム・フォン・ベンドルフが待ち構えているであろうベンドルフ城。14歳の少女には余りにも重すぎる勇者と言う肩書。そんな彼女の為にその身を捧げると誓っているアメリアに迷いは無い。数年ぶりに主人の微笑みを見る事が出来た彼女は今、最高に気力が満ちていた。

ブックマークや評価をいただけると励みになります。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ