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「結婚強制法」で学園一のマドンナと結婚したけど、仮面夫婦で不満なんだが!  作者: 中将


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第21話 裏の意図

 夕食後に高取さんが落ち着いたところで疑問に思った


「この感染症ってそんなに危険なんですか?

そもそも以前発動された“緊急事態宣言”と今回の緊急事態条項の政令とは何がどう違うんですか?」


 僕は興味のあった結婚強制法については詳しくても他の法律については素人だった。


「名前はかなり似ているのだけども、簡単に言えば緊急事態宣言はただの“お願い”だったのだけれども、緊急事態条項に基づく政令の発動は“強制力”を持たせることもできるの。

 つまり、今回のことなら外出制限、行動制限が強制ということよ。

 しかも国会の審議が不要な内閣が交付する政令という形で強制力を持たせることができるの」


「それは大きな差ですね……」


「この制度の建前としては、緊急事態に迅速に閣議決定で対策を決定ができるということみたいね。

 国会でいちいち審議をしていたなら何も決まらないことがあるからね」


「一見すると一理あることのようにも聞こえてきますけど……?」


「後半の記者との質疑応答でどよめきがあったけど、

 緊急事態条項の間は選挙を行わなくてもいいことになっているわ。

 選挙を行わないのなら、内閣が自主的に退陣をしなければその間は“無限政権”になってしまうの」


「そ、そんな……。この程度でこんなよくわからない法案を成立させていく政権が無限に続いてしまうだなんて……」


 たまたま結婚強制法案は僕に恩恵はあったが、正直なところこれが国家にとっていいこととは思えない。

 更なる混乱を生む法案を強行していくことは容易に想像がついた。


「今回の一件は第二次大戦前のナチス政権に似ているわね。

 ヒトラーは就任直後に国会を解散し、選挙の最中に集会・デモや言論を統制する大統領緊急令を出させ、野党の選挙運動を妨害したの。


 さらに国会議事堂炎上事件を共産主義者によるものと決めつけ、共産党の国会議員を拘束し、国家防衛を口実に国民の基本権(基本的人権)を停止する大統領令を出したわ。

 これによって過激な活動は禁止され支持率は一気に90%前後にも達したそうよ。

 皆、不支持を表明した後の逮捕を怖がったのね」


「支持率90%は凄いね……誰も逆らえないということか……」


「物凄く簡単に言えば“緊急事態”を理由に“憲法を超越”して次々に政令を発動できるということだからね」

 

「しかし、今回普通の季節性のインフルエンザがちょっと酷い程度じゃないですか。

 こんなことで発動して“無限政権”になっちゃって大丈夫なんですか?」


「法律上は問題ないわ。

 何と言っても“緊急事態”がどういう定義か明確には書いてないのだもの

 だから、事実が危険な病気かどうかという問題よりも“緊急事態に指定する理由付け”としてみんなが納得すればそれでOKなのよ」


「え……それじゃ極端なことを言えば、

“トイレが漏れそう”とかそういうふざけた緊急事態でもOKってことですか?」


 高取さんは眉間にしわを寄せていたのをフッと緩めた。


「さすがにそんなお笑いみたいなことで“緊急事態”とはしないでしょうけど、

 極端な話、そういうことも可能ではあるわよ」


「事後的に監督や評価することってできないんですか? ちょっとあんまりすぎるような……」


「本来であれば裁判所がその役割を担うわね。

 でも日本では最高裁判所ですら“法律上の争訟に当たらない”とされかねないのよね。

 衆議院の解散ですらそういわれてしまった判例があるぐらいだからね。

 それよりも内閣に属していそうな緊急事態条項を果たして審査してくれるのかしら?

 私はなかなか難しいと思っているわ」


「……それじゃ、政府としては権力強化のために作った条項ってことなんですか?」


「作るときはさも“国民のため“みたいな顔をしていたけどね。

 『感染症や災害に対して早急に動くため』ということが理由だったわ。

 でも政府に判断能力が無かったり、強制力を働かせてもどうしようもなかったら全く意味が無いのよ。

 そして、強制力を持たせたからと言って魔法のようにたちどころに有事が解決するわけでもないからね」


「そりゃそうですよね……」


「また、細かく定義を決めていない割に“戦争“に標準に合わせている拘束力が非常に強い制度だから何か過激に見えてしまうのも仕方ないわね」


「大体、日本人って“お願い”レベルでも結構いうことを聞いていましたよね。

 いうことを聞かない人ってたとえ刑罰が重くても聞かないような気も……」


「だからお母さんたちは阻止したがっていたのよ。

 ただ、ここまで来たらもう誰も止めることができない」


「そこまでして国会議員でいたいんですかね……。

 日本の国会議員は世界でも給与が旧文通費も含めればトップだって聞きますけど……」


「私は議員の給与なんて些細なものだと思っているわ。

 結局のところは権力を握ってしまえば、それ以上に企業による中抜きや補助金のキックバックを貰える状況を作ることも可能だからね。

 それも複数の会社を介して報酬を親族などが受け取っているから中々足が付かないようになっていると思うわね。

 こうなると、表面上のお金以上のものを彼らは受け取っている可能性は高いでしょうね」


「それが本当なら、世も末ですね……。

 しかし、わざわざ感染症を過大評価してどうするつもりなんでしょうか……」


「そもそも、外に出ることを制限したらまたストレスや日光に浴びないことで健康を損ない、人口が減りそうじゃない?

 一方では結婚強制法を通しているんだから、本当に何をしたいのか訳が分からないわ」


「うーん、従わない人の健康についてはどうでもいいとか?」


「あぁ、その系統の話でこういう話があるのを思いだしたわ。

 反政府主義者に関しては不健康な食品を配給させてジワジワと体を破壊するとか……

 証拠は無いけどね」


 無いんかーい!


「そうなると今回もそう言ったケースが考えられるわね。

 私の家では非常時のために3年分の食糧を備蓄しているわ」


「凄い備蓄しているんだね……」


「賞味期限が切れそうになったら、ホームレスや子ども食堂など食料が不足している団体に寄付しているの。

 でも、何か引っかかるわね。

 一方では人口を増やせというけど、一方では減りそうな政策をとる――何かあるとは思わない?」


 正直何も思っていなかった。

 とりあえず高取さんについていって、フムフムと頷いていただけだ。


「うーん、何にも考えが実はないとか?」


「でもそれなら、わざわざあそこまで強硬な手段で結婚強制法を通すかしら?

 何かあると思うんだけど……」


「憶測だけで話をしていても仕方ないですよ。

 それより、このまま外出制限もあって“無限政権”になったらもう駄目なんでしょうか?

 政府に従わなくちゃいけないですし……」


「ただ、今回の緊急事態条項は一時的な感染症を理由にしているから、

 感染症が落ち着けば解除の見込みはあるわ――最も数の偽装はあるかもしれないけど」


「流行っていないのに流行っているように見せかけるってことですか?」


「今緊急事態条項の最大の根拠は致死率と感染者数になっているから、そこを”弄れば“可能ではあるわね」


「そんなことって可能なんですか?」


「この2つの数字は全国の保健所の合計を汲み上げて集めているの。

 ただ、現実レベルでは1人1人の数を一般人が検証することって難しいじゃない?

 そうなると人口が多い都道府県で“ちょっと色を付ける”ことぐらい可能だと思うの」


「うーん、可能ではあると思いますけどね……」


「また、感染症に感染したかどうか検査をする際に、

 ウイルスの量を調べるCT値というものを使うのだけれども、

 その数値を政府が任意に変動させることも可能なのよ。

 つまり、普通の風邪の方もちょっとでもウイルスがあったのならクロノウイルスとやらに昇格することが可能なわけ」

 

 高取さんはどうしても政府を悪と確定させたいきらいはある。

 だが、色々な団体のみんなが協力して“絶好の流れ”を妨害されたような形だからそういう穿った見方になるのも仕方ないと思う。


「そうなんだ。

 ただ、思うんだけど数値を仮に操作をしているのだとしたらどうしようもないのでは? 無限に緊急事態条項を長引かせることも可能な訳なんじゃないんですか?」


「そうね……」

 

 高取さんは額に手を当てて考え始める。

 ハッと何かに気づいたようだ。


「いいことを思いついたわ。また“工作部隊”に頑張ってもらうことにはなるけど、一定以上の効果はあるわ」


 とりあえず、データを解析し同じような病気が流行っている海外と比べるということだった。


「分かりました。上手く工作部隊に伝えてやってみましょう」


 僕は正直半信半疑だった。正直なところ大きなこと過ぎて“よく分からない”というのが僕の感想だった。

 でも、高取さんを何とか助けたい。

 ここで終わって欲しくないという一心で全力で協力したいと思った。

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