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四、虚々実々……細工はりゅうりゅうでございますのよ! 十一

 次の問題は、どうやって八百長を破るかとなる。


「元締めも鑑定士もグルとなっちゃ、手も足もでないな」

「いえ、一つだけ手があります」

「手?」

「師匠が選手登録するんです。元締めは私です」

「はあああぁぁぁ!? 俺はとっくに冒険者じゃなくなってるんだぞ!」

「なら私が出場しましょうか?」


 本気だった。ここぞというときに自分の命を張れない人間に陰謀は使いこなせない。もっとも、ベレンに命賭けの殺しあいをさせるようしむけているのは私だ。


「ちょっと待て。いきなりきめられるかそんなもの」

「特別な条件がないと登録できないんですか?」

「いや、登録料さえだせばいい。だが、そんな金はないぞ」

「この仕事場、師匠が所有しているんですよね?」

「お前、まさか……」

「そのまさかです。仕事場を抵当にいれて借金してください」

「借金してくださいって、お前な……」

「大会まで間がないですし、ブランクがあるならいますぐ訓練しないといけないでしょう?」


 あおりつつも、私は初対面のときに丘で目にした光景を思いかえしていた。夕陽を斬ったかに思わせた技の冴え、ブランクがあるようにはとうてい思えない。


「ああ、わかったよ。やってやる! どうせほかの鍛冶屋にも手が回っているにちがいないんだ! こうなったらロネーゼ、お前にもつきあってもらうぞ!」

「それでこそです、師匠!」


 自分でも、どっちが弟子かわからなくなってきていた。このさい結果が大事だ。一蓮托生だ。

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