いざ!!はじめての異世界転生!!上手く自分のチート能力を駆使して俺強えええええできるのでしょうか!?
「ここが異世界かあ...」
少年はそう言いながら、野原を見回した。変なツノの生えたウサギやスライムにゴブリンと思わしき生物がいて確かに異世界に来たのだろうと言う実感はある。
それは数分前。その少年は事故に遭い死んでしまった。そして次の瞬間、現れた青い服の女性が目にいた。その突然のことに少年は困惑していると、「異世界へ行きたいですか?」と投げかけてくる。そしてそこから貴方は死んでしまったやら、異世界の説明やら諸々の話を聞き現在に至ると言うわけだ。
「と言ってもなあ...何をすればいいのか...こう言うのってなんかすごいスキルみたいなのを教えてくれるはずだけどそれもなかったし...」
「おいお前!」
そこに現れたのは盗賊A、盗賊B、盗賊C。バンダナを頭に当て少し袖が破れているシャツを着たありきたりの格好をした奴らだ。いきなりの盗賊の登場に少年は少し困ってしまう。
「え?別に何もないですよ?あるのはこの剣だけだし...」
それは転生する前にくれたもので特に変わりのない普通そうな剣だ。そんな剣一つでどうすると言うんだ。そんな事を考えていると盗賊達は勢いよく襲いかかってくる。少年は怖がって目を瞑り剣を振り回す。
「うわあああ!!」
「うぎゃああああ!!」
何だかわざとらしい声を上げて盗賊達は倒れた。何が何だかわからないが他に人が居ないのを見て自分が倒したのかと少し自慢げになる。少年は「よーし、もしかしたら俺強いのかも!!」と呟き手を上に上げて進み出した。
しばらくすると街に出た。その街は多くの人で賑わっていた。そんな中を探索すると、何やら女性がチンピラに絡まれているのが見える。先程のことで少年は勢いづいてそのチンピラ達にも向かって行く。
「あ?なんだ?」
「おい、あの剣...」
「嘘だろ...何であの剣を???」
「この剣の事何か知ってるのか??」
「ひ、ひええええ!!」
剣を見るや否や慌てた様子で逃げていった。その襲われてた女性は「ありがとうございます」と言いながら少年の方を見る。とても美人だ。金髪のお嬢様という感じだ。
「お嬢様あああ!!」
まるで狙い澄ましたかのように執事っぽい風貌の人が現れる。そしてこのお嬢様風の女性を助けた節を伝えると少年にお礼を言う。
「ありがとうございますじゃ。ありがとうございますじゃ」
「いええ...そんな」
「おや、その剣は...」
「何か知っているのですか??」
「それは選ばれたものしか手に入れられない代物。どうして...」
「えっと...何だか女の人に貰って...それで...」
「まさかこのお方が選ばれた戦士!?!?」
「まさか!!」
なんだか驚かれたことに少年がよく分からず頭にクエスチョンマークを浮かべる。先程から何を言っているのか分からないが、「選ばれた戦士」と言うのはなんだか少年にとって心地がいい。自分が特別な存在なのだと言う優越感のようなものがあった。
「ドラゴンが来たぞ!!!」
「ドラゴンだ!!!」
話の最中だと言うのにドラゴンが舞い降りる。赤い体に火を吐く強そうなドラゴンだ。執事からドラゴンは選ばれた戦士しか倒せないと言う情報を聞いて少し怖いがそのドラゴンに向かっていった。自分にしか倒せないと言う気持ちを込めた一撃は見事ドラゴンを倒すのだった...。
✴︎
「どうだ?順調か?」
「ええ」
そこに集まっているのは盗賊、チンピラ、執事に襲われていた少女と少年に倒された赤いドラゴンだ。彼らは集まりながらあの少年の事を話していた。
「順調に異世界生活を満喫していますわ」
「ならいい。それが俺たちの仕事だからな。お前もよくやったな」
そういいながらチンピラがドラゴンを撫でるとドラゴンは嬉しそうな顔になり火を少しだけ噴いた。通信が入り、盗賊3人のうちの1人が「お、連絡だ」と呟いてそれを取る。
「はいはい、こちらは異世界転生者がストレスなく生活できるように支援する異世界サポートです。え?また異世界転生者?はいはいわかりましたよ」
「出番か」
「ああ、まずは俺たちがわざとやられて異世界転生者様に『自分は強い』と思っていただく所から異世界生活は始まる。俺たちの仕事はやられるだけでつまらないと言う奴もいる。だが俺は異世界転生者様がノンストレスで無双して気分良く過ごしてもらえることに嬉しさを感じてる」
「ああ、同感だ。だからこそ、俺たちの最初の仕事が重要ってわけだ...」