プロローグ2 カオリ登場
俺は必死に逃げたが、村の獣人達も必死に追いかけてきて、俺は茂みに飛び込むように隠れた
追ってきたのは2人。2人とも耳以外は人間のような見た目の獣人だ。会話の内容から推察すると親子みたいだ。
2人とも頭頂部に犬のような耳がついていて、息子の方は小さくてピンと立った逆三角形の耳、父親の方は大きくて少し丸みを帯びたダランと垂れた耳
クンクンと鼻を動かし2人とも俺の事を探している
見た目ほど鼻が良くないのか、俺の飛び込んだ茂みのこの植物が臭すぎるのか…
俺はまだ見つかってない
息子の方が、手に持った農具を振り回して叫ぶ
「出てこい猿!」
父親の方が、息子を諭すように言った
「おちつけカオル。まだこの辺にいるはず。ハーブの匂いが落ち着けばきっと見つかる」
優しい口調とはうらはらに、手には斧を持ち、目は見開き、殺気だっている
息子の方が興奮ん気味に鼻息をフーフーさせながら答えた
「うん」
「気をつけろよカオル。猿の亜人は不思議で狡猾な魔法を使う」
「わかってるよ。見つけたら迷わず殺す!!!」
こえーよ
猿の亜人とか、魔法とか、完全に人違いなんですけど…
フーフーと殺気立ちクンクンと俺を探す親子は、ゆっくり確実にこっちに近づいてきてる
このまま隠れてても大丈夫なのか・・・
それとも逃げた方が良いのか・・・
ピクっとカオルの鼻が動き
クルッとカオルが顔をこちらに向けた
え!?
やばい!!!!!!!
俺は声も出せずに心の中で強く叫んだ
誰か助けて!!!!!!!
ビタっと音がするように俺とカオルは目が合い
がルルと犬のように殺気を高めていくカオル
スッと誰かの影が視界にはいり
俺は慌てて振り向いた。
そこには父親が斧を振りかざして立っていた
カオルに気を取られている間に、父親が真横まで来てた
ブォンと音を立てて斧が振り下ろされ
バッと俺と獣人父の間に誰かが飛び込んできて
グシャと飛び込んできた人か獣人父を持っていた農具で刺すと
ガッと斧は地面に刺さり
ドサッと獣人父は倒れた
え?
よくわからなかったけど、
飛び込んできた人は、若い女の子であり小刻みに震え、おそらくは泣いている
飛び込んで来た人が苦しそうに言った
「お父さん…お兄ちゃん…ごめん…私…この人を…守るよ…」
え?
誰??
倒れた獣人父が最後の力を振り絞るようにいった
「そ…そんな…カオリ……」
カオルがパニック気味に声をもす
「なっ…何やってんだよ…カオリ…………」
絞り出すように女の子が答えた
「ごめん…おとうさん…おにいちゃん…」
振り向きながら斧を拾った女の子は、決壊したダムのように涙を流しながら、斧をカオルに向けた
え????誰???????