75話〜暴風〜
「……めてぇ……」
額にわずかな重さと冷たさを感じて目を覚ます。
まず視界に入って来たのは木製の天井だった。
黒い木で作られた天井。
確か俺は遺跡の崩壊に巻き込まれて地下水脈に落ちたはず。
だが俺は今、布団で寝ている。
ここはどこだと思いながら体を起こすと額に乗せられていたタオルがペトリと落ちる。
どうやら誰かが俺をここに連れて来てくれたようだ。
それにしてもここはどこだろうか。
そう思いながら布団から抜け出て外の様子を伺うべく窓辺へと歩く。
のどかな風が窓から吹き込む。
どうやらここはどこかの村らしい。
ただ、ここからではそれ以上の事は分からない。
ので、建物の外に出てみようと思ったら
「あ、気が付いたんですね」
ガラッと俺より先に戸を開け、褐色の肌の女性。
短い金髪にクリッとした目が可愛い女性だ。
「……えっと」
「いや〜、流されて来た時は驚きましたよ〜。レイブウルフの獲物で捕まっていたのかと思いましたもん」
「レイブウルフ? ……ウルを見たのか!?」
「え? え、えぇ……はい」
「今どこにいる!?」
「えっと、隣の部屋に……一緒に倒れていました女性と一緒に」
「女性……青い髪の人か?」
「はい……そんな感じの髪の人です」
「エンシさんだ……彼女は無事なのか?」
「あ、あぁ。君より先に目を覚ましたよ」
「そうか……それで、ウルは?」
「彼の方が重症でね。足を痛めたみたいでね。歩けるけど走るのは厳しいだろう」
「……アイツ。無茶しやがって」
気付けば呟いていた。
俺が地下水脈に落ちた際に襟を咥えて引っ張り上げ、俺が溺れない様にしてくれた。それだけじゃない。
水面に出ている岩に俺がぶつからないよう、泳いで進路を変え、時に自分の身を盾にしてくれていたのだ。
おかげで俺はほとんど怪我を負う事なく、ここで保護されたのだがウルは足を痛めてしまったのだ。
(あの時、またあの翼が出せていれば)
教国のコロシアムで、変異したルクスィギスを倒した際に出した黒い翼。
あれさえ出ていれば、俺に落ちて来た瓦礫は防げただろう。
翼なんだからきっと飛べるはず。
なら落ちなかったはずだ。
そうすれば全員で脱出できたはずだ。
肝心な時に出せなかった。
どんなに強い力を持っていても肝心な時に出せないのであれば意味が無い。
自分の力を使いこなせないのであれば、それはただの無能だ。
「あ、あのぉ」
「……あぁ、ごめん」
「とりあえず、ご飯できていますので」
「……ありがとう」
「はい!!」
笑顔で答えた彼女に連れられ、廊下を進む。
「……君が連れて来てくれて助かったよ」
「いやいや……お礼は君の、ウル君? に言ってあげてよ」
「ウルに?」
「うん。彼ね、自分の手当てよりも君のそばにいたがってね。大変だったんだよ」
「……そうなんだ」
「あ、ウル君はもう元気になったからね? 安心してね」
「……ありがとうな」
「いえ、母の教えですから」
「お母さんの?」
「はい。困っている人や弱っている人がいたら助けてあげる様にと、小さい頃から教えられているんです」
「そうなんですね」
それは簡単で、とても難しい事。
それを子どもに教えて、それを実行できる彼女はとても素晴らしい人なんだろう。
「……遅くなったけど、俺の名前はハヤテって言うんだ」
「そうなんだ。私はマドカ。よろしくね」
「おう」
振り返り、ニコリと笑うマドカ。
「あ、そうそう!! お母さんのご飯はとっても美味しいからね!! 遠慮しないでドスドス食べてあげてね!!」
「ド、ドスドス? ……」
ドシドシとかジャンジャンじゃないのかと思いつつ、俺はマドカに連れて行かれた。
「どうかな。ご飯、美味しい?」
「えっと、はい……メチャクチャ美味いです」
「そう。良かったぁ」
ホワホワと微笑みながら飯を食う俺を見る女性。
雪の様に白い肌に長いブロンドの髪。
おっとりとした目をしており、子どもがいるのだろう。お腹が膨らんでいる。
「でしょ!! 私のお母さんのご飯は美味しいんだから!!」
「こーら、ハヤテさんが驚いちゃうでしょ?」
「ごめんなさーい」
「まぁまぁ。ロウカの飯は天下一品だからな」
旦那さんだろう。
隣に座るダークエルフの男性が言った女性の名前。
その名前は、はぐれたロウエンの娘と同じものだった。
「やめてくださいよもう……恥ずかしいです」
「だって本当の事だからなぁ?」
「そうですよロウカさん。とても美味しいですよ!!」
「ガウ!!」
エンシさんの言葉にウルも頷く。
実際ロウカさんのご飯は美味い。
温かい豆のスープに程良く溶けたチーズが乗ったパン、ベーコンと野菜のサラダとウインナーとチーズを一緒に焼いた料理が出されており、美味しすぎて手が止まらない。
ウルには生肉が出されている。
「お二人も仲良し夫婦で羨ましいですよ」
「仲良し……かぁ。初めは大変だったんですよ?」
「そうなんですか?」
「リーヨウさん、やめてくださいよ」
エンシさんの言葉に馴れ初めを話し始めるリーヨウさん。
彼が言うにはロウカさんとの出会いはもうだいぶ前の事。
ロウカさんが所属していたパーティーがこの村に寄った際、病に伏していた彼をロウカさんが看病してくれたのだという。
この村は昔はダークエルフだけが住んでおり、ダークエルフの里と言われていたのだという。
ダークエルフはエルフと同じかそれ以上に希少な種族。
エルフは数を増やしつつあるため、ウインドウッド村のように人前に出て来る者もいる。
が、ダークエルフは違う。
その美しさから王侯貴族が血眼になって探し、骨は漢方になるという誤った情報のせいで教会も血眼になって探し、売れば金になるという事で冒険者達が血眼になって探した結果、数は激減したのだ。
その結果ダークエルフは過去の事から人間を憎み、警戒している。
ただ、この村の人達は比較的人間に有効的らしい。
そしてこの村にはダークエルフの他にも、住処を追われた人狼や猫人、怪我を負ったゴブリンやオーガ、更には魔女の家ではさまざまな要因で家を失った人間の子も暮らしている。
この村では、様々な人達が力を合わせて暮らしているのだ。
そしてリーヨウさんはこの村の村長をしているのだという。
「にしても君達の怪我が大した事なくて本当に良かったよ」
「いえ、全部マドカさんのおかげですし」
「そうだぞそうだぞ。もっと感謝したまイテッ!?」
「こーら。調子に乗らないの」
「ごめんなさーい」
ロウカさんにポカリと頭を叩かれて舌を出すマドカさん。
聞けばマドカさんは一人で森の中を歩いていた時にとある剣士に拾われてパーティーのメンバーに育てられたのだという。
一人になった理由はよく覚えていないらしいが、悲鳴と怒声を覚えているのだそうだ。
多分、ロウエンが言っていた襲撃の事だろう。
「……あの」
「うん? ……あ、ご飯おかわりする?」
「いえ。あの……ロウカさんのお父さんを、俺……知っています」
「……え?」
「その……俺のパーティーのメンバーが昔、娘さんが行方不明になったって言っていて、その名前が」
「……お父さんが……いる?」
「……その人の娘さんの名前、ロウカさんと同じなんです。だから、もしかしたら」
「嘘……」
ジワリ、と瞬く間にロウカさんの両目が涙でいっぱいになる。
「良かったじゃないかロウカ!!」
「お母さんのお父さんって事は……お祖父ちゃん!?」
「そうだぞマドカ!! おじいちゃんに会えるんだぞ!!」
「わーい!! 楽しみ!!」
盛り上がるリーヨウさんとマドカさん。
その隣で両手で口を押さえ、目を閉じて何度も頷くロウカさん。
「あ、でもまだ……」
そう言ったところで俺は隣に座るエンシさんに脇腹を小突かれ、足をウルに踏まれた。
そうだな。
言うだけ野暮ってやつだなと思い、言葉を飲み込む。
良かったなロウエン。
多分だけど娘さんと再会できるぞ。
しかも旦那さんがいて、娘がいて、また子どもが生まれるそうだぞ。
お前、一気にお祖父ちゃんになるぞ。
普段余裕ぶっているアイツがどんな反応をするのか、今から楽しみだ。
と、その微笑ましい光景を見ながら美味い飯を食べている時だった。
「た、大変だリーヨウさん!!」
「オッカウ? どうしたそんなに慌てて」
家の戸を勢いよく開けて駆け込んで来た一人の男性。
雄牛の頭をした筋骨隆々の男性は息を切らせなが入って来るや、来た道を指差して続ける。
「に、人間が!! 教会の奴等が!!」
「おい、落ち着いて話せ」
「攻めて来やがった!!」
「何!? ……皆はどうしている?」
「子どもと女は逃しているけど……」
「待っていろ。俺も行く……追い出してやる!!」
「無理だ……アイツ等はただの教会の奴等じゃねぇ」
「何だと?」
「アイツ等、聖勇教会の奴等だ!!」
「何だと!?」
「何!?」
聖勇教会と聞いた、俺も叫んでいた。
「ふむ。やはりダークエルフの女は良いですなぁ」
「左様。ですがこちらの人猫の雌も良いですよ」
「グッフフフ……良いですね? 皆さん。かわゆい女は私の所へ」
「反抗的な雌は私の所へ連れて来なさい」
「他は貴方達が好きにして宜しいですからね〜」
俺達がオッカウさんに連れられて来た所ではそんな会話がされていた。
ブクブクに太ったオッサンと神経質そうなオッサンが嫌がるダークエルフの女性と人猫の女の子を抱き寄せはその感触を楽しんでいる。
そしてその後ろには大勢の騎士が控えていた。
「何やってんだよ!!」
「おや? こんな肥溜めに人間がおりましたか」
「肥溜めだと?」
「左様。この様な魔族が暮らす村を肥溜めと言わずして何と言いますか? ん〜……おっと逃しませんよ?」
「ングゥ!?」
俺と話しながら、腕から逃れようと暴れる少女を大人しくさせるために空いている手で鼻を摘み口を押さえる。
「んっぷ……うぇぇ……」
「コレコレ〜いかんよ〜? 君みたいな薄汚れた魔族は、私達に浄化してもらってやっとその命が認められるんですからね〜? はい、浄化しますよ〜」
「い、いや……やぁ」
「ん〜……」
「うぅぅんっ!?」
泣いて嫌がるダークエルフの女性に無理矢理キスをするデブ。
初めはジタバタと腕を振って暴れる女性だったが、徐々にその勢いは衰え、やがて……
「おや……悲しきかな。私の浄化に耐えられないとは」
彼女は死んだ。
「まぁ良いでしょう。連れ帰って防腐術をかけ、楽しむとしましょう」
「ゲスが!! それが聖勇教会のする事ですか!!」
「おやぁ? 貴女は」
「クラング王国のエンシ・リバランス!! 訳あってこの村で休ませてもらっている者だ!!」
「良い体ですねぇ。僕の愛の浄化を受けますかな?」
「いえいえ。その反抗的な目。たまりませんねぇ……ここは一つ、私からの試練を与えてみましょうかね」
「ふざけるな!! 騎士である私にその様な事……侮辱と知れ!!」
マドカさんが回収しておいてくれた鎧を着たエンシさんが槍をオッサン達に向けて叫ぶ。
「ふむ……そんな事をされますと」
「っ!? ……くぁっ……」
「ますます屈服させたくなりますねぇ」
「あっ……あぁっ」
「聖奴隷化はいかがですかな? エンシ様?」
「ひっ……くっ!!」
「おぉ、立てますか。では更に上げましょうか」
「やめろよ!!」
「おやおや、そちらの君は」
「ハヤテさん……下がって」
「エンシさんをこんな目に遭わせておいて……ふざけやがって」
「ハヤテ?」
「でしたらこいつが……」
俺の名前を聞いて二人の様子が変わる。
掌返しと言えば良いだろうか、人当たりの良い笑みを浮かべて俺を見るや
「ここにおりましたか!! 探しましたよ!!」
「えぇえぇ、人類の希望の勇者様!! ここに囚われておりましたのですね!!」
「なに?」
「我々は貴方を探しに来たのですよ。いやはや……驚きましたよ。ねぇラーグール卿」
「全くもって驚きですなぁ、グラスメント卿」
どうやら二人は俺を探していたらしい。
聖勇教会の人間なら一応勇者のスキルを持つ俺を欲しているって訳か。
ならば
「俺は囚われて等いない!! 彼等は俺を助けてくれたんだ!!」
そう叫ぶ。
が
「勇者様は騙されているのです」
「そうですな。これでは勇者様が汚されてしまいます。皆さん、勇者様を誑かす悪しき魔族に裁きを下すのです!!」
「俺の話を聞けよ!!」
ラーグールの号令のもと、控えていた騎士達がなだれ込んでくる。
騎士達の手には剣に斧、弓といった武器だけでなく、足枷や首輪まで持っている。
「やめろ!! こんな事して何になるんだよ!!」
「何に、ですか? そうですねぇ……人類平和のためのお掃除ですかね」
「左様。デュフフ……美しき物は我等の為に生かされますが、そうでない物は皆ここで切り捨てるのでーす」
「何故そんな事をする!? 私達が何をした!!」
「おやおや、貴方がここの村長様ですか?」
「何をした……ですか。簡単な事ですよ。貴方達魔族は、その存在自体が許されないのですよ」
「なっ……私達はただ、静かに過ごしているだけなのに……何故だ、何故お前達人間は!! 我等を常に敵として見る!!」
「敵を敵として見て何が悪いのですか!!」
「くっ!! ……」
リーヨウさんの言葉騎士達の雄叫びがかき消す。
至る所で魔族が斬り殺され、また美しい魔族は首輪や足枷をつけられて引き摺られ、連れて行かれる。
「っ、やめ……」
「おっと、その騎士さんは傷付けてはいけませんよ? 私が躾けるのですからねぇ」
「くっ、来るなゲスが!!」
槍を振り回して騎士達を牽制するエンシさんだが、熱を出している時のように顔が赤く、槍のキレも冴えない。
グラスメントがかけた聖奴隷の影響なのだろう。
俺は俺で槍を振るい、騎士達から魔族を守ろうとするが多勢に無勢。
俺が相手をできるのよくて二人まで。
その間にも俺の真横を騎士が駆け抜けていき、魔族が犠牲になる。
(ダメだ……このままじゃ)
ロウカさん達まで犠牲になってしまう。
それだけは、それだけは絶対にダメだ。
ここの村の人達は、いろんな傷を負って苦しんで、その痛みを共有して、支え合って生きて来たんだ。
その中で同時に優しさも得て、とても温かい村を作ったのに。
「どうして……」
騎士と槍で競り合いながら呟く。
「どうして……」
結局はこれも、聖勇教会のあの二人が力に溺れたからなのか。
「なんで……」
その力を誰かを助ける為に使ってくれないんだよ。
「なんでだよ……」
ギリッと歯を食いしばる。
また俺はこんな肝心な時に力を使えなくて、ただ見ているしかできな……
『大丈夫だよ……』
「えっ……」
フワリと、突然背後から誰かに抱きしめられた。
柔らかく、温かい感触。
『大丈夫だから……君は、その怒りを吐き出せば良いよ』
俺と競り合う騎士が何の反応も示さないので、多分俺を抱き締めている人は俺にしか見えないのだろう。
「き、君は?」
「何? 俺の名は」
『私の名前はナサリア。前の聖剣の担い手……そして』
「あっ……」
「おい、名乗ったのに無視をするとはどういう……」
『君に感謝する者だよ』
「アァァァァッ!!」
背中から黒い翼が生えた。
「何と!?」
「あれは……」
ルクスィギスと戦った時と同じ、黒い風の翼。
「ォmァェ……rァ……yゥrゥ……sァ ……nァ……ィ」
翼が騎士達に襲いかかり、胴を貫き、切り飛ばしていく。
それも無作為にではなく、魔族に近い者から順にその命が風に吹き消されていく。
「ォ、ォォォォォ……ォォォォォ!!」
「仕方ありませんね……矢を放ちなさい!!」
ラーグールの号令で俺目掛けて雨の様に矢が放たれる。
「……yァ ……ァァ……」
軽く腕を振る。
それだけで矢は吹き飛ばされ、騎士達の頭上に綺麗に降り注ぐ。
「矢がダメならば騎士達よ!!」
グラスメントの号令で今度は全ての騎士が俺に向かって来る。
そうだ。
それで良い。
魔族を狙うな。
俺を狙え。
その方が……
「がっ!?」
「何!?」
「バカなっ!!」
俺が狙いやすい。
翼から放たれた羽が鎧を易々と貫き、数多の風穴を開ける。
「ちっ、役立たずが……こうなったら」
「kァェsェ」
「のぁ!?」
翼から伸びた羽が、ラーグールとグラスメントに捕まっていたダークエルフと人猫をかっさらう。
「な、何をするですか!! そもそもその女はもう死んでいるのですよ? ……ま、まさか貴方にはそっちの趣味が!?」
「返しなさい!! その娘をさっさと返しなさい!!」
何か二人が叫んでいるが気にしない。
グラスメントから脱出した人猫はさっさとリーヨウさんの元に逃げて行った。
問題は死んでしまったダークエルフ。
だが、問題無い。
「nァrァ……mォdォsゥdァkェ」
翼から羽が巻き上げられる。
その羽はダークエルフの女性だけでなく、襲撃で犠牲になった者達へと舞い落ちるやズブズブと沈み込んでいく。
そして……
「あ、あれ……私……」
目を覚まさせる。
「そんなバカな!?」
「kァェsェ……kァェsェ……kァェsェ!!」
「ひ、ヒィ!?」
「た、助けてくれぇ!!」
俺の言葉に応じる様に翼が巨大化していき、更にもう一対が追加で背中に生える。
どうやら俺の感情に応じて強化されるようだ。
そして増えた翼は魔族を引きずって連れ去ろうとした騎士へと襲いかかり、魔族達を解放する。
「あんなのにどうやって勝てって言うんだよ……」
「悪魔だ……悪魔だぁ!!」
「ウワアァァァッ!?」
至る所で騎士達の悲鳴が聞こえる。
「……ふむ、ここまで来ると分が悪いですな」
「……仕方ありませんが、今回は帰りましょう。幸いな事に、我等には転移結晶がありますしね」
「騎士達はまた補充すれば良いですからねぇ。ここで肉壁となってもらいましょうか」
「では、勇者ハヤテ殿。いずれまた……迎えにあがりますので」
「nィgァsァnァィ……」
四枚の翼から針状に伸びた羽根がラーグールとグラスメントに襲いかかる。
だが彼等は刺し貫かれる寸前の所で転移結晶によってこの場を離脱。
羽根は何も無い空間を刺し貫いて止まったのだった。
それからの事を少しだけ話す。
指揮を執っていた二人が撤退した事と、俺の翼を見た騎士達は即座に降伏。
今は村の一角にある小屋に押し込められているそうだ。
そして犠牲になった騎士達は村の人達の手によって葬られた。
憎いけれど死んだら関係無い。
見捨てられた可哀想な彼等をせめて私達がという事らしい。
俺の翼によって生き返った人達は全員、体に異常が無いかどうかを村の医者でもある魔女に診てもらっているそうだ。
そして俺だが
「っ……グウゥゥゥッ!!」
貸してもらったリーヨウさんの家の一室で頭を抱えていた。
騎士達が降伏し、翼が消え、この部屋に入ってからずっと頭が痛いのだ。
多分、翼の反動だと思う。
ロウエンが以前、俺が聖装を使って反動を受けたと言っていたのと同じく、俺のレベルが足りていないのだろう。
しかも今回は翼が四枚に増えた。
その分、反動も大きい。
これが怒りの代償だった。
だが、俺はまだ良い方だ。
だって今回は、エンシさんも苦しんでいるのだから……
お読み下さり、ありがとうございます。
聖勇教会のトップ……クソですね!!
あのグラスメントの野郎……エンシさんに何かやって帰りやがったし!!
許さねぇ!!
ラーグールの奴も……
って俺が考えたキャラだぁ……
ハヤテはハヤテで何かやばい奴に憑かれた(?)かもしれないし……
はぁ、癒しはもうロウエンがお爺ちゃんって事ぐらいだよ……
ブクマ、星ポイント、本当にありがとうございます!!
いつもメチャクチャ励みになっております!!
次回も引き続き、読んでいただけたら嬉しいです!!
次回もお楽しみに!!