序章
「んぁ~眠い」
4月の始まり新入生だろうか
桜並木を歩きながら呟く黒く無造作な髪形の少年【幾総 真】は眠いと言いながら
自分のペースで初めて行く高校への道を歩く。
「よう、シン!相変わらず眠そうな顔してんなぁ~」
ふと後ろから声をかけられたがチラリと一瞥したのちまた歩き出す。
「ちょおい、シン!」
なおもしつこく話しかけてくる少年にシンは深々とため息をつき話す。
「なんだ。ただのゴミか・・・」
「おい!こら!ゴミじゃなくて吾味!ニュアンスが違うだろ!」
シンにゴミと言われた金髪の少年【吾味 譲】は喚く。
「だからゴミだろ?」
「いやだから吾味!」
「だからゴミだろ?」
「あーもういいや。んで?中学と違ってどうよその器具?」
吾味は真の耳についているイヤホンみたいな器具を指差しながら問いかける。
「んーまぁまぁかなぁ。多少マシには聞こえるさ。」
「そかそか!なら良かった!」
「まぁ多少聞こえたところでニュアンスとか発音はわかんねぇけどな。」
「そうかぁ、まぁなんにせよあの人が開発してくれたんだから大事にしろよ!」
「へいへい」
その後も吾味と騒ぎながら真は歩き出すがふと桜の木を見上げ呟く。
「いいよな、障害がないやつは。俺もあいつみたいに普通でいたいのにな・・・」
「まぁ、ないものねだりか。にしても俺の能力って結局なんなんだ?」