エンドプロローグ
初投稿です。
ギィィ・・・
閉ざされた扉が嘆きの音を立てて開かれた。
「クソッ聞いてないぞこんなもの!!」
扉を開いた男、シンはボヤキながらも目の前の惨状に魅入られる。
ぐちゃり、ぐちゃりと歪な音が響き、余りにもおぞましい光景に
シンは込み上げる胃液を必死に抑えようとするが、こらえ切れず吐しゃ音をまき散らす。
「あれ?お兄さん、どうしたの?」
おぞましい光景と歪な音を出している少女が問いかけてきたが、
シンには答える余裕などなく、ただひたすら固まる。
あぁ、いったいどうしてこうなったのだろうか。
まどろみ薄れてゆく意識を何とか保ちつつ
シンはきっかけを思い出そうとするが
それよりも早く少女がこちらに来る方が早かった
「アハッ・・・お兄さんも美味しそう・・・」
「来るな、来るな!この化け物!」
瞬間、少女の顔が歪む。
まるで何かに打ちひしがれたような、悲しみを堪えるように。
「お兄さんまでそんなこと言うんだ・・・」
「あ・・・」
シンはその少女の顔を見て自分は選択を間違えた気がした。
少女の顔はおぞましい光景を引き起こしたとは思えないほど
可憐でその顔はとても悲壮感に満ち溢れていたからだ。
「そっか・・・」
少女はそれだけつぶやくと涙を零しながらシンに問いかける。
「お兄さんもあの時とは違って他の人と同じなんだね。なら要らない。」
「あの時?何のことだっ!!俺はお前なんか知らない!」
「あぁ、お兄さんももう・・・」
少女はさらに涙を零しながらシンに悲嘆に満ちた笑顔を向ける。
シンはその笑顔を見て少女の言うあの時を必死に思い出そうとする。
その様子を見ながらも少女は更に呟く
「お兄さんももう忘れちゃったんだね。」
その呟きを聞いてシンは思わず呟く。
「記憶にない・・・いや忘れてる?いや、だが俺の能力は・・・」
「お兄さん・・・」
少女はその様子を見ながら更に涙を溢れさせ何かを決めた表情をする。
「なぁ、君は一体誰なんだ?」
シンはそう問いかけるが少女はもはや反応しなかった。
「お兄さん・・・今までありがとう。さようなら。」
グシャッ
何かがつぶれた音がした。
「もういいや。疲れた。全部壊れちゃえばいいのに。」
ザザッ・・・ザザザッ・・・プツン
「アハハハハハハハハ・・・サヨナラ」
おぞましい光景の中少女は消え、ただ静寂のみが残った。