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かなしみの器

作者: みなみ 弘之

かなしみって嫌なもんだね…


ああそうさ、かなしみがなけりゃ絶対にさ、迷惑もなけりゃ変態もいないしさ、かなしみが駄目なのさ 余計なのさ



じゃあいらない奴って誰のこと?



まあそういやがるなよ、自分の事をさ



かなしみが好きな奴なんていないだろう?



そりゃ元々好きな奴なんていないよ でもさ

今おれたちスッゲーかなしくない?


……。


おれ、バンドやめるわ。


……。



かなしみは、僕らの事実であった。そしてかなしみの誤算もまた、僕らにとって事実であったのだ。



翌朝 晴れた日曜の朝 アパートの僕の部屋にはくだらないと決め付けたデモテープと 割られた猫の貯金箱と それらをじっと見つめる僕と ラジオ局からの非採用通知と ひとつの青春の終わりの予感が 漂い沈黙していた



もう一歩 踏み出してみよう 僕がそう悟ったのは 3日後 故郷へ向かう 電車の中であった



かなしみがいけないんじゃなくて かなしみを受け入れられない 僕たちが いけなかったんだね



芸術って何だろう?



そればかりを思い煩っていた僕がいたんだ。



大切なのは

「本当のこと」に目を向けること ただそれだけだったのかもしれない…



甘く考えてはいけない と 自分に鞭を打っては逃げ口上ばかり作っていた



僕は故郷へギターを抱いて帰る



ギターはまだ続けるつもりでいる



さあて 母校の学園祭ライブに飛び入りでもしようか!

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― 新着の感想 ―
[一言] 最後の一行(さあて 母校の学園祭ライブに飛び入りでもしようか!)で雰囲気がガラッと変わったところなどがとても良かったです。
[一言] はじめましてm(__)m ただ悲しみだけが漂うだけでなく、悲しみの奥の小さな強さを物語の中から感じました。 主人公のラストの言葉、とても好きです。 夢に絶望してもなお、彼はギターを捨て…
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