石のこととか、あと、やばい
ブクマ増えてきてうれしい
驚きの結果にその日はなにもする気が起こらず、めしも食わずにそのまま寝ちまった。なんか俺ってすごく燃費よくね? あまり空腹を感じないからついめし食わずにすごしてしまうんだが。ただ、逆にやたらすぐ寝てしまうってのもちょっと気になる。ある意味燃費とバランスとってるんかね? わからんが。
翌朝、朝風呂に入ってすっきりしたところで、青い小石のことも気になったので昨日の後片づけを行った。といってもまぁスコップ仕舞って、土だらけで脱ぎ捨てたままのジャージを洗濯しただけなのだが。ジャージパンツのポケットにはしっかり青い小石が収まっていてホッとした。
キッチンでパンをかじりながら小石を改めて観察してみた。大きさは俺の小さな手でもぎゅっと握りこめるほどには小さい。大きいところで3cmもないくらいのいびつな形をした石……だと思う。確信はない! 表面はつるつるして透明に近く、中心に向かって青色が濃くなっていく感じだ。青色と言ったけど、よく見ればなんだか俺の目の色が濃くなったらこんな感じになるんじゃないか?って思える色だ。青紫って言ったほうがいいのかもな。
こいつがあの夜、ミニクレーターを作った原因だと、俺はなぜか確信を持ってる。それに見てるとすごく安心するというか、気持ちが落ち着いてきて体がすごく楽になる。この気持ちはとても言葉で表現できない。恥ずかしさを振り払ってあえて言うなら――。きっと母親のお腹の中にいた時の安心感、包まれ感のようなものかもしれない……しらんけどっ!
この石が一体どこから来て、どういうものなのかっていうのは全く分からない。けど、――少なくとも俺にはこいつが害のないものだってことはわかる。これは理屈じゃない。
「お守りにでもするか」
なんとなく身に着けておきたいと感じた俺はそう思い立ち、さっさとネットでお守り物色するため残ってたパンを小さな口の中にねじ込んだ。
お守りは色々種類があったがあまりにお守り然としたやつはかっこ悪い(ま、誰に見せるわけでもないんだけどな)んで、なるべく小ぶりに見えるネックレスタイプのものにしたい。ネックレスに付いた小袋に石を放り込んでおく感じだな。ほんとなら石に穴をあけて直接ぶら下げるように出来ればいいんだろうけど、加工するのは大変だしな……。
「ま、これでいいや、ほれポチっとな」
色々見ていく中でまぁまぁ気に入ったやつがあったのでさくっとポチった。
あれこれやってるうちに時間なんてものはいやでも流れる。
俺の中で先日の一件はなかったことになった。(お守りはしっかり首にかけてるわけだが)
一件? なんだっけ?
ここ最近は女化する前の生活パターンにすっかり戻り、何もなかったんじゃないかって気がするくらいだ。(しつこくてすまん) 宅配便祭りも一息ついた。いや、平和っていいな。小さくなった体に合わせて補助する道具も用意したからとりあえずはなんとかなってる。……踏み台使うのはかなりの屈辱感だがな!
ところで俺も田舎暮らしなわけだから車なんてものを持っていたわけだが、これはもう無用の長物と化してしまった。つい先日試しに乗ってみたんだが、前は見にくいは足は届かんはでまぁ、お察しってところだ。この辺、冬はけっこう雪が積もるから四駆のでかいやつ乗ってたもんだから、そもそも乗り込むことすら大変だったわ。っていうか見た目小さな女の子の俺が運転してたら速攻捕まると思うがな!
――これ泣いていいとこだよな?
けど真面目な話、車が使えないとなるとちょっと不便というか大変かもしれない。今のところネット通販でみんな済ましてるけどそろそろ色々やばい。ちゃんとしたおいしいご飯食べたい。レトルト飽きた。いくら燃費よくても話は別、おいしいは正義。あ、コンビニも行きたい!
俺引きこもりを自認してたけど、ほんとに籠ってみると案外外に出てたんだなって実感した。ちなみに俺の家から一番近くのコンビニまで車で5分ってとこなんでそんなに遠いわけでもない。だがしかし。それを徒歩に置き換えてみろ。距離にして3キロ程度だがあら不思議、俺の足だと1時間くらいかかっちまうわけだ。ばかにならん! はっきり言おう、「いやである!」と。
はぁ、誰に力説してんだ、俺。
兎に角。覚悟決めて一度出かけてみようかなぁ……。そうだな、変に近場だと地元でうわさになるからひと思いに街まで出たらいいんじゃね? どうせ出かければ疲れるんだし、それなら街行って買い物。いいなこれ。最悪目立ったとしてもその時限り。次行く時にはほとぼりも冷めてるってな!
よし行こう、いつ行こう、どうしよう……
なんてくだらないこと考えてたときだ。
「兄さん、ただいまーー!」
え?
「兄さ~ん、いるんでしょー? ……ちょっと、この小さい靴なに? 誰かいるの~?」
ええっ?
ちょ、まって。
待ってくれ。
おま、なんでまた急に!
やっべ。
妹、帰ってきた――。
知ってた