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女の子になったけど淡々と暮らしたい──ちょっと不思議もあるかもね──  作者: あやちん


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初めての!

続き!

 女化してから数日。

 俺の体が元に戻るってことは今のところ……、兆しすらない。これはもう正直あきらめてるけどな。

 ネットで注文した衣服関連も無事届き、もうしっかりパンツも履いてる。なんというか俺が女物のパンツを履くようになるとは、世の中なにがあるかマジわからんものだ。つか、あってたまるか。履き心地はけっこういいな、やわらかいし、前に邪魔になるもんも無いから非常にスッキリしてよろしい。

 しかしまぁあれだな。女の体になってやっぱほら、もと男としては最初こそ色々確認してみたものの、今となってはなんの感慨もわかんな。子供体形ってのもあるんだろうが、やっぱ自分の体にエロさは感じられんし、欲情するなんて感情これっぽっちもわき起こらん。正常な男子レベルの性欲とか普通にあったと思うんだがなぁ。

 最近の俺は長い髪をどうまとめるかをネットで色々検索しては自分なりに挑戦している。尻まで伸びてるし、けっこうボリュームもあるから扱いに困ってるわけだ。バッサリ切ってしまえば楽なんだろうが、なんかその、もったいなくて。まぁこれが夏だったら思い切ってたのかもしれんが、これから冬を迎えることもあり、いまだ長いままだ。

 うん、いいよなポニーテール。なにより編み込んだりするより断然楽だ。結ぶ位置とか結わえ方でアレンジもしやすいしな。当分はこれで行こうかと思ってる。


「ピンポーン」


 お? 玄関のチャイムが鳴った。うん、また宅配便かな。ネットで色々買い漁ってるのもあって、ここのところ毎日のように宅配業者がやってくる。最初はちょっと焦った。女の子の姿で人前に出るなんて、難易度高すぎだと思った。いや、向こうはこっちの家の様子なんて知らないんだし自意識過剰なんだろうけど。元々引きこもりオタで、今は輪をかけてこの姿な訳だし。ちょっとビビリ入ってしまっても仕方なかったと思う。


「は~い」


 可愛らしい返事とともに小走りで玄関まで向かう。これくらいネトゲでネカマプレイをやったこともある俺からすれば難しくもなんともない。鍵を開けて出迎えてやって、俺の顔を見てぽか~んとなるまでがテンプレだ。


「あっ、その、北美さんのお宅でよろしかったですか?」


 ほら、ぽか~~んだ。戸惑ってる顔が面白い。


「はいそうです!」


「幸紀さん宛の荷物をお届けにまいりました。ご家族の方はご在宅ですか?」


 見た目11、2歳程度の俺に直接渡すのはとりあえずないと思ったのか、まずそんなことを聞いてきた。


「家族は今誰も居ないので私が受け取るの!」


 そう言いつつその人の顔をいいよね? って感じで覗き込む。おお、兄ちゃん、頬がゆるんでるぞ。


「そ、そうなんだ。じゃ、じゃあ、ここに印鑑もらえるかな?」


 まだ若い配達員の兄ちゃんは、ちょっとくだけた言葉使いで俺の顔をちらちら見ながらも特に疑うことなく受け取りの紙を俺に差し出す。俺は待ってましたとばかりに手に持ってた印鑑をポンと押し、にっこり笑顔を向ける。


 それを確認してもらい、無事荷物を受け取った。配達の兄ちゃんも「ありがとうございました」の言葉とともにいい笑顔を浮かべ帰っていった。ロリコンにならなきゃいいな、お兄さんっ。


 ってな感じで、問題ないって確認できた今はもうあしらいもばっちりだ。



 さてとだ。今日はちょっと外に出ようと思ってる。この姿になって初めてでちょっと怖いけど、これだけは一度再確認しておかなきゃいけない。そう、あの忌々しいクレーターだ。別に何を求めてってわけじゃないんだが、一度はしっかり確かめておきたいじゃないか。

 昼過ぎたばかりで日差したっぷり、穏やかに晴れてて探検にはちょうどいい。家の物置からスコップを持ち出し、両手に軍手を装備だ。服装は動きやすい様にジャージに着替え、足元はスニーカーで決めてる。ついでに水筒をパイスラだ。(パイはないけどな)当然みんなネットで買った!


「う~ん、日差しがまぶしい……」


 外に出て歩き出した途端お日様の洗礼を受けた。俺の目はどうやら日光に弱いらしい。まぁすみれ色なんて、いかにも色素足りなさそうではある。サングラスとか欲しい感じだな。ま、そうそう外に出ることもないし、今日は我慢だ。


「ふぅ、やっとついた」


 裏山に向かう小径(こみち)をてくてく歩くこと10分。ようやくクレーターの淵までたどり着いた。意外と時間かかったな。やっぱこの体だとリーチ不足でとろいな。まぁこのちっこい手でスコップ持って歩いてたしな、おかげで手がだるい。


「さて、どうしたもんかな」


 放射線やらなんやら色々心配してたものの結局今の俺は無防備そのもの。どうせ被爆したとかだったら今更だしやっぱ好奇心が勝った。クレーターはすでに落ち葉でかなり埋まりだしてて中心部あたりの地面は全然見えてない。


「んー、ちょっと高いけど飛び降りたろ。上るときは這い上がればなんとかなるだろ」


 などと安直な考えのもと、それでも一番低そうなところを選んで思い切って飛び降りた。ガサガサと落ち葉を散らかしつつ降り立つもちょっと足痛い、俺涙目。んでもって先に放り投げてあったスコップを両手でしっかり持ち、落ち葉をばっさばっさと掻き分けて中心辺りを露出させた。


「さーて、何が出るかな? 何か出るかな?」


 表面には相変わらず何も見当たらない。俺はスコップをざっくりぶっさしてとっとと掘り進めることとした。



 ――で、掘り始めて2分もかからずばてた。ばてました!



 体力なさすぎ、俺。

 おまけにケガした!


「痛い……」


 関係あるかどうかはわからんが、掘り起こした土の中に小さくてきれいな青い石が紛れてるのを見つけ、つまみあげようと手を突っ込んだところで石ころか何かで切っちまった。けっこう血が出てる。お茶飲むのに邪魔だからって軍手外してたんだよな、意味ねぇ……。切れた指先をちゅーちゅー吸いながら、一気にやる気無くした俺。


「帰ろっと」



 結局この日の成果は青い小石と指のケガっていう、しょぼいものとなったのだった。


北美さん家の幸紀さんでしたw

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