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女の子になったけど淡々と暮らしたい──ちょっと不思議もあるかもね──  作者: あやちん


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32/51

石オタ無双!

創作うんちく回w


2019/12/28 ちょっと表現を見直しました。

 3月に入り、雪も時折り思い出したように降るくらいになった。

 一面に積もってた雪もずいぶん少なくなり、出歩くのに困るようなことも無くなってきた。冬のシーズンもあと少しで終わりだなって、思わせてくれる。雪景色も嫌いじゃないけど、やっぱ寒いのはつらい。


 俺はあのスタンガン野郎のせいで2月はほとんど外に出してもらえなくて、堪ったもんじゃなかった。幸奈の行き過ぎた過保護っぷりは、引き籠りの俺でも、さすがにうんざりに思うほどだった。

 やっぱ、あの日、俺を(なか)ば強引に連れ出したことを悔やんでるみたいだ。ったく、そんなのぜんっぜん、幸奈のせいじゃない、あれは俺の為にしてくれたことだったというのに……。


 でもまぁ、そんなムカつかせてくれたスタンガン野郎だが、とうとう捕まったって連絡が警察から来て、俺も幸奈もようやく胸を撫で下したろしたってところだ。


 これで幸奈の過保護が落ち着いていってくれればいい……と、切に願う今日この頃なのである。




 そんな春が近づいてきたある日。(うち)に来客があった。


「こんにちは~、幸音ちゃん瑠美(るみ)だよっ、お邪魔しま~す!」


 聞いただけで元気が天元突破(てんげんとっぱ)しそうな声。瑠美だ……。玄関でいきなり名前呼ぶな!

 お・ま・え・は、小学生か! いや、以下か?


「瑠美ちゃん、いらっしゃ~い……」


 幸奈が出迎えてる声が聞こえてくる。お願い、丁重にお帰り頂いて。

 むむ? 野郎の声も聞こえる。……晃生(こうせい)も来たんか。まぁ、瑠美一人で来るのは大変か。兄妹仲のいいこって。


 あ……、いや、晃生の目的は幸奈だから持ちつ持たれつだな。この打算兄妹!


 なんかドタバタ音大きくなってくる……。やっぱこっち来るよな。よね? ああ、俺の平穏が……、(うるわ)しき平和な日々よ、さらば!


「ゆっきねちゃ~~ん! こんにちは~~、いるでしょ? 開けるね? 入るね~!」


 ノック無用、すさまじく元気な声とともにドアが開き、瑠美(かいじゅう)が現れた! 俺の返事なんか、はなから聞く耳もってないのである。


「瑠美お姉ちゃん……、お願いだからノックしよ? それが無理なら、せめて私の返事聞いてから入ろうよ?」


 この言葉を浴びせかけられているのは、星川さんちの瑠美ちゃん、高校1年生、もうすぐ2年生になる16歳である。

 そして浴びせかけてるのは、北美幸音12歳、自宅警備員、春から中学1年生(予定)の、俺だっ!

 

「え~~~、今日お邪魔するって、『CHAIN』でメッセ入れたし、幸奈さんにも挨拶したし、玄関でもすっごく元気に「お邪魔します!」 って言ったし、今も「入るね~」って言ったし! 瑠美すごくいっぱい挨拶したね、十分すぎじゃない?」


 そう言いながらも瑠美の動きは止まらない。俺はもう諦めの心境で、ためいきを……「っう、にゅあ~」


 抱き着かれ伸し掛かられ……、二人してベッドにイン……、いや、倒れ込んだ。


 この最初の瑠美ウェーブの後、2次瑠美ウェーブで赤目になったことで心配され、ついでにスマホで写真撮られ、さらに3次瑠美としてモールでのスタンガン事件も追及され心配され……、


 俺もう心底疲れ切った。心配してくれるのはいい、ありがたいんですけれどもっ!


 俺もう切れていい? いいよね? 切れる……、



「も~~~! お姉ちゃん、いい加減にしてよ~~!」







「ふ~~ん、なるほどね。綺麗な赤だね、まるでルビーかガーネットかってところだね」


 晃生が色がすっかり変わってしまった俺のペンダントを手にし、眺め見ながら、そうつぶやいた。そう、今日うちに来た本来の目的はこれである。決して瑠美に、いいように(なぶ)られるためにではない、ないったらない!


 そして今度は正面に座ってる俺や、幸奈の顔を見比べながら言葉を続ける。


「見事なまでに石の色、変わってるね。こんなの普通では考えられないな。……考えてもみてよ、一夜明けたら、持ってた宝石がサファイヤからルビーに変わりました!って言ってるのと同じだよ。信じないよね、普通。

 これがもし自分自身が加工したものでなかったら、僕だって信じられたかどうかわからないな」


 俺はその言葉を聞いて、なんとも物悲しい気分になった。幸奈は晃生を軽く睨みつけてて、晃生は肩をすくめてる。また痴話ゲンカ事案きたか!


「幸音ちゃん、そんな(さみ)しそうな顔しないで。――普通はね、信じないだろうけどさ、話しには続きがあるんだ。サファイヤとルビーってね、元の成分は同じものなんだよ? 知ってた?」


「「ええっ、そうなの?」」


 晃生の問いに、幸奈と瑠美が見事にハモった。そんなもんなのかねぇ、ま、元はと言えばみんな石だもんなぁ……。俺には宝石の価値なんかわからんし、興味もないがな!


「そうさ。いいねぇ、二人とも。興味を持ってくれたようでなにより。幸音ちゃん……にはまだ早かったかな?」


 むむ、俺のことはいいんだよ俺のことは! ほっといて。


「……でね、いくら同じ成分だからといっても、何事をするにしたって結果がすべて。材料は同じでも出来上がりが違うなら価値は変わる。ま、物事はそうそう都合よくいかないのが世の常だよね」


 話を聞いてた幸奈と瑠美が、目に見えてがっかりした表情を浮かべてる。お二人さん、そもそもそんな大そうな宝石とか持ってないだろうに……。


「それぞれの違いは石に含まれる不純物の違いなどで現れるわけだけど……、こいつ(・・・)の場合は……、どうなんだろうな?」


 そう言って、俺のペンダントをみんなに見えるよう、手の平に乗せ差し出して見せた。


「それにね、そもそもの疑問として、どうして色が変わってしまったんだろう? 不思議な石だよね」


 晃生のそんな言葉に俺と幸奈は、顔を見合わせ、ついつい戸惑いの表情を浮かべてしまう。ほんと、誤魔化すことが苦手なところとか、そっくりだ。やっぱ兄妹だよな……。


「ふふっ、まあいいよ。謎は謎として置いておくのもまた面白いしね」


 晃生はそう言いつつも、いかにも物問いたげな目でこっちを見てくる。


 

 結局、耐えきれなくなった幸奈が白状した――。


 晃生……ついでに瑠美も一緒に、どうやって石を手に入れたかすべて話した。だから放射線がどうとか騒いでしまったんだとも。

 ……まぁ、それでも色が変わった理由がわからないのは一緒だけど。でもそれって結局、俺や幸奈だって、漠然と思ってるだけで、わかってるわけじゃないんだよな。


 晃生はその話を聞いて、すぐにでも現場を見に行きたがったけど、ほとんど丘のような山とはいえ、裏山はさすがにまだ雪に閉ざされてる。幸奈が必死に説得し、諦めさせていた。



 まぁ、俺的には行きたければ、勝手に行けばいいと思うけどな。


 いや、むしろ行くべきか?

 ぜひ新しい石見つけてくれ!


 

 そしてそれを俺にくれてもいいんだからねっ!


晃生無双……的な

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