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女の子になったけど淡々と暮らしたい──ちょっと不思議もあるかもね──  作者: あやちん


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見せつけられたリアルなあれ!

設定厨ふたたび

 今日で俺のこの先の人生が決まる。


 すまん、大げさすぎた。幸奈に連れられ検査の結果報告を聞きにきた。


「では、検査のデータが届きましたのでそのご報告をさせてもらいます」


 おじさま医師が、PCをいじりながらまじめな顔で説明を始めた。いや、いつもまじめだけど、なんとなく。


「体内をCTで断層撮影されたものを連続で見る加工を行うと、立体物として確認することができます」


 言いながらマウスで画面をぐりぐりすると、それに合わせてなんか不気味な物体が一緒に動く。興味深いけどきもい。まぁ俺の心臓とか太い血管とか諸々なんだけど。で、肝心なものもそこにはあった。


「これです。心臓の斜め後ろ、肺との間にあることがしっかりと確認できます」


 拡大して見せてくれた。俺と幸奈は瞬きもせずにそれに見入った。

 大きさは心臓と比べればかなり小さい。心臓の大きさがわからんけど、おじさま医師の話だとこいつは直径で2cmにも満たないくらいだと。形はアーモンドみたいな形をしてる。


「このような症例は私の知る限りでは聞いたことはないですね。検査をした病院の見解も同様です。腫瘍ではという意見もありましたが、個別で存在している時点で違うでしょう。後から外的要因で入ることはありえない部位ですので、これは元からここに存在していた個別の組織であろうとの見解です」


「は、はぁ……」


 幸奈が戸惑いの中、気の抜けた言葉を返し、その表情は呆然としている。ふむ、元からあった組織ねぇ……。ま、そうなるよな、普通。ぼそっと、――大変興味深い――なんて聞こえたのは俺の気のせいだと思いたい。


「体組織との癒着(ゆちゃく)もあるでしょうし、場所が場所だけに、取り除くことは困難が予想されます」


 なんとも淡々と状態の説明を進めてくれるおじさま医師。……この言い方もうくどいな。先生でいいか。


「姪御さんのことはご心配でしょうが、まだ体も出来上がっていない内での外科手術はおすすめ出来ません。まずは現状維持で様子を見るとして、定期的な検査を行うなどしてはいかがでしょう」


 先生はそう言い切ると幸奈の方を優し気な表情で見つめる。街の病院とは大違いで好感度高い。しかし、体が出来上がっていないって……、俺もう35歳なんですけど。


「そ、そうですか……。と、とりあえず幸音の体のことがはっきりして良かったです。あの、これが、その、体に悪いとか癌になってしまうとか……、心配ないんでしょうか?」


 幸奈ねばるな……。って、いかんいかん。俺のこと心配してくれてるんだ。俺もちゃんと聞かなきゃな。


「それについてはなんとも。先ほども言いましたが症例がない。悪性のものかどうかも判断つきませんし、様子を見る他ないでしょう」


 それを聞いて落ち込みを激しくする幸奈。俺は思わず幸奈の手を取り、ぎゅっと握ってしまった。幸奈が俺の方を見て力なく笑う。うわ~、これ相当キテル。



 この後、なかなか引きさがらない幸奈をなんとかなだめつつ、重い空気のまま、その他のCT検査の結果も見せてもらった。


 わかりきってたこととはいえ、これを見せつけられ……俺はもう完全に理解した。


 俺が女になってしまったってこと……。


 


 お、俺のお腹の中に、し、『子宮』なんてものが、存在していること。



 ま、まじかーーーーーーー。



 おーまいがっ!

 






「ほら幸音、しっかりしなさい」

「う、うん……」


 帰りの車の中、いつのまにやら俺の方が慰められてるんだけど……、すぐ立ち直れる気がしない。


「今更そこまで落ち込むなんてねぇ」

「そ、そんなこと言ったって、あんなの見せられれば……」


 外見が変わった時、いや、あの時以上のインパクトだ――。


「でも幸音、冗談抜きでその体とはまじめに向き合わなきゃダメだからね?」

「え? うん、わかってるよ。ちゃんと姉さんに言われたことやってるし、お風呂だって丁寧に入ってる。めんどくさいけど……」


 ネトゲで夜更かしはしてるけどな。


「はぁ? そんなことは当然でしょ。それだけじゃないから。……言いにくいけど、女の子ならその、あれがそのうち来るんだから」


 珍しく幸奈が言いにくそうにしてるな、はてなんぞ。


「もう、じれったい! 何が言いたいかなんて、さっきの写真見てたらわかるでしょ! 生理よ、生理。女の子なら毎月来るものよ! 幸音の歳なら普通に考えればいつ来たっておかしくないんだから、準備しておかないと!」


 ゆ、幸奈さん? おま、今それ言う?

 歳だって、適当に決めただけだし!


 畳みかけるように襲い掛かってくる事実が、俺のガラスの自尊心(プライド)を確実にぶち壊してくれる。


「わ、わ、わかったけど……、その、私にそんなのほんとに来るかな? なんか、その、全く実感ない……」


 認めたくない、認めたくないでござる。


「何言ってるの。来るに決まってるでしょ! そうね、落ち込んでても仕方ない、うん、行きましょう」

「え、どこへ?」


 は? 幸奈さん? 急にテンションあげてどうしましたの? 俺はもうまじついて行けず呆然とするしかない。


「ドラッグストア。いるでしょ、色々。いつ来てもいいように早い目に準備しておかないと。う~ん、出先で困らないようにもしておかなきゃね。可愛らしいポーチとか買っちゃおか?」


 ダメだ、幸奈がとまらない。さっきまでの落ち込みが嘘のようだ。俺もおちおち、落ち込んでもいられないわ。

 

 そうだな。体の中に出来てたやつとかも気になるけど、どうせ考えたってわかるものでもないしな! 幸奈もきっとそうなんだろ。


 うん、面倒は後回し! ここは幸奈に乗せられて気分転換といきますか。



「しょうがないな~、どうせ私じゃなにもわかんないし……」


 生理用品なんてわかってたまるか。



「もう、姉さんにまかせたから。よろしくお願いします!」


たぶん3Dぐりぐりは普通は無理かもw

腫瘍うんちくはフィクションです!

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