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女の子になったけど淡々と暮らしたい──ちょっと不思議もあるかもね──  作者: あやちん


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幸音のくせに街へ行く

 早いものでもう12月も(なか)ば。

 俺がこんな姿になってから2ヶ月近く経つ。あの話のあと、二人で現場を見に行ったら落ち葉と風雨ですでにわけわからん状態になってた。姉さんも表面上は変わってないように見える。


 もう雪の季節だ。何もかもみんな……覆い隠してくれればいいのにな――。


 師走っていうくらいのもので、幸奈先生(・・)はさすがに休み続けるわけにもいかず、今はしぶしぶ学校へと出勤してる。ここは可愛い姪がお姉ちゃんがんばれと言っておこう。

 ま、それはともかく、ここ最近は落ち着いて自分の趣味に没頭できる時間ができてうれしい!

 週末には買い物という苦行が控えている、それまでに英気を養わねば。うん、ネトゲしよ!


 ビバ自堕落生活!




「よし、こんなところでいいでしょう!」


 気合い入った言葉をはいているのはわが姉、幸奈である。もうさすがに慣れたな、姉呼び……。

 せっかく出かけるのだからと俺の長い髪をやたらこねくりまわしてた。俺からすればヘアスタイルなんていつもしてるポニテでいいんじゃねってなるのだが、ダメらしい。


「ほらどう? かわいいでしょ! 幸音も女の子なんだし、素材なんてもう最高なんだからもっとオシャレに気を使いなさいよ」


 髪をいじられながらも、スマホゲーに(いそ)しんでた俺の頭をむんずとつかみ、むりくりドレッサーへと顔を向けられた。その瞬間、自キャラの負けが確定した。あああ……、どんだけ苦労したと! っていうか筋違えたらどうするおつもりっ?

 ちなみにドレッサーなどというものは俺の部屋にあるわけないのでここは姉部屋である。俺の部屋にも置くって息巻いてたな……。そんな愚行に走ってもノーパソ置き場となること確定な。


「お~~~、これがお、私……」


 あぶね、俺っていいそうになった。それくらい驚いた。ずっとこねくりまわしてたからどんな凝ったヘアスタイルかと思いきや……、さらっさらだ。


「いいでしょ? 迷ったけどやっぱりきれいで素直な銀髪だし、ストレートにすっと下してみたの。でもそれだけだとさみしいからサイドから緩く編み込んで後ろで可愛くリボンでまとめた感じね」


 手に鏡をかかげ、頭の後ろが見えるようにしてくれる。至れり尽くせりで感謝。しかし、俺の頭にリボンって――、くるわ。

 でもやばいわこれ。俺可愛すぎ。さらさらの銀髪が光の反射できらきらしてるし、編み込みとリボンのコラボもぱねぇっす!


「あ、ありがと姉さん、ちょっとびっくりした……」

「どういたしまして。磨けばより一層光るってわかったでしょ! どう? ちょっとはおしゃれにも気を使おうって気になった?」


 満足げな表情で俺にそんなことを言ってくる。が、俺の答えは変わらん!


「むむぅ。無理、めんどくさい……」


 速攻否定一択な。

 正直感動した。けど――、引き籠りに可愛さなど……い、いらないのだ!


 この後、着ていく服でさらに小一時間かけた結果がこれだ!


 寒いのでウールのPコート着用。で、上から順に、頭にふわもこファーベレー帽。コートの下にはフリルワンピースで、襟元には細めのリボンタイがついててこれがまた可愛い。足元はひざ下ソックスにボア付きのショートブーツな。それにしてもだ、やべえよベレー帽。ストレートロングに凶悪タッグすぎワロタ! もう(さら)われる心配必要になるレベルじゃね? 俺やばい。


 おお、俺としたことが興奮した。なわけで、ようやく出発と相成った。


 小雪が舞いだした中、姉さんのフィアットで走ること30分。街中にあるこじんまりとした宝飾店にまずは到着した。姉さんは何度か利用したことがあるなじみのお店らしい。店の奥から親し気な様子で男の人が出てきた。


「この子がお守りとして大事に持ってる天然石なんだけど、ペンダントに仕上げてあげて欲しいんだけどお願いできる?」


 姉さんが俺の頭を軽くポンっとたたきながら説明した。びっくりして思わず目を閉じてしまった。


 姉さんを睨みつけつつ、店主だろう人にお守り袋から出した石を手渡す。俺を見て驚いた表情を浮かべながらも、やさしい手つきでそっと受け取ってくれた。


「へぇ、なかなかの大きさだね。一見サファイアやブルートパーズのような色合いに見えるけど、表面の透明度はかなりのものだね。天然石ねぇ、興味深いなぁ……」


「ウンチクはいいの。できれば今日中にお願いしたいんだけど、出来る?」


 姉はかなり強引というか強気な交渉してる。なんだろ? かなり親しそう。まだ若い男の人だし友達なのかな? まぁいいけど。


「はは、北美さんにはかなわないなぁ……。わかりました、加工は賜りましたので少々お時間をいただけますか?」

「もちろん今日中ってことよね?」

 

 強気の表情で念を押す、姉さん。つうか幸奈つえぇ……。

 店主のお兄さん、苦笑いしながら肩すくめてる。こりゃ負けたな。


 ということで、俺の大事な青い石はペンダントトップに加工し、そのままペンダントに仕上げてもらうことになった。ほんとは人に預けるのいやだけど……、まぁ姉さんの知り合いみたいだし特別に許す!

 

 それよりもだ、この先の買い物のことを思うと憂鬱(ゆううつ)で仕方ない。いや嫌な予感しかしないわ!

 

お買い物は次になった!

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