テラビシアにかける橋 Bridge to Terabithia 空想の王国で少女は女王、そして僕は王だった。ジュブナイル小説 キャサリン・パターソン原作 マイブックレビュー
テラビシアに架ける橋
これはアメリカのキャサリン・パターソンのジュブナイル小説である。
作者は自分の子供を事故で亡くしていてさらに自身もガンだったという
そんな中で書かれれたのがこのジュブナイル小説なのです。
だからなのか?この小説の全編に死の影が濃厚にただよいつつ
彩られています。
それでは、、、簡単なあらすじから
バージニア州の田舎町に棲むジェスはたぶん11歳くらい?の少年です。
4人の姉妹に囲まれています。男はジェスだけです。、
父は姉妹ばかり愛しています。母親は家事で手一杯。
年上の姉たちはジェスには無関心だし、。
ジェスは孤独なのです。
そんなジェスの唯一の楽しみが空想の世界をスケッチブックに描くこと、
学校での存在感も薄い少年です。
妹のメイベル9歳がかまってもらいたくって唯一、兄に付きまとってきますがうっとうしいだけです、
学校では女子グループのボスのジャニスが仕切っていますが何も言えません。
さてそんなある日
隣の空き家に作家夫婦と娘のレスリーが引っ越してきます。
レスリーは金髪で利発そうなキュートな娘でジェスのクラスに転校してくる。、
だがレスリーはすごい空想癖がありこの学校では浮いてしまうのですね。
やがて
浮いてしまった同士で意気投合し、二人は家の裏に広がる広大な森を
テラビシアと名付けてそこで空想の王国をつくるのです。
その森には古いツリーハウスが残されていた、それを王宮に見立ててレスリーは空想の王国を作り出してゆくのだった。
そこは小さな川をロープで飛び越えた先にあった、
二人は放課後そこに行って自由な空想の翼を広げるのだった、
リスが来るとそれはドワーフ(森の妖怪)に見立てて戦い
巨木の影はタイタン(巨人)に見立てて逃げ惑い、
二人はいじめられっ子の現実を空想の王国テラビシアで忘れるのでした。
空想少女のレスリーは様々な空想をこの森に描き出しジェスをリードする。
ジェスはその空想を次第に本物と信じるようになるのだった。
そしてそんなレスリーは、ジェスにとって具体的に意識はしてなくても、ほのかな初恋の
少女となってゆくのだった。
二人はこの空想の王国、テラビシアで王と女王として君臨するのだった、
そんなある日
ジェスが美術の先生に誘われて大都市の美術館にゆくことになる。
だが美術館から帰宅したジェスは思いがけない知らせを受けることになる。
レスリーが川で溺れて死んだというのだ、
実はその日大雨が降ってあの小川が増水していてロープで一人飛び越え
テラビシアに行こうとしていたレスリーが
誤って川に落ち溺死してしまったのだという。
ジェスはただただ茫然自失するばかり、自分を責め続けるのです。
あの日レスリーも誘って美術館にいってれば、、、こんなことにはならなかったのに
ジェスはどうしようもなくって学校でも、荒れるばかりです。
そうしてレスリーの居ない今、テラビシアにも行く気にもなれませんでした。
しばらくしたある日思い切ってジェスはテラビシアに向かいます。
気が付くと妹のメイベルが後を追ってきていたのです。
ジェスは怒りメイベルを追い返してしまうのです。
行ってみると、かっての空想の王宮だったところは
そこはすっかり荒れ果てていました。
かって空想を描いたとき、つかったレスリーの絵具を川に流していた時父親が来ます。
父は
「ここを大事にしなさい。そうすればレスリーは永遠に生き続けるから」というのでした。
翌日ジェスは思い出のレスリーの絵を川に流します。
見るとレスリーの父母が引っ越してゆくのです、
彼らはジェスに
「レスリーを思い出すからこの家にはもう住みたくない、この空き家の木材は君が自由に使っていいよ」と言いのこして去って行きました。
ジェスはその木材を使って新しく、ロープに変わって立派なテラビシアの橋を自作するのでした。
橋が完成した時ジェスは橋の欄干を花で飾り付けて
ジェスは今まで邪険にしていた妹のメイベルを「お姫様にしてあげるよ」といってその橋を渡らせてあげるのだった。
そして妹にレスリーと空想したテラビシアの王国の風景を熱心に紹介するのだった。
すると、妹の目にはまざまざとその空想の光景が浮かび上がってくるのだ。
こうして妹は新しいお姫様としてテラビシアに迎え入れられるのだった。
おしまい。
マイブックレビュー
ところで主人公(準主人公)のレスリーが死んでしまうことからこの小説は内容を問題視されることも多いという。
さてこういう空想の王国っていうのは少年時には誰でも一度くらいは作るものです。
私自身も少年時代すごいいなかで育ちましたから家の裏はすぐ雑木林がうっそうと続いていまして、
その雑木林の中に秘密基地を作って宝物(ビー玉やめんこなど)を隠した経験があります、
秘密基地は雑木の枝で窪地に囲いを作り屋根を作り小屋風にしたものでした、
近くの松の木の樹上には太い枝を組んで見晴台も作りました。
おもいだすと懐かしさに涙があふれそうなりますよ。
もう永遠に戻らない我が少年時代の輝き、、、。
そんな経験を持つ私ですからこの「テラビシアにかける橋」も
すごい共感で読めるのでしょうね。
でも残念なことは
わたしにはレスリーのような金髪でキュートなお姫様はいなかったと言う事実です。
この小説実は二度映画化されています。
初作はあまり面白みがないのですが2作目は傑作です。
このレスリー役がとってもキュートで金髪でこんな子がわたしの少年時代の秘密基地にいてくれたらもう最高だったでしょうね。
この2作目の映画についても紹介しておきます。
「テラビシアに架ける橋」bridge to terabithia 2007年製作 日本公開2008年
レスリー役はアナソフィア・ロブです。
機械があったら是非この映画もご覧くださいませ。
付記(注意事項)
あくまでも、私の記憶のみで書いていますので、記憶違いで、細部は原作と違うこともあるかもしれません。
その際はお許しください。
あるいはもっと言ってしまうと、、、、、
私が勝手に原作を膨らませて、無意識に私好みに書き換えている?可能性も否定できません。
そういう可能性があることをあらかじめお含み置かれてお読みいただければ幸いです。