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プロローグ

 誰もが一度は想像し、夢見たことがあるだろう。サッカー選手になりたい、アイドルと結婚したい、有名企業の社長になりたいなどなど……


 そんなもの簡単になれるわけない。

 この世に夢を叶えられた人間など何人いることか。

 きっと前世で徳川家に貸しを作るかナポレオンに辞書を買ってあげるかレベルの徳を積んだ者にしかなれないのだ。


 哀しい話だが我々、人類は常に夢に背を向けた選択をすることで成長してきたのだ。

 冒険よりも安定、三連単よりも複勝、新発売より既存の有名商品ーー

 たった一度しかない人生をつまらない方向へと社会が扇動しているーー

 こんな腐った人生でいいのかよ!

 国に定められたレールを走るだけでいいのかよお前ら!

 おれはそんなのごめんだね!

 自分自身で、俺の力で、俺だけの人生を鮮やかに彩るんだ!

 他の誰にも邪魔はさせない!

 おれには時間がないんだ!

 昨日までの俺よ!さらばだ!

 ここから、俺の人生は今まさにここから始まるーー


 彼は決意を胸に歩き始めた。

 一歩、一歩踏み出す彼の足取りは軽いが、表情はかなり険しい。

 履いているジーンズの前のポケットに鍵を入れ、右手にはスマホと財布を重ねて歩く。

 その歩く姿はまさに戦国時代を生きた武将と重なるところがある。



 そこはコンクリートで黒く塗り固められた広い世界。

 その中心にそびえ立つ派手な装飾の異様な建物の前に彼もまた心踊らされていた。


 今日こそやってやる……

 おれは!今日こそ勝って、おかねもちになるんだ!!!


 コンクリートの大地の端にある広告塔の頂点にいる招き猫に一礼をして建物の中に彼は一歩足を踏み入れた。

 その一歩が楽園ではなく、地獄だということも知らずに……


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