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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

視線が交わる度に君と

作者: 葉留カルハ


俺は東堂 つかさ 17歳、男子高校生。

ごく普通の高校に通う、普通の人間だ。


俺には好きな人がいる。そいつは男らしくて、王子様みたいな顔をしてて、くしゃっと笑う。


俺はあいつの表情が好きで、授業中のふとした時間に、校舎を移動中のその瞬間に、いつもあいつを探しては目で追いかけてる。



そういや、最近悩んでることがある。

あいつと、中島 優と良く目が合いすぎることだ。


(あ、、、優だ、、今日もクソかっこかわいいな)


同性愛の、ホモの恋愛なんて叶うわけ無い。だから片想いでもいい。


俺にとっては贅沢すぎると思う。いま、お前を見ていて胸が苦しくなる瞬間でさえ愛おしい。


短く切り揃えられた後ろ姿の、キリッとした瞳の、朗らかに笑う口元の、聴けば苦しくなる低い声も、あいつの全てが愛おしい。


「この例題では、ここにxを代入して」


(あー、今日もだるいな、、、)


数学の授業中、レベル毎に別れるけど偶然にもあいつとクラスが一緒だった。


すげぇ幸せ。あいつの後ろ姿をぼーっと眺めているだけで幸せになれる。


(優、大好きだ。俺と付き合って・・・)


心の中で呟くだけなら自由だ。誰を好きかなんて言わなければ誰にも迷惑をかけない。


誰かに茶化されることだって無い。幸せだ。これでいい。


学校中でいちゃついてるカップルのようには慣れなくても、両想いでお互いに幸せな日々を過ごせなくても。


(・・・あ、いま目があった)


バチッと効果音が流れた。

恥ずかしくて、すぐ目をそらしてしまう。

あいつに恋心がバレると、厄介だ。


本当は気づいて欲しいと思ってるけど、そんな勇気あるわけなかった。


最近、良く目が合う気がする。


両想いだったらいいな。なんて妄想する。あるわけ無いのに。


虚しいな。俺。






学校が終わって帰路に着く。お風呂に入り飯を食べて、自室のベッドで息をつく。


薄暗く灯りをつけて、ぼうっと天井を見上げる。1人の時間に考えてることはあいつのことばかりだ。


優。優と付き合えたら、なんて。

俺が告白して、優が彼氏になって、デートして、エロいことしまくって、そんなありきたりな願いなハズなのに世間は受け入れてくれない。


たまに、なんで俺はゲイなんだと迷う事がある。


妄想くらい個人の好きにさせて欲しい。俺はこんな事が現実に起こるはずがないと思いつつも夜な夜な優との妄想をする。


普段は王子様フェイスのあいつが、俺に甘えてきて、俺は優しく頭を撫でてやる。


あいつが目をゆっくりと閉じるから、俺はキスしてやる。


そんな、普通の高校生男子の願い。


勿論、エロいことだって考える。SEXだってしたい。けど、両想いじゃないとイマイチ盛り上がれなくて、両想いになるはずないって思う。


悲しくて苦しくて胸が押しつぶされそうになる。


(優、好きだよ)


気がつくと、朝だった。




学校に到着して暫く歩いてると、ふと誰かに見られてる気がして、後ろを振り返る。


そこには、優がいた。


優がいたらいいなぁなんて想像してたけれど、実際に本人を目の前にするとやはりびっくりする。


すごいラッキーだな俺。


今日はついてる。神様が両想いはダメだからその分片想いを楽しめと言ってくれてるみたいだ。


「東堂、おはよ」

「おはよ」


どもってないかな。突然挨拶されてびびった。俺と優はそんなに仲良くないから。


俺は誰とでもダチになれるタイプだけど、好きな人だとどもって喋れなくなる。

だから優とは疎遠にしていた。


(優、超かわいい)


「なぁ、お前、今日空いてる?」

「え?」


俺は目をまあるくした。だって、夢みたいな事が起きてるから。驚いて、何度もぱちくりと瞬きを繰り返した。


あー、嘘じゃないかな。

ほんとかな。


俺は握りこぶしをぎゅーっと締めて、痛みを実感した。現実世界だった。






「待たせたな」

「いや、全然」


優が放課後話しかけてきた。取り敢えず軽く飯でも食いに行くことになった。


近所のファミレスに向かう。


俺は緊張で手汗が止まらなかった。夢のようだった。


本当は夢の中の出来事で、本当の俺は事故にでもあって植物状態なんてオチだったらどうしようかと思った。


俺は緊張で喋れなくなったので、優が適当な話題を振ってくれた。





ファミレスに着いて、ドリンクバー2つと、ハンバーグ2つを注文した。


優はジュースを口に含み、落ち着くと、話し始めた。


「突然で悪いけど、俺好きな奴いるんだ」

「へ、へぇ?そうなんだ?うちのクラス?」


俺は、告白されたらいいなーなんて淡い期待を抱いていたけれど、そんなハズもなかった。


やっぱりそうか、幼馴染のまゆみとか、部活が一緒のあの子とか、接点を作ってくれとか紹介してくれとか言うんだろうな。


俺は、心がボロボロになって半泣き状態だった。胸が破裂しそうだ。


少しでも期待をした俺が馬鹿だった。


「つかさ」

「ん?」


俺が前を向くと、優が真剣に覗き込んできた。


「俺が好きな奴って、授業中良く目が合う奴なんだけど」

「え?、、、俺の隣の席の女子?」


俺とも良く目が合うよななんて思いつつ一番ありそうな回答をした。


「いや、違う人」

「じゃあ、前の席の女子?」


慎重に答えたら、優は不機嫌そうだった。


「お前、もうわかってんじゃん」

「え?」


心臓がうるさい。


「お前だよ」

「え?」


俺は信じられなくて、必死に優に尋ねた、優は呆れながら、俺のYシャツを手繰り寄せて、引っ張った。


そして、、、、柔らかい唇が俺に触れた。

夢にまで見た光景。目前に広がる奇跡に、涙腺が潤んだ。



あぁ、幸せだ。夢なら覚めないでくれ。



と思ったら夢だった。


やっぱりそうだ、ゲイだし。優はきっとノンケだ。


と思ってたら、知らない天井で、優が隣に座っていた。


王子様フェイスを浮かべて、怪しく笑っている。


「つかさ、気絶してたよw俺の家まで運んだけど、近くだったから」

「あ、ありがとう」


良かった。夢じゃなくて本当に良かった。





「つかさ、服、汚れちゃってる」

「ファミレスで汚したかも」


優がこっちをすごく楽しそうに見つめてきて、ついでに悪魔的な笑みを携えてた。


「つかさ、俺お前が好き」


Yシャツを掴まれ、耳元で低い甘い声で囁かれる。


俺は恥ずかしい気持ちでいっぱいになって、赤面する。涙目になってじわっとした。


「つかさは?」


優が自信満々にこっちを見てくる。

嘘、100%気持ちを隠したつもりだったのにバレてたのかよ。なんて心で思うけど後の祭り。


「優のことがずっと好きだった」


照れる。やばい。言うつもりなかったのに、こんな言葉。ずっと、言いたかったから、それだけで胸が苦しい。


「つかさ、おいで?」


優が俺を包み込む。好きな男とハグするの初めてだななんて思う。少しゴツゴツしてて、肩幅があって、胸板が安心する。


体温を近くで感じて、胸がキュンとした。



「つかさ、俺我慢できない」


そのままなし崩し的に押し倒される。優のベットの上。優の匂いが充満してる。


「お楽しみはこれからだよ」




夢みたいな出来事に、俺は再び気絶しそうになった。



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