41話 初めての露店巡り
「ただいま~~」
現在朝の6時
こんな朝早くにハイテンションで家に帰ってきたのは
正月の為一時日本に帰国した僕の母親だ
「お母さんおかえり」
その後少し遅れて起きてきた父と母が話をしてる間に
僕が朝ごはんの準備をしておく
今日の朝ごはんは外国から帰って来た母の為に和食にしよう
白いご飯に長ネギと豆腐の味噌汁、ジャケの切り身を買ってあったからそれを焼いてっと・・
そうだ・・・冷凍しておいたいくらの醤油漬けも昨日から解凍してたんだっけ・・・それも出しておこう
後は・・・自家製のキュウリとナスのぬか漬けもそろそろ食べごろだったはず・・あっアボガドもぬか漬けにしてたんだった、一緒に出しておこう
そうして、久しぶり家族三人で朝ごはんを食べた後
僕は正月のおせちの材料を買うため(現在12月29日)駅の隣にある大型商業施設に買い物をしに行って
う~ん、やっぱり正月だけあってどれも高いや
これは少し足を延ばして市場でも行ってみるか
普段は月に一回市場の開放をしているんだけど、年末3日間にも開放してたはず
ここでは市場で買えそうにないものだけ買って
家に帰ると父が昼ごはんを作っていてくれたので食べて
(実は母はまるっきし料理ができない、外国でもタブン全部外食だったはずだ)
少し母としゃべってからゲームにログインした
昨日は[沈黙のヒツジ亭]前でログアウトしたので
今日は何しようか考えながらギルドをのぞく為、噴水広場に行ってみると
あれ?
あれは早速露店を出している人がいる
あれは、ブラックさんだもう鉄製の武器を出してる
他にはあれはいろんな(無駄に)煌びやかの洋服が飾ってある・・売っているのはあのラメが入った無駄にフリルが付いたドレスのような服を着たちょっとガタイのいいドピンクの髪の男性だ
あっ・・向こうもこっちに気がついて投げキッスしてきた
あの人は無視してまずはブラックさんに挨拶を
「ブラックさん昨日はどうも」
そう言うと向こうも
「おぅ、レンか昨日はこっちも助かったぜ、おかげでやっと鍛冶師らしいことができた」
「この武器が昨日手に入れた鉄で作った武器ですか」
「おおよ」
見ると店頭にはいろんな武器が並んでいる
「売れてます?」
「おぅ、念願の鉄製武器だからな、まぁ半分はコスプレ用に買って行ってるんだろうけどな・・・」
そう、このゲームは基本プレイヤーは戦わない、ほとんどは後ろでモンスターに指示したり魔法で援護するのが普通だ
無理に鉄製の武器を買ったって前に出てモンスターと戦うプレイヤーは少ないはず
特にブラックさんの露店には武器しか置いてないので尚更だ
「ブラックさんは防具は作らないんですか?」
そう聞くと
「あーー、やっぱ防具は無駄に色々作るより注文を受けてその人に合わせて作ったほうがいいかと思ってな」
なるほど、このゲームは防具も・・・確かに防御力が上がって死ぬ確率は下がるけど
それよりこのゲームのプレイヤーは見た目の為に防具を買う人も少なくはない・・と言うか多い
変に無骨な鉄の鎧を作ってもまったく売れないそうだ
「ちなみに早速ホムラに首からかける太いチェーンを頼まれたぞ」
なるほど
そんな話をしてると(今までわざと無視していた)近くの露店の男?の人が話しかけてきた
「あらやだ、あなた噂のショタ君でしょ、そんな禿親父のところなんか見てないでこっちを見て行って頂戴」
「やっと、ブラックさんとは昨日一緒に狩りした仲なので」
「あらそうなの?ごめんね、でもそんなごつい親父とじゃなくて私のような美しい人と狩したほうがいいんじゃなーい?」
余計なお世話だ
というか・・・少し筋肉質の体型に無理やりドピンクのフリルドレスを合わせたかなりおかしいセンス
髪型もドギツイピンク色の髪をふわふわではなくぼさぼさにまとめている・・・どこが美しいんだか
「えっと・・じゃあ僕はここで・・」
と離れようとすると
「ちょっとまった~~そんなことよりショタ君私の店も見て行ってよ~~」
そう言われてしょうがなく見て見るが・・
一応服装系の店なんだろうけど・・・
うわっ、近くで見てみるとかなりどぎつい色彩の洋服?が並んでいる
「どう?この服なんて似合うかも」
そう差し出された服は・・・自分が着ているのと同じ超ドピンクのヒラヒラ衣装
「えーっと・・・今この服が気に入っているのでご遠慮します」
「えーー、その服も似合っているけど、こっちも似合うって」
そう言って強引に服を押し付けてくるが
あーーー、周りの女性の視線もきつくなって来てる
「おい、いいかげんにしろ・・・そして落ち着いて周りを見てみろ」
「なによ~~いいとこなのに~~~」
見かねたブラックさんに止められ、この男性?がしぶしぶ周りを見渡し
そして・・・周り(特に女性達)の視線に気がついて
「あらやだ~~しょ・・ショタ君ごめんね~~ちょっと噂のショタ君を実際に見たもんで興奮しすぎちゃったわ~~」
冷や汗を流しながら離れてくれた
この隙にこの人の露店から離れることができた
このあとこのうわさが広まって・・・・この人の露店に行く人がいなくなり
この男性?も密かにキャラを作り直すことになったらしい・・・・
ブラックさんや周りの人にお礼を言って他の露店が無いか探して見ると
おっ、ここは露店の王道?食べ物の店だった
まだ満腹度、空腹度は実装されてないけど
昨日食べた羊のローストといい、この世界の食べ物もかなり美味しかった
そんなことを思いながら覗いて見ると
売ってるのは牛肉や豚肉、鶏肉などを鉄板で焼いて醤油ベースのソースをかけた焼肉のようだ
匂いからして美味しそうだ
「おっ、ショタ君かよかったら食べていかないか」
そう言ってくれたのは、銀色の羽織を来た白髪をオールバックにした男性だ
「おいくらですか?」
「牛が500G 豚が350G 鳥は200Gだよ」
流石に牛は高い
でもそれなりのボリュームはありそうなので
「じゃあ、牛でお願いします」
「あいよっ!!」
そう言うとすぐに薄い木で作られた使い捨ての容器(たこ焼きの船皿みたいなの)
にもやしとたまねぎを炒めたものを入れて
コレでもかというくらい厚めにスライスした焼肉を乗せてソースをかけてくれた
お金を払い食べてみると
「あちちっ、でも美味しいです」
「だろっ、ここはゲームだからどんだけ食べても太らないからどんどん食べてくれよな」
ちなみに現在このゲームには空腹度が無いためおなかは減らないが
ある程度食べるとお腹が一杯に感じ食べられなくなるらしい
下にひいてあるもやしも肉の油と少し甘辛くした醤油タレがよく絡み美味しかった
「ふぅ~~美味しかったです」
満足そうに店の人に伝えると
「おぅ、それはよかった、けどな、こうやって露店を開けるのも全部ショタ君のおかげなんだぜ」
「え?ぼくがなにをしたんですか?」
そうやって不思議がっていると
「まずは、調味料の発見・・・初めて東の村にたどり着いてこのソースの元となった調味料をウニの野郎に渡してくれた」
あーー
「えっと、と言うかやっぱりあなたもウニさんの知り合いでしたか」
今更だけど、この人の服装は・・正に松葉ウニさんの服装の色違いだった
「おぅ、まだ自己紹介してなかったな、俺は[天]特に鉄板焼きを得意としてる料理人だ」
なるほど
話によると他にも松葉ウニさんは海鮮の網焼きを得意としていて
もう一人串焼きを得意とする[テツ]さんと言う人がいるらしい
同じ格好をしているから見ればすぐにわかるらしい
「話を戻すが、二つ目は露店機能の開放だ」
「露店機能って、あれは全ての村を開放したから開放されたんで、僕一人の所為ではないですよ」
「けど、ショタ君は東と北、二箇所の開放に立ち会ったんじゃないか」
「そうですけど・・・」
「そして三つ目はこの鉄板焼きの[天]にとって最も重要な道具・・・」
そう言って、天さんは自分の手元にある畳み半畳ほどある巨大な鉄板を見て
「この鉄板の材料は、昨日ブラックの旦那と一緒に採掘したらしいじゃないか」
あーーーーーーーーー
確かによく見ると、天さんが使っている巨大な鉄板は鉄で作られている
鉄はまだほとんど出回ってなくこんな鉄板を作れるのはブラックさんしかいない
チラッとブラックさんのほうを見ると
「がははははっ、昨日手に入れた鉄の三分の一を使った特製の鉄板だ・・・ちょっと巨大すぎたか?」
と大笑いしている
「いやいや十分だ、厚さといい大きさといいなかなか使いやすいよ」
この鉄板一つで昨日のあの鉄鉱石100個分か・・・
確か鉄鉱石からインゴットを作るのに3個必要で、そのインゴット一つでナイフや槍(の刃先)が作れる
普通の片手剣を作るのにインゴットは3つ、両手剣を作るのに7個だったかな?
そう考えると・・あの鉄板一つ作るのに少なくてもインゴット33個は使っているという計算になる
それを考えると昨日拾った鉄鉱石なんてあっという間になくなる・・
まぁ・・・そんな話は置いておいて
「そういえば、今東のボスの討伐数ってドン位いったんでしたっけ?」
「おぅ、ウルフリーダーは今確か討伐200は越えたはず」
おっだいぶ倒されている
「けどなー、今やっとこの町の八百屋さんが開店したんだがまだ種類が少なくてな」
まだ討伐が足りないのか・・・それとも
「やっぱ、周りのボス達を倒さないと、食材の種類は増えないんですかね?」
と、不意にもらしいしまった
「「「え?」」」
周りが一斉に反応をする
「ショタ君・・・その話を詳しく・・・」
天さんに詰め寄られたので
「あっ・・えーっと、ウルフリーダーを倒すと村にいけるじゃないですか」
「ああ」
「けど、そこを村に行かないで北の方に行くと果樹園があってその端が村の結界から外れてしまってキラービーが巣をつくり、[クインビー]と言うボスが出現してしまったらしいんです」
「そんな話があったんだ・・・」
「そして・・村の南の方に行くと田んぼがあって穀物や豆などを栽培しているらしいんですが・・・」
「おぅ、南は穀物って言うと麦や米か」
「やっぱり、結界か外れたところにマッドが大量発生してしまって[マドマッド]と言うボスが出現したとか・・」
「おぅ!!」
「もしかしたら、村を通って塔に向かう北側に牧場があったはず」
「確かに村の先は牧場があったな」
「その先にも何かボスがいるのかも?」
「おいっ、まだ倒されて無いボスが一杯いるじゃないかよ」
「そのぼすをたおせば、もしかしたら町に流通する食材の種類が増えるかも?」
それを聞いた天さんは
「可能性はあるな」
そして
「東だけで、それだけのボスがいるんですから・・・他の村の周りにもまだ倒されて無いボスが一杯いるかも」
それを言うと周りが
「それほんとかよ」
「そういえば、西の森のどこかで看板が建ってる場所があったかも」
「ほんとか?」
「あぁ、確か[暴れクマ注意]とか書かれてた」
「またクマかい」
「南は巨大カエル出現するとか聞いたような・・・もちろん出現場所前には看板が」
「まじかい、じゃあそのボス倒すとまた何かあるとか?」
やっぱ、他の場所にもボスが出現するらしい
「そんな話を聞いたら、露店なんてやってる場合じゃねーな・・・未知の食材が俺を待ってる」
未知って・・・
「えっと果物と穀物なんですが・・・」
「わっははっ、そんなこと気にするな」
と言いながら、あっ店が消えた
「露店って・・そんな感じですぐに仕舞えるんですね」
「おう、露店も生産キットなんかと同じような感じでアイテム欄から出せばすぐに設置できるぞ、それよりショタ君、今暇か?」
え?
「確かに今用事はないですが」
「だったら、言い出しぺだ東のボス退治付き合ってもらっていいか?」
ん~~、確かに他のボスの強さや倒すとどうなるか気になるし
「いいですよ、二人で行くんですか?」
「おうよ」
天さんがそう言うと
「えっと・・よかったら私も連れて行ってもらっていいですか?」
そこにいたのは
茶色というか・・・チョコレート色のコックコートを来た女性
「おぅ、ショコラちゃんか、ショタ君紹介する、彼女はあのブランさんと同じく女性料理人の一人で、このゲームでバティシエ(お菓子職人)を目指してる子だ」
お菓子職人か・・じゃあ、果樹園とかは気になるはずだ
「じゃあ目的は果樹園ですか?」
「あー、出来れば両方行きたいとこだがな」
「私も、牧場の話も気になってて」
これはボス連戦の予感が・・
「お菓子作りだと果物もだけど・・小麦粉やミルク・・卵とかも必要だからそれを考えると・・・」
なるほど・・・僕も趣味でお菓子作ったりするけど、確かにフルーツだけじゃなく他の材料も必要かも・・・




