36話 もふもふ
やっと、もふもふ回です
もふもふ
もふもふもふ
もふもふもふもふ
そんな僕は今何をやっているかと言うと・・・
北フィールドのセイフティーエリアの外れで・・・
ゆったりと横たわっているふんわりとしたシープに背中を預け
右手にはシッカリとしていながらも柔らかい毛並みのゴート
左手には短いながらもサラッとして滑らかな手ごたえの毛並みのモール
そして、僕の手元には何かきりっとした目つきのコケッコーが気持ちよさそうに僕の膝の上に座っている
(普通のコケッコーはまん丸のちょっととぼけたような目をしてる)
ゴートの上にアルバトロスが止まりながら僕の頬にスリスリと体を摺り寄せてくる
いわゆるモンスター達ともふもふを楽しんでいる
しかも、今モフモフしているモンスターはいつものパール達ではなく
まったく違うモンスター達
このモンスター達は、もちろん僕が捕まえたわけではなく
僕は今、偶然に見つけたとあるプレイヤーイベントに参加させてもらっている
[第一回 モフラーサミット]
と言う名前らしいが
要するに、もふらーの!もふらーによる!!もふらーの為の!!!イベント
自分のご自慢のもふもふを公開し、他の人ももふもふなどと触れ合い、そして、同じ趣味を持つもふらー達との交流を楽しむという
そんなイベントらしい
そして今はそんなイベントの中のメインイベント[もふもふ交換会]と言うのに参加している
と言うことで、今日はパール達も他のもふらーさん達と触れ合っているはず
このイベントは元々
最初は提示板で集まった人達50人ほど集まり自慢のもふもふ達とモフモフしてたところ
どんどん人が増えていき、今では北のセイフティーエリアから溢れるくらいの規模に膨れ上がってしまった
(セイフティーエリア自体の大きさは一周100mほどの広さがある)
現在は何人いるかは分からないし、どのパートナーが誰のパートナーなのかもわからない混沌状態になってる
僕はなぜそんなイベントに参加しているかというと
遡る事数時間前
朝、目が覚めた僕は、今日が仕事納めと言う父を見送り、明日は外国に転勤している母が帰ってくると言う事なので母の部屋を掃除して布団を干して、いつ母が帰ってきてもいいよう準備をした後
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昨日やり忘れてたアイテム整理などをするため
モンスター素材はアヤメさんの無人買取に入れて
肉などの食材はブランさんと松葉ウニさんの無人買取で買い取ってもらって
後は、商人ギルドとテイマーギルドの納品クエ出てきそうな物をやって
それでも残ったアイテムは倉庫に入れておく
今日の目的は
まだ唯一開放されてない北の村
そこで取れるであろう[捕獲石]の材料になる[硬い石]と[魔力石]
東の村の北にある滝でも取れるが流石に限界があるし
北の村の方に行けばもっと品質がいいのがあるかもしれない
その為にはいまだ倒されていない唯一のエリアボスである[ジャイアントモール]を倒さなくてはいけない
流石に一人ではきついが、タブン向こうに行けば臨時PTの募集があると思うのでそれに入れてもらえれば何とかなるはず
そう考え、昨日消費した回復薬などを補充して
いざ戦場へ・・・・
全ての塔を解放するまでに少しでも性能のいい捕獲石を大量に作らないといくら作っても足らなくなるはず!!
そんな想いを胸に北の門をくぐった・・・のだが
北のセイフティーエリアに着いた僕が見た物は・・・
一面のもふもふ
その大半はシープなのだが
ラット、ラビット、ウルフ、ゴートなどなど様々なモンスター達がセイフティーエリア内で横になりくつろいでいる
セイフティーエリアにいるってことは、この子達は誰かのパートナーなのだろう
よく見る所々に人の姿が見える
ん?
ちょっと離れた右のほうに見えるのは、緑色のシープ?
その横にはクリーム色の髪が見える
あれ?
もしかして・・・
そう思い
「すいませーん、メイプルさんですかーー」
と声をかけると
僕の左の奥にあるクリーム色のシーフたちの集団の中からまったく同じ色、同じくふわふわの髪の女性が顔を上げて
「あれ?レン君?どうしてここに~?誰かに聞いて来たの~~?」
といつもの間延びした声でそう声をかけてくれた
あっ・・・そっちでしたか
ちなみに僕が間違えたは、プチシープを頭に乗せた男性プレイヤーさんだった
紛らわしい
「そうじゃないんですけど、たまたま用が合ってこっちにきたら、こんなもふもふが・・・」
「あはは、今日はもふもふ提示板で集まった人たちの交流会で、ゲーム初日に私がやってたシープの集団もふもふを再現してみようってね」
なるほど
「でも他のモンスターもいるみたいですが」
「うん、最初はシープだけだったんだけどどうせならいろんな子達とももふもふしたいって事でね」
「なるほど、このイベントって僕も参加して平気なんですか?」
「うん、もふもふ好きなら誰でも歓迎だよ、ちょっとまってね、今このイベントの責任者呼ぶから」
そう言ってしばらくすると、セイフティーエリアの中心の方から少し細めの丸メガネをかけた柔らかな表情の白髪の男性がゴートに乗ってやって着て
「おやおや、君は噂のショタ君じゃないですか、僕は今回のイベントの開催者でゴロウと言いますよろしくお願いしますね」
そんな主催者さんの顔を見て・・・つい
「ム〇ゴロウさん?」
ついそう呟いてしまった
それを聞いた周りの人達は大爆笑
「ぶっあはははっはっ・・・なるほど」
「そ・・・それがあったか・・・」
「さすがショタ君って・・・よく知ってたね」
「それは流石に思いつかなかったは・・・」
ゴロウさんもお腹を抱えて笑いながらも
「あははっ、ショタ君だったら大歓迎だよ、よかったら思う存分もふもふして行ってね」
と、苦笑いながら許可してくれた
さて、そろそろ僕も参加させてもらおうかと周りを見ると
大量のラビットが集まってできているエリアに昨日一緒に西のボスを倒したユエさんが満面に喜色で大量のラビットと戯れている
「ユエさん、昨日はどうも」
「あっ、やっぱりレン君も来たんだ」
「あははっ、僕は基本攻略や製造の提示板しか見ないんで、今日は偶然こっちに着たらこんなイベントをやってたんで参加させてもらおうとおもって」
「なるほど」
「そういえば、スノーさんは今日はいないんですか?」
「スノーならあっちでシープに埋もれてますよ」
ユエさんが指の指すほうを見ると
向こうのシープの塊の隙間から細い腕が飛び出してしっしっの腕を振ってくる
あっ 急にシープたちが動き出しその波に飲まれたスノーさんが腕を出しながら流されていく
「あっスノーさんが流されていく」
「まぁ、ここセイフティーゾーンだからたぶん死ぬことはないでしょう」
そのままユエさんと別れ
本格的に参加するため、パール達を呼び出しもふもふの中をかき分けて行くと
「あれ?ショタ君」
声をかけてくれたのは、細工スキル持ちでアヤメさんの親友のトトさんだ
「あっトトさん、アヤメさんは大丈夫ですか、昨日強制ログアウトしたからちょっと心配で」
それを聞くとトトさんはちょっと苦い顔をして
「あはは、レン君昨日はアヤメがちょっと迷惑かけたみたいだね・・・」
トトさんが言うにはやっぱり昨日アヤメさんは西が開放されたからと言って朝からずっと西の村と工房を往復してご飯も食べないでずっと服を作り続けていたらしい
その結果、僕に服を渡した後今までの緊張が溶けて・・・そのまま強制ログアウトされたらしい
落ちた後すぐにトトさんが電話したけど、出ることなくそのまま朝までそのまま寝ていたらしい
現在は、昨日寝すぎたため体がだるいらしく今日は入ってないらしい
トトさんと別れ周りを見回すと流石もふらーの集まりだけあって女性の数が多い
よく見ると、捕獲石を最初に作ったときにいた女性二人組みの姿も見える
他にも、僕もふもふしているといつの間にか隠れてみている女性達の姿も・・・
もふもふに隠れながらこっちを見ているのは無視して
もふもふの波に流されながらたどり着いたのがセイフティーエリア北の端
気がつくと、いつの間にかパール達とはぐれていて
僕の周りには今いるモンスター達が集まっていた
ん~~、まるで筆先のような滑らかな触り心地のゴートに短いながらもしっとり滑らかな肌触りのモール
アルバトロスもコケッコーも羽は少し固めだけど胸とか体はふかふかもこもこで触り心地が最高。
あっ・・シープもふかふかで気持ちいいからね
そんな幸せ気分でモフモフしているとあれ?メープルさんからメールが来てる
『レン君そこセイフティーエリアから外れてるし、今レン君がもふもふしているのって皆のパートナーじゃなくて野生のモンスターだから危ないよ~~』
あれ?
よくみると・・・ほんとだ自分がもふもふしてるのって、皆モンスターを示す赤い文字で書かれてる
(ちなみにプレイヤーとパートナーは白、NPCは緑)
まあ、襲って来そうもないし
『野生のモンスターだけど、皆大人しい子ばかりだから平気ですよ』
そう送り返しておいた
『ゴートとかモール、アルバトロスなんかもアクティブモンスターのはずなんだけど~~』
そんなこと言っても皆大人しくもふらせてくれるんだからいいじゃないか
それよりも問題は、そんなセイフティーゾーンから外れている近くの草むら
そんな草むらから、何時もの視線を感じるのだが・・・そっちのほうが危険のような
う~~ん
そう考えていると
北の方から、何かふらつきながらこっちに来ているゴートの姿が
あっHPがほとんどない瀕死状態のゴートだ
タブン他のプレイヤーが捕まえようとHPを減らしたがいいが、返り討ちになってしまったのではなかろうか
何か鼻息荒くこっちに向かって来ているが・・・
僕は慌てず、アイテムボックスからにんじんを取り出し
ゴートに差し出してみると
最初は警戒してなかなか食べようとはしなかったが
鼻先でクンクン匂いを嗅ぎ・・そのままぱくりとかじり食べだしてくれた
その隙に、僕はゆっくり体をもふもふ、もふもふ
そうすると・・・[もふもふ]レベル20で覚えた[癒しの手]の影響か
ゴートのHPが少しづつだけど回復していった
ゴートも最初は体をこわばらせていたがもふもふしているうちに緊張が溶けたのか
体の力を抜きこっちの思うままにもふらせてくれている
周りからは
「ショタ君の手に掛かればアクティブモンスターだって虜になってしまうのか・・」
「ショタオーラ恐るべし」
「それにもふるたびに、ゴートのHPが回復して言っているんだけど」
「あれってもしかして[もふもふ]のレベル20で覚えるという[癒しの手]かも」
「[もふもふ]れべる20って、ゴロウさん位しかなってないんじゃなかったっけ?」
「次にレベルの高いメープルさんもまだレベル20になってなかったはず」
ゴロウさんももふもふレベル20超えているんだ
さすがもふらーの代表だけある
ゴートのHPも全開したので・・
ちょっとした遊び心から
「ちょっといいかな」
と、ゴートに草むらの方を向いてもらい
「ゴー!!」
ゴートに周りの草むらに突っ込んでもらうと
まぁ~~出るわ出るわ
一つの草むらから3人ほど・・・
四つの草むら合わせて11人の女性達が飛び出してきた
「ちょっ、ショタく~ん黙って見てたのはあやまるからこれはやめて~~~」
「あはは、そこは危ないから、セイフティーエリアに入りなよ」
いつの間にか、僕の周りにいた、最初からいたゴートやモール、アルバトロスも女の子を追いかけだしてるし
まあ、そろそろいい時間なのでそろそろ先に進もうと立ち上がると
手元にいたコケッコーが僕の足をツンツンと何かの催促をしているような
エサかなと思いほうれん草を取り出すが
コケッコーは首を横にフリ
なら、アイテムボックスから[捕獲石]を取り出すと
コケッコーだけではなく
女の子を追いかけていたゴート達も石に気がついたのか
一斉にこっちに向かってくるが
元々近くにいたコケッコーがいち早く石に飛びつき
そのまま光と友に吸い込まれていった
[コケッコFを捕獲しました、名前を付けてください]
あれ?
普通のコケッコーじゃない?
それに[F]って・・・
はい、遂に4匹目のモンスターをゲットしました
しかも[コケッコF]いったい[F]の意味とは?
次回に続く(ぉぃw
実は、この話を書くに当たって、実は二回も間違えてデータが消えてしまって
その度に書き直してました^^;
おかげでだいぶ遅れてしまいました><




