35話 ゴールドとシルバー
時計を見るとそろそろいい時間なので
「そういえば、リンさんはまだ時間大丈夫なの?」
そう言うと
「えっ?あっ、もうこんな時間なんだそろそろ落ちないと」
「今日は色々連れまわしちゃってごめんね」
「いえいえこちらこそありがとうございました」
「よかったらフレンド登録いいかな?」
「あーそうだな、俺もいいかな?」
そう言うと
「えっ?そういえば、こちらこそよろしくお願いします」
そういってリンさんとフレンド登録して
「よく考えると私フレンド登録するのはじめてかも」
あれ?
「え?さっきの友達、紅さんと青さんだっけ?後レッドとか言うのとも登録してなかったんだ」
「うん、入ってすぐ言い争いになっちゃって、そのままずるずるレッド君に連れられてばかりだったから・・」
なるほど・・・
「レッドとかはいいけど、紅さんと青さんとはフレンド登録したほうがいいかもね」
「そうだな、フレンド登録しておくと連絡取りやすいし・・・すれ違った時の為にもいいかもな」
「あはは、そうだね、そろそろ時間だしじゃあ私はここで・・・」
と言ってログアウトしそうになったので
「あっちょっとまって」
そう言ってアイテムボックスを開けてみると・・・やっぱりあった
「え?」
「これだけは受け取って」
そう言って
アイテムボックスの中にあった四つあった[ファイアーベア]のドロップアイテムの一つ
[火熊の毛皮☆7]をリンさんに渡す
「えっえっ、何?これってあそこに出て来た、アレのドロップ?」
「あははっ、何か偶然倒せちゃって」
「ん?レン何渡したんだ?」
そう言うアインにも
[火熊の炎爪☆6]渡してあげる
「ぶっ、何で倒してるんだよ!」
オープンチャットだと騒ぎになりそうなのでPTチャットで
『あはは、急所にさえ当たればパールの[暗殺]の効果があるみたいで、あの後偶然倒せちゃった』
『あれって、そうか[ファイアーベア]は一応レベルは離れているけどボスじゃないからな・・・でも』
『そーいう問題じゃなくて、こんな物凄いアイテムどーすればいいのーーー』
あはは、確かに現段階だとばれたらまずいかも
ちなみに、残りのアイテムは
[火熊の牙☆6]と[火熊の魔石☆7]
これは僕の取り分として
『まぁ、今回三人で狩りした記念ってことで受け取って』
『あはは、最後に物凄いサプライズがあったな』
『物凄すぎるよ・・うぅっ、どうしようコレ』
『それこそ、親友に相談すれば』
『あははっそうだな』
その後リンさんと別れ
「アイン、この後どーする」
「そーだな、俺としてはそろそろ装備は変えたいとこだが」
そういえば、リンさんもだったがアインもまだ初期装備のままだった
「このゲームって僕達が前に出て戦わないから、武器とか防具ってあんまり気にしないよね」
服はアレだけど武器なんか今だに初期武器し言う人がほとんどだ
「そうだな、完全に見た目重視かもな、そー言うお前はなかなかかわいい服着てるようだけど・・」
そういえば僕はアヤメさんからもらったウール服を着てた
「あははっ、これは、何時も世話になってる服装職人?さんにもらったんだ」
「へぇー、もしかして女性?」
「うん、アヤメさんっていう、服装トップクラスの職人さんらしい」
「へぇー(あの服完全にその人の趣味だな)」
「アインも紹介してあげようか?」
「おっ俺はいいよ、けど服を欲しい時はやっぱ職人探さないとダメなのかな?」
「そうだね、このゲーム店売りの服って無いから服装スキル持ってる人に頼んで作ってもらうしかないかも」
無人販売所でも売ってるみたいだけど、画像のみで判断しないといけないからちょっと買いにくい
せめて試着とか出来ればいいのだが
「どちらにしても服を欲しいなら、まずは商人ギルドに行かないと、僕も今日のドロップを買い取ってもらいたいし」
そう言って商人ギルドに向かい
ギルド会館に入った途端
いきなり
「そこのお二人さん、よかったら私が服を作って差し上げましょうか?」
「レンちゃん、いきなりそんな言い方じゃダメだよ」
「ゴールド!!ここじゃ名前じゃなくてシルバーと呼びなさい!!」
なんかいきなり、銀髪とそれを止める金髪の二人の少女に呼び止められた
よく見ると、金髪少女は右のサイドポニー銀髪少女は左のサイドポニーで顔はそっくりだ双子かな?
年齢的には僕達(リアル年齢)と同じくらいかな?
「あっ、いきなりすいません、私はゴールドでこっちでちょっと威張ってるのが妹のシルバー」
「よかったら私が服を差し上げますわよ」
「シルバー!!だからそんないい方しちゃだめでしょ」
『レン、あの銀髪の少女って本名がお前と一緒みたいだな』
『あははっ、まぁよくある名前だし、知り合いにヒイラギさんって人もいるし』
『二人そろえば、お前の名前になるな』
そんな話をしてると
「ねぇ、聞いてるの?」
うわっ
シルバーと言う少女がいきなり顔を近づけてきて
「えっと僕は知り合いに服を作ってもらうから平気です」
「そんなこといわないで・・・」
「ねえっ、シルバーこの人って例のショタ君じゃない?」
「ショタ君が何よ、私が・・って え?」
そんな中
ザワザワ
ギルドの奥からなんか目に隈をつけてよろよろとした足取りのアヤメさんが
「レ・・レン君・・・丁度よかった・・・・新作の服ができたの・・・着てみて・・・・」
「あっ、アヤメさん?大丈夫ですか?」
「いいから・・はやく・・」
と強引に服を押し付けられたので
着てみると
これは若草色に染められたレザーの下地の上に同じく若草色の染められたサテン生地でちょっとひらひらした半そでの服に仕上げてある
下は同じく若草色の半ズボンだ
コレってエルフの少年が着ているような服だ
「さ・・・さすが・・・想像通り・・・いやっそれ以上の出来栄え!!」
それを見た周りがまたざわめきだす
「おぉーーーさすがアヤメさんの新作、よく似合い過ぎてる」
「さすがアヤメさん・・・ショタ君の服を作らせたら一番ね」
「似合い過ぎて直視できない・・・」
例の双子も
「うぐぐぐぐっ、似合い過ぎてる・・・負けた」
「さすがに相手が悪すぎるよ・・・それにその口調そろそろやめない?」
あっ、キャラ作ってたらしい
「あっ・・・後はよろ・・・しく・・・」
そういったアヤメさんは
いきなりその場に倒れ
「えっ?アヤメさん?」
光の粒子になって消えた
「えぇ?アヤメさーーーん!!」
隣のアインが冷静に
「大丈夫、ゲームの安全装置が働いて強制ログアウトしただけみたいだから」
よく見るとアヤメさんが消えた場所にウィンドが出ていて
[プレイヤー:アヤメ は健康上の理由により強制ログアウトさせていただきました]
と出ていた
あららっ
いきなりの事で呆然としてる姉妹二人に
「えっと、そーいう事で僕は服は大丈夫なので」
そう言うと
「あーはいっ、妹が失礼しました、こちらこそいきなりごめんなさい」
「ゴールド!!」
「えっと、お二人は服装スキルを持っているんですか?
「いえ、私は細工スキルを持ってて、服装スキルを持ってるのはシルバーです」
「服装スキルあげるにしてもただ闇雲に作っても着る人がいないとしょうがないし」
あーー
「どんな細かく作っても、無人販売所だと文字と服の画像しか載せられないからなかなか売れないのよ」
確かに無人販売所は、消耗品とか材料などの取引はいいかもしれないけど
出来上がった商品、特にバリエイションが豊富すぎる服などは確かに売りづらいかも
「だから、こーやって直接交渉して服を作ったほうがその人に合った服とか作れるから効率いいのよ」
なるほど・・・確かにそうだ
誰が着るかわからない服を作るより、モデルがいた方服は作りやすい
「だからって無理やり人に押し付けるのもダメでしょ」
「あはは、僕はもう服作ってくれる人がいるけど・・・そこの彼はまだ服作ってくれる人がいないんだけどどーかな?」
そう言ってアインの方を見ると
「こっちに振るな」
「服欲しかったんでしょ、丁度いいじゃん」
それを聞いた双子は
「ショタ君じゃないのは仕方ないけどいいわ、作って差し上げますわよ」
「だからシルバー、その口調やめなよ、それに作るにしても材料がないじゃない」
「あぁっうぅうっ、えーえっとどんな服がいいかな?」
こっちが素の性格らしい
何か作ることは決定らしいので
「あーー、ん~~そーだな、やっぱ前衛にたって攻撃するわけでもないし動きやすいタイプのショートローブ系がいいかな?」
「ん~~~、それだと素材はレザー系がいいのかな?それにしても黒か・・・」
あーーそれだったら
「さっきの塔で手に入れたコレって使えないかな?」
そー言って取り出したのは、塔の中で大量に手に入れた[コウモリの羽]
「素材としてはいいかも・・・でも小さいからつなげて作るとなると継ぎ接ぎだらけになるかも」
あーー確かにコウモリの羽は大量に在るけど一つ一つは小さすぎるか
そんな話をしてると、周りの人が
「えっとショタ君、錬金使えるんだよね?情報によると錬金のレベル10で覚える[合成]でいくつかの同じ材料を合成して大きな素材に変えることができるみたいだよ」
よく見ると、錬金スキルの欄に[合成]と言うのがあったので
教えてくれた人にお礼を言って
一度皆で生産の大部屋を借りて
[合成]を試してみる
「おーー、コウモリの羽が黒い一枚の布になった」
コウモリの羽10枚でバンダナくらいの大きさの生地に
それをさらに5枚合わせ一枚の大きな布にしてみる
「コレなら十分服を作れるわ」
どうせなので、僕とアインが持ってるコウモリの羽を全て使って
[コウモリの羽(大)☆4]を3枚ほど作り
他にも、アインは使えそうな素材を姉妹に渡し
さすがに火熊の爪は渡さなかったみたいだけど
「じゃあ、残りの素材はそっちが買い取ってくれるということでいいのかな?」
「はい、残った素材はこっちが買取して、服の代金にさせてもらいますね」
「たらなかったら払うのでお願いするよ」
素材を見てぶつぶつと服のアイディアをまとめてるシルバーを横に
ゴールドさんが代わりにアインの相手をしている
ついでに双子の姉妹ともフレンド登録をして
こうやって登録したフレンドを見ると・・・ほとんど女性のような・・・
僕達もそろそろいい時間なので、アインと別れログアウト
ゲームが終わるともう既に帰って着ていた父親と会話をして
あーそうだ、巌おじさんにスノーさんのお弁当の事を相談しないと・・・
そう思いながら、何気なくテレビをつけると
ちょうど[モンスター・オブ・フォーチュン]の新しいCMがやってた
[新しい世界、そして新しい出会い]
[いくつもの出会い、そして別れ]
[様々なモンスターと出会い、仲間となりともに歩んでゆく]
[すべての出会いに幸福あれ]
[モンスター・オブ・フォーチュン]
[一月一日0時、第二陣参戦決定!!]
ぶっ
ここで第二陣かい!
しかも新年始まってすぐとか運営何考えてる!!
でもコレでやっとジロウも参戦かな?
ハジメがゲーム買えてればだけど
それにこのCM
前半は最初のCMと同じなんだけど
後半の例のゲーム内の画像が全て一新
実際にプレイしているプレイヤー達の画像が出るのはいいんだけど
その中でも特に多いのがモンスターを触れ合ってるプレイヤーの姿・・・
うん・・・もちろん
初心者フィールドのメイプルさんがプチシープに埋もれてる画像はもちろん
なぜか・・・僕がパール達とモフモフしてる画像が何枚も貼り付けられてるとか・・・
しかも、誰も見られてないはずの北東の滝のもふもふ画像まで・・・
一番大きくハイライトを飾ってるとか・・・・orz
ちなみにシルバーさんの本名は[恋]といいますw




