32話 西の塔とフォレスタリアの真実
やっと西の塔に入りますw
ギギギギギィ
重い塔の扉をアインと二人で協力して開くと
「うわっ、こりゃ薄暗いな・・扉なんか閉まったら真っ暗になるぞ」
「そんなこと言うと扉が閉まるからやめて」
そんな話をしながら三人で中に入ると
ギギィーーーッ バタン!!
本当に後ろの扉が閉まった!!
「きゃー きゃーー」
リンさんがパニックになり
あわてて扉を開けようとすると
ギーー
うん、普通に開いた
「リンさん落ち着いて」
「大丈夫ただ扉が閉まっただけだから」
そう言ってリンさんを落ち着かせて周りを見渡す
「ううぅ・・・私お化け屋敷とか苦手で・・・」
たしかにリンさんはお化け屋敷とか得意には見えないね
塔の中はだだっ広い空洞になっていて
扉が閉まった為真っ暗になってしまっている
う~ん
塔の外から見たときは所々に窓があったような気がしたのだが
入ってきたこの1Fフロアの中央には塔の紋章なのか独特の紋が刻まれた円形の石が地面に埋まってる
真っ暗であまり見えないが、一応その石の上に乗って見るが何も反応が無いみたい
(暗いせいか、リンさんがその石の段差で転びそうになった)
「うーんこれからどうするか」
「レン! 上から来るぞ!!」
アインがそう言うと上のほうから
「キキキッ」
何かの鳴き声が聞こえたと思った瞬間
「きゅーー」
パールが何かを叩き落した
「キキーーーッ」
暗くてよく見えないが、この声と消える直前の輪郭から
「やっぱり、塔+暗い=コウモリか」
「なんだ?その計算式」
「ヒィーーー」
けど、流石にこう暗いとこちらは何の対応の取り様が無い
僕がそーやって悩んでいると
「きゅーー」
「キキュー」
「~~~」
[索敵]を持つパールと(たぶん持ってるであろう)モモン
あと、[暗視]スキルを持ってるらしいレーヴァの三匹が襲い掛かってくる敵を叩き落してくれているみたいだ
三匹に頼り切るわけにはいかないが今のままでは何も出来ないため
何か無いか周りをよく観察すると
ん?
窓がありそうな場所をよく観察するとゆらゆらと何かが動いているように見え
その隙間からかすかに光が
これは何かあるかもと思い
アイテムボックスの中から固い石を取り出しその揺らいでる場所に投げる・・・が
「あれ?」
流石にちょっと高すぎたか、揺らいでる場所に届く前に石が落ちてしまった
「レイ何してるんだ?」
「いや、あそこが微かに揺れてるのが気になって」
「あぁ、じゃあレーヴァに行かせて見るか?」
たしかにレーヴァは浮遊で浮かんでいる為あそこまで行けそうだが
「そーするとこっちの守りが」
そんな話をしている間にも・・次々と敵が襲い掛かって来ている
さっきアイテムボックス見たら[コウモリの羽]と言うアイテムが入っていたためたぶん敵はコウモリだと思うが
そうやって悩んでいると
「えーっと、あそこに何か当てればいいんですか?」
今まで頭を抱えて震えていたリンさんが、まだ震えながらも
「だったらコレで何とかなるかも」
と、取り出したのは[初心者用ショートボウ]
「リンさん、弓使いだったの?」
話を聞いてみると
これもレッドが『グリーンなら弓を使わないと』などと言う強引な理由でもたせたらしい
リンさん自体、弓を使った経験はないそうだ
無いよりマシなので頼むと(ちょっとひどい)
「えいっ」
さすがゲーム内は弓の補正が入るのか、それともリンさんに素質があるのか
(さっき石を投げたときはへっぴり腰だったのに)
リンさんの放った矢は見事揺れているところに刺さった
その瞬間
「キキキッキッキキッーー」
バサバサバサバサバサッ
鳴き声と羽音が響く中
光が差し込んで周りを照らす
「光が」
そう、窓はコウモリの集団にふさがれていて光が届かなかっただけだった
「コレでようやく敵の姿が見えた」
[バットLv10]
しかしまたしばらくすると
バサバサバサバサバサッ
また窓に集まりふさいでしまう
「えっとまた撃った方がいい?」
「いや、まずは先に進もう」
さっきの光で塔の内部がよく見ることができて
入り口すぐ横に塔の内側の壁に沿うように螺旋に階段が上に伸びていた
と・・その前に
「あっ」
「どうした?」
「一つ試したいことが」
「ん?」
そう言うと僕はアイテムボックスから・・今度は[捕獲石]を取り出し
「おいおい、流石に当たらないだろ」
アインがそう言う中
イワンさんの話を思い出し
「ミド、この石を上の方まで弾くことはできる?」
そう聞くと、うなずいた様に見えたので
「お願い」
そう言って石をミドの前まで軽く飛ばすと
ミドが思いっきり振り上げた腕で石を弾き・・・天井近くまで飛ぶが外れた
ダメか
「面白そうだな、俺にもやらせてくれ」
アインも石を取り出し
ミドの前に投げ・・・弾いた石は
あっ、窓の方に飛んでいった
「キキッ」
見事バットをゲット
そうか・・・無理に天井狙わなくても
窓の場所には大量のバットがいるんだった
それなら
「リンさんもやってみる?」
「えっ?」
リンさんに強引に石を渡して
「え~~っと・・・えぃっ」
リンさんの投げた石をミドが弾くと
僕の時と同じく天井の方に飛ぶが・・・
「チュチュルチュルチジー」
ん?
何かバットとは違う泣き声が
リンさんを見ると
「えっと・・・・[スワロウ]ってモンスターを捕まえちゃった」
たしか・・・[スワロウ]ってツバメの事だったような
何でこんなところにいるんだ?
鳥なのに暗いところは平気なのか?
疑問が残るが
「まぁ・・先に進もうか」
「レンはまだ捕まえてないけどいいのか?」
「あぁぁ、まぁいいや」
「ごめんなさい・・・」
なぜかリンさんが謝ってくれたが
ちょっと落ち込みながらも階段に向かい
それからは
ひたすら階段を登りながら
窓を見かけたら
リンさんの弓か今まで忘れてた[リーフ]のリリィの攻撃、はっぱカッターで窓に溜まったコウモリを散らしつつ
階段を上っていく
そして気がついたのだが
光で敵が見えれば一撃の威力は低いが連射力のあるリリィの攻撃がよく効き
効率よくコウモリを狩ることができた
塔を上る事一時間
やっと階段の終わりが見え、扉が見えた
「ふぅやっと終わりか」
「ちょっとまった、この扉の前セイフティーエリアだ」
しかも、何を書いてあるかわからないが・・・看板が見える
「この看板・・・いやな予感がする」
「うっボス前の看板の法則か」
ボスの前=看板
いつの間にか僕達の間にはそんな法則が立てられてきている
「ひぃっ」
ここで、一応軽く休憩と体勢を立て直し
HPなどを回復させて
「じゃあいくか」
「ああっ」
「うっうんっ」
三人で部屋に入ると
真っ暗な部屋の中
「キキキーーーーーーーーーーーーーーー!!」
ひときは大きな鳴き声とともに
パール達三匹が動いた!!
僕はあたりを警戒しながらも
あった!!
「リンさん、右のほうに動いてるところがあるから狙って!!」
塔の下より暗いが、それでも微かながら光が漏れているところがあるのでそこを狙ってもらう
「えっとリリィお願い!!」
リリィが揺れている場所に向かって葉っぱを連続して飛ばすと
バサバサバサバサー
いきなり光が差し込み
姿が見えは敵は
[エビルバットLv15]
翼を開いたら四メートルはあろう大きなコウモリだ
しかも名前の前に銅の王冠の印がついてる
今まで、エリアボスにもついてなかった王冠のマーク
この敵が本格的なボスらしい
それと同時に回りもよく見ておき
バサバサバサッ
また窓がバットによって塞がれ真っ暗になったら
「今度は左の窓お願い!!」
窓の場所は4箇所
右のほうに1箇所
左にも一箇所
そして正面右と左に一箇所ずつ
後ろには窓はないみたいだ
リンさんとリリィには窓を開ける役をしてもらい
窓から光がさした瞬間にミドや[クラブ]のソキウスも攻撃に加わり
しばらく戦っていくと
「キキキッ・・トウヲハカイ・・トウヲハカイ・・・・メイ・・レイ・・・」
エビルバットは地面に落ち
光の粒子になって消えた
何かしゃべって消えた?
やっぱ今までのボスとは違う?
悩んでいると
「レン、気になるが悩んでてもしょうがない、コウモリもいなくなったし上に行くか?」
そういうと
アナウンスが
《南のボスは[PT:うお!ウオ!!魚!!!]によって討伐されました》
《それにより流通が一部再開して町の機能が一部利用可能になりました》
《今後、ボスが弱体して、討伐数に応じて徐々に町が活性していきます、それにより店やクエストなどが増えていきます》
あっ・・このタイミングで別のPTが南のボスを倒したらしい
何か物凄いタイミングがよすぎてこっちのアナウンスかと思った
そう思いながら進もうとすると
「ごめんなさい、少しやすまない?」
リンさんがかなり辛そうなので少し休憩することになった
たしかに、ここはゲーム内だから体力的には疲れないのだが
今日はコレまでに
西のボスを倒し
塔までの道を駆け抜け
そして暗い塔に入り
ひたすら階段を登り
そしてボスまで倒したのだ
それは、精神的にもかなり疲れるはずだ
「丁度いいし少し休んでから行こうか」
「おお」
「うん」
その間僕は明るくなった部屋を調べて
まずわかったことは、この部屋は塔全体の半分くらいの広さだということ
後壁にはベンチがあり休めるようになってた
リンさんもそこに座って休んでいる
そして・・・ベンチがある場所の真ん中には1階中央にあったのと同じ紋章が
ここが本当の塔の中心か・・
だとしたらこのベンチの裏側には何かあるのかな?
ベンチのある壁を丹念に調べたが何もなさそうなので
後は特に何もなさそうだ
それにしても、さっきのボス
初めての本格的なボスにしては弱かったような
これだったら、最初に倒した[ワイルドウルフ・リーダー]の方が苦戦した
流石に弱体化した[ジャイアントパイソン]よりかは強かったが
強さ的には初期のエリアボスより弱く弱体化したエリアボスより強いみたいな感じに感じた
少し休んだので
「じゃあ行こうか」
そう言って三人で下から登ってきた階段の反対にある階段を登ると
「うわーー」
いきなり風が吹き
リンさんはスカートを押さえるが見ないフリをして
(あくまでフリ)
「ここは屋上か」
「すごーーい」
「あはは、絶景だな」
そこに広がるのは一面の青空とその下に広がる緑の森
ん?
「あれはなんだろう?」
僕が気がついたのは、町とは反対の方向
そこに見えたのは、巨大と言う言葉では言い表せないくらいの巨大な大木・・
木の太さだけで始まりの町より大きいような
そんな大木の周りには半分草木に覆われた城壁のような遺跡
少し下の方には庭園のようなものも見える
そんな巨大なものが・・・空に浮かんでいるのだ
「ラ〇ュタだラ〇ュタは本当にあったんだ!!」
そんなことをほざいてるアインをほおっておき
それもすごいのだが
それより
よく見るとその遺跡との高さの差はあまりない
というか・・・この塔の先の森を少し進んだ先に
大地が無い
というか・・森の先にあるのは雲の海
雲海だ
その隙間から青い海が見える
うん・・・ここも浮かんでいる
今僕達がいるこの大地も空に浮かんでいる飛空島の一つなんだろう
だからか
東の村の村長さんが地震を揺れと言っていた
それもそうだ・・ここは大地とは繋がっていない
空に浮かんでいるからこの島の人達は地震を揺れと呼んでいるのであろう
空を浮かんでいるのだから湖しかない
空を浮かんでるのだから先には進めない
だからこそ、別のエリアに向かうにはゲートを使うしかないと
ゲートを使わないで進むには空を飛ばないといけないわけだし
けどこの町にはそんな空を飛ぶ道具の姿は見えない
これが・・・
平原と森の[フォレスタリア]の本当の姿か
ちなみにツバメは鳥としては珍しくフクロウ等と同じように夜暗くなっても飛ぶことができる鳥だそうです(夜行性ではなく夜はちゃんと寝ます)
中国の奥地では切り立った岩山の切れ目にある洞窟のうす暗い岩壁に巣を作るツバメもいるそうです
(そのツバメの巣は中国の高級食材になります)
あと・・・主人公達がいるこのフィールド全体が巨大な飛空島でしたwww
大きさとしては大体、佐渡島くらいの大きさを自分では想像して書いておりますw
(東京23区の半分くらいの大きさww)




