31話 クマの森と西の塔
ここは、西の集落
ここら辺の木工、建築、繊維、服装加工などを一手に受け持ってる集落らしい
この集落を少し巡って気がついたのだが、この集落自体いくつかに分かれていて
集落に入ってすぐに見えるのは細工や木工の道具の加工などを行う工房が多く見え
少し奥に進むと、住宅兼織物などの服装加工場
北のほうが家具や建築関係施設などの集落
南のほうが綿花や麻、などの育成や加工などを行う施設などのある集落
大きく分けて四つに分かれていてそれぞれが微妙に離れている為ぱっと見、村と言うより小さな集落に見えてしまう
(東の村が畑の規模が広すぎる為大きく見えるが、居住区の広さはあまり変わらないみたいだ)
そんな集落を巡っていたら、リアルの親友[アインス]と合流
そのまま村の裏手の管理塔(西)を目指すことになったのだが
塔に続く村の裏門にたどり着くと一人の女性が道の奥を見ながら悩んでいるように見える
ん?
あの女性どこかで見たことが・・・
このままでは何も始まらないので声をかけてみると
「すいません、どうかしました?」
「ふぇ?うはっ・・・しょショタ君?」
「えっと・・・お久しぶりです」
そのにいた、ちょっと癖のついた緑色の髪を背中まで伸ばしたちょっと気が弱そうな女性
初心者フィールドで[リーフ]を捕まえた女性だ
「あっお久し振りですね、あの時はありがとう、あの後大丈夫だった?」
「レン知り合いか?」
「あはは、何か目立ち過ぎましたが何とか平気ですよ、この人は初心者フィールドで知り合った人で・・・そういえば名前聞いてませんでしたね、僕はレンと言います」
「あわわ、そういえばそうでした、私はグリーンと言います」
「俺はレンの知り合いで[アインス] よろしく」
そう挨拶して
「そういえば何悩んでたんですか?」
話を聞いてみると
彼女はこのゲームをはじめる時、仲のいい幼なじみ5人で一緒にプレイする約束をしたのだが
その仲のリーダー格の男性が
「どうせ5人でやるんだから皆統一した名前にしないか」
そんな提案をしてきて、名前を色で統一するとこになったらしい
なので彼女は[グリーン]と言う名前にしたらしいのだが
実際に入って集まったら
リーダー格の[レッド]と自分以外三人は各自別々の名前をつけてしまい
そのせいで、言い争いになり皆バラバラに行動することになったのだが
彼女だけは色の名前をつけたということで
レッドと言う男と行動することになり
なんだかんだで結局この集落まで来たのだが
今度は彼は無謀にも塔を目指すと言い出して
グリーンさんは止めたんだけど話を聞かずに
結局PTから追い出され、一人放置
レッドは臨時で組んでた人たちと塔に向かってしまい
彼女は一人途方にくれてたらしい
「う~ん、ちょっとひどいな」
「レッドって人自分勝手すぎる」
「えっと・・・ちょっと強引だけどいい人なんですよ・・・たぶん?」
自分でタブンとか言わないで
このままでは埒が明かないので
「よかったら僕達と一緒に行ってみませんか?」
「それはいいかも」
そう言うと
「えーーーっ、この先って大量のベアが沸く危険地帯ですよーー」
「僕達は、ちょっとした方法?があってね・・・たぶん塔まで逝ける」
「逝けるって、漢字が違うような、それにちょっとした方法って・・・」
「気になるなら行ってみるしかないでしょ、何事も行動あるのみ!!」
「えーっと、でもでも」
悩んでるグリーンさんに強引にPTを送り
「じゃあ行きましょうか」
「ごーごー」
かなり強引になってしまったが三人で進むことになった
「あーーれーー」
そういえば塔に向かう前に
「そういえばグリーンさん」
「はぇっ?」
「そのままだとちょっと言い辛いから[リン]さんって呼んでいいかな?」
「それはいいかも」
「ふぁぇっ?」
「じゃあリンさん行きましょうか」
「じゃあリンさん行こう!!」
「ふぁーれぇーー」
何かまともにしゃべれなくなっているが
二人でリンさんを引き吊りながら塔に進んでいく
塔までの道は少しカーブはしてるものの基本真っ直ぐ道を進んでいけば10分ほどで辿り着くらしい
何もなければだけど
「うぅぅっ」
まだちょっと立ち直れてないみたいだけど
何とか一緒について来てるリンさんと一緒に道を進んでいくと
「ん~~~、思ったより敵でてこないような」
「アイン、この前も言ったけどそんなこと言ってると出て来るからやめて」
そんな話をしてると
少し奥の方から熊の鳴き声が・・・しかも複数
慎重に進んでいくとそこには
「ちょっ、これ無理ゲーじゃねーかーー」
真っ赤な逆毛の男性が・・・
あっ、死んだ
「あーーー、レッド君」
あれがさっきの話のレッドらしい
そして彼が死んだ後には
「ふぇっ、ベアが6匹も」
なるほど、今まで敵が出ないと思ったら、全部彼が引き連れていたらしい
掲示板によると、ここのベアは基本一匹で出るが、戦闘が長引くと奥からどんどんベアが集まってくるらしい
タブンあの量のベアを見る限り
彼はまともに戦う事を諦め、ベアから逃げてまわる作戦に出たのであろう
タブン他の臨時メンバーを犠牲にしながら・・・
しかし最後には捕まって、囲まれて
こんな6匹も集まったまま死んでしまった・・・と
はた迷惑な
おっと、数匹のベアがこっちに向かってくる
「はわぁはわぁ」
言葉になってないリンさんを無視して
「パール・・・ゴーー!!」
向かってくるベアにパールを解き放つ!!
こっちに気が付き向かってこようとするベアを
ザクッ
パールが首を落とし
「ひぃ」
それに気がついたほかのベアも次々順番に首を刎ねていく
「さすがさすが、前より早くなったんじゃないか?」
「まあ、パールもアレから結構レベル上がったし素早さも今50越えてるし」
あれから、東のボス西のボスその他にもけっこう敵と戦った為
今、パールのレベルは12 ミドもレベル11 メリーはレベル9まで上がっている
「れっ・・レベル高いですぅ~」
あっという間にベア6匹を片付け
「さあ、先に進みましょうか」
その先からは、一匹ずつ出現するベアの首を刎ねながら順調に進んでいくのだが
「うぅぅ・・・私何もしてないような」
「諦めろ・・・俺も同じだから・・・」
二人は何か複雑な表情でついて来ている
道を進んでいくと
「きゅきゅっきゅーーっ」
パールがいきなり僕の肩を踏み台にして右後ろの木の上に飛んでいく
アイテムボックスを確認すると
[桃色の毛皮][桃色の尻尾]など・・・
このドロップはキョウさんのパートナーと同じ[モモモンガ]のドロップかな?
ここに出て来るんだ
うーん実際に確認してみたい
「パール、今のモンスター倒さないでこっちに落とせる?」
そう言うと
「きゅーーっ」
木の上からピンク色の塊が落ちてきた
「キキューッ」
気から落ちてきたのはやっぱり、キョウさんのパートナーと同じ桃色のモモンガ[モモモンガ]だ
しかも、木から落ちたショックか瀕死状態で気絶までしてる
これはちゃんす?
けど・・ここは
「リンさん」
「え?」
「捕獲石持ってますか?」
「ふぇ?あっ?持ってないです?」
アイテムボックスから[下級捕獲石☆6]を取り出して
「コレであの子捕獲してみたらどうですか?」
「えっ?えっ?」
「ほら」
強引に石を渡し
「ありがとう えいっ・・あれ?」
リンさんが石を投げようとしたが、途中ですっぽ抜け・・・
そのままころころモモモンガの方に転がり
「キキュ~~」
あたって・・・石に吸い込まれた
「何はともあれ、おめでとー」
「あははっ、あめでと」
そういうと、顔を真っ赤にして
「あぅありがとー・・・うぅぅ」
何とリンさん、この子でやっと二匹目だそうだ
「今までレッド君に連れられてばかりで捕まえる暇なくて・・・」
今までレッドと言う人に連れられてばかりで自分で行動できなかったみたいだ
何かひどい話だ
自分勝手にリンさんを引きずり回しておいて、反論したらすぐにほおりだすとは
その後も順調に先を進んでいくと
「ガォーーッ」
ベアが三匹
よく見ると
一番後ろのベアの色が他のベアに比べて濃いような
普通のベアは少し明るめの茶色をしてるが、一番後ろのベアは黒に近い茶色をしてる
[ブラウンベアLv10]ベアの上位種だった・・
ブラウンベアはこっちに気がついた途端、他のベアを追い越し真っ先に襲い掛かってきたのだが
パールの一撃であっさり首を落とされていく
まともに戦えば強そうなんだけど・・・
まあそんな感じで・・その後も何匹がブラウンベアがでて来るがあっさり首を刎ねながら
「おっ、あれが塔か」
「高い」
「やっぱ近くで見ると違うね」
目の前には一周200メートルくらいありそうな立派な塔が建っている
目の前で見るとどのくらいの高さがあるかはわからないがてっぺんが見えないくらい高い
塔の周りはセイフティーゾーンみたいなので一休みをしつつ
「この裏はどうなってるんだろ?」
興味本位で探索をしてみる
塔の裏側を回るとそこには等間隔に石柱が立てられていて、その石柱の間には金属製の柵があり
その柵はかすかに光を帯びている
興味本位で触ろうとすると、壁があるみたいに弾かれてしまった
これが東の村の村長さんが言ってた結界なのかな?
そして、塔の真後ろには石柱で造られた簡単な門があり
その門全体的に薄い光の膜で覆われていて、進もうとしても光の壁に弾かれてしまう
その横には看板が
[この先高レベル地帯 危険]
と書かれていた
「うーん、まだ通れないみたいだね」
「そうだな」
二人で話していると
「もう戻ろうよ」
リンさんもそう言うので、塔の入り口まで戻り
「ここまで来たし入ってみようか」
「やっとで出番か」
「えーえー」
どうせなので塔の内部に入ることになった
(一人は渋っていたが)
塔に入る前に、まずはメンバーを呼び出す
僕は何時もながらの[パールLv13](またレベル上がった)と[ミドLv11]
アインがゴーストに進化した[レーヴァLv8]とクラブの[ソキウスLv11]
(レーヴァはゴーストに進化したためレベルが少し低くなってる)
リンさんはリーフの[リリィLv11]と今捕まえたモモモンガの[モモンLv8]
この6匹で塔に挑むことになった。
またメリーはお留守番
リンさん達メンバーは
ある意味皆を引っ張っている強引な(自称)リーダー[レッド]
強引過ぎるレッドの引止め役である冷静な体育会系[蒼士]
ちゃっかりお調子者の[ミスターゴールデン]
気が強いが、何かと面倒見がいい姐御肌の女性[紅]
そして、気弱だけど几帳面な性格で押しに弱い[グリーン]
の五人組で
本来なら[蒼士]がブルー、[ミスターゴールデン]がイエロー、[紅]がピンクになるはずでした
そりゃ嫌がるは・・特にピンクはw
たぶんもう五人で一緒に冒険することはないはずww




